手術の時に見た夢の話⑨

稽留流産の手術をしてから、しばらく腹部に鈍痛があった。
仕事は一週間休んだ。

母が突然お見舞いにきた。
スイカを持ってきてくれた。

冷たくて甘いスイカの味がその時の私の体に染み渡った。

辛かったね、と。

これまでの夫の対応について母も薄々勘付いていた。

私が外に出られないとしって夫が私に買い与えてくれたのはカップラーメンだった。
それを見て、母がうちに帰ろう、といって実家に帰ることになった。

夫のことは特に何も言わなかったけど、私は家のことを何もせずにゆっくり休めるのはとてもありがたかった。

ゆっくり休んでいる時に
私は手術の時に見たあの夢のことを思い出していた。
すごく鮮明に覚えている夢。

お腹の中にいた双子は男の子だったんだろうな。

あの夢を見てなんとなくそう思った。

私は手術をしてから一年後の日にも、その日のことを思い出していた。
あの夢の中で私が追いかけていた男の子の双子が本当に可愛らしい声できゃっきゃきゃっきゃ逃げていたことを思い出す。それは、本当に楽しそうだった。

それでね、思ったの。

あれはきっと、私のお腹にいた双子に違いない。

そして私が、さようならって離れたわけじゃなくて、あの時2人で私から逃げたんだ!楽しそうに嬉しそうに私から2人で逃げたんだって。

あー2人でよかった。

楽しそうでよかった、と
一年たった日に、私はそう強く思った。

私はあの流産の後、3ヶ月後に離婚した。

私に離婚なんて選択肢はないと思ってた。
でも、あの流産がきっかけになって私は離婚を決断した。

多分、離婚した方がいいよって私に伝えるために私のところに来てくれたんじゃないかと私は思う。

自己満足な解釈だけど、私はそうとしか思えない。


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