終わりの迎え方

突然SNSを更新しだして、早速とっても嬉しかったことがあった。
昨年春にこの島の高校を卒業した前田くんからメールが届いた。

青山さん
ご無沙汰しております、昨年島前高校を卒業しました、前田です。
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マリンポートリニューアルのnoteを拝見しました。少し気になったことなのですが、改装工事に入る前に何か儀式といいますか、今までのホテルに対して感謝とお別れの会、みたいな事はされたのでしょうか?海士にいた時から気になっていたのですが、何か建物を立てる時に上棟式をするのに家を出る時や壊す時に「家のお葬式」みたいな事をしている所を見たことがなくて、大工さんにいくと着工前に簡易的なお祓いはする人はする、と聞いたのですが、マリンポートはどうしたのかなぁと、気になり連絡させていただきました。

実はちょうど、来週に本格的な外からの解体に先立って、お祓いをしてもらおう、ということになって、そんな計画を進めている最中だった。以前、この建物がマリンポートホテル海士という名前ではなく、「緑水園」という国民宿舎だったときに働いていた方にもお声がけして、それこそ、みんなでこの建物への感謝と、思い出話をしよう、と。

そんなときに、もしかするとこの建物に入ったことがなかったかもしれない、この島の高校の卒業生から、こんなアドバイスをもらえるなんて。

「リニューアル」というと、どんな建物ができるのか。新しいことに目がいきがちなのだけども、実はそれに向かう根っこのところで、この建物が担ってきた役割や、この建物が創り出してきた物語がたくさんある。その全部を違うものにすることではなくて、それぞれの物語を、このプロジェクトに関わる僕らが知る機会をつくれることは改めて大切な機会なのだと教えてもらえた気がする。

この先、これから建つことになる建物も、長い年月を経て、いつか使命を終えるとき、まさにこの瞬間の物語と、そしてこれから始まる物語をたくさん思い出せる建物にしていきたい。

写真:太田章彦

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