キュウソネコヲカム制作日誌
インディーゲーム開発サークル「SHOVE(ショブ)」代表の
松本 聡と申します。
Unity1週間ゲームジャム(お題「かえす」)にて
「キュウソネコヲカム」というゲームを公開させていただきました。
前回の参加は2020年12月の「あける」でしたので、
実にお久しぶりの参加となりました。
今回はその振り返り記事を書いてみようと思います。
■前段の話
サークルとしてはポーカーのアプリを開発中なのですが、
ビジュアル的な部分が弱いなあと感じていたところでした。
そんな中「Easy Custom VFX/UI Vol.1」という
アセットを見かけて購入しました。
当サークルのビジュアル力の補強に一役買ってくれそうで、
取り入れて実験してみたいと考えていました。
また、ポーカーのアプリが完成したら
次はRPGのようなゲームの構想を練っており、
少しずつでも準備を始めたいと考えていました。
そんなタイミングで、今回のUnity1週間ゲームジャムが
発表されて参加を決めました。
参加するなら、自分に『条件』をつけることにしました。
・今までにやっていないビジュアル表現に挑戦すること
・将来的にRPGを開発するときの資産にできること
ここまで決めて、次はイベントとしての「お題」を待ちます。
■0日目~お題発表~
8/12(月)0時に、お題「かえす」が発表されました。
早速、「かえす」ゲームの方向性を考えていきます。
ちょうど(なぜか)「ロマンシング サガ3」をプレイしていて、
カウンターって面白いなあ~と思っていたので、
コマンドRPGのカウンター技に着目することにしました。
「ビジュアル表現に挑戦する」という『条件』もあるので
リソースそのものは極力シンプルにした方が
表現の効果がわかりやすいと考えました。
そこでレトロなゲームのビジュアルを参考にしようと思いました。
ゲームボーイの「ポケットモンスター 赤・緑」が
思い浮かんだので、リファレンスにさせていただきました。
そのままコマンドRPGにすることも考えたのですが、
Unity1週間ゲームジャムだとより手軽に遊べる方が良いと思い、
アクションゲーム風のルールにすることにしました。
「たたいてかぶってジャンケンポン」のような感じで
相手の攻撃をカウンターするゲームにすることにしました。
また、モチーフとしては「ハムスター」にしました。(純粋に趣味ッ)
ハムスターの敵役としては、安直にネコを選びました。
ちなみに私はネコもけっこう好きですが、
悪役でもおいしいキャラクター性なのが特に良いです。
これで企画がだいたい決まったので、制作に入っていきます。
■1日目~環境整備~
まずどんなゲームであっても必要になりそうな
シーン遷移の仕組みだったり、入力判定の仕組みを作りました。
ドット風の画面切り替え演出などは、
まさに上記の「Easy Custom VFX/UI Vol.1」だったりします。
文字通り簡単に実装できて良かったです!
反省点としては、これぐらいの内容であれば
お題の発表前でも全然できたな~というところです。
次回の参加時にはもうちょっと準備をしておこうと思います。
■2日目~バトル実装1/4~
メインとなるバトルの実装を始めました。
基本的に絵心が無いのでなるべく避けているのですが、
今回は絵素材を自作することにしました。
ドット絵としても簡素に、ほぼ2色で作成することにします。
ちなみにハムスター(左)は16x16を20倍に拡大、
ネコ(右)は32x32を8倍に拡大して使っています。
パラパラマンガ的なアニメーションは一切ありません。
シェーダーつきのマテリアルを使い、
簡素なドット絵でも退屈な画面にならないことを目指しました。
■3日目~バトル実装2/4~
引き続き、バトルの実装を進めます。
動きの部分は「DOTween(PRO)」を利用させていただいています。
ポーカーのアプリでも多用していますが、
もはや無いことが考えられないくらい依存しています笑
この日はちょうど折り返し地点ぐらいなのですが、
実は体調に異常を感じ始めました。
決して徹夜のような無理はしていないのですが、
この時点で本来の〆切に完成させることは断念し、
体調との両立を目指す方針に変えました。
■4日目~バトル実装3/4~
ようやくお題の「かえす」を表現する部分を作りました。
最初は相手の攻撃に合わせてカウンターすることを
軸にしようかなと考えていたのですが、
タイミングがシビアで遊びにくかったので
ガードすればパワーが溜まるというルールに変えました。
■5日目~バトル実装4/4~
バトル開始から終了までの流れを作りました。
RPGのバトル画面風アクションゲームという感じですが、
システムで管理して進行する部分と、
キャラクターの動きに依存して進行する部分の共存が
思いのほか作っていて難しかったです。
これは将来RPGを開発する時のノウハウとして
非常に有益な体験を得られたと思っています。
■6日目~バリエーション増し1/3~
敵(ステージ)のバリエーションを検討し、実装を始めました。
用意できる絵素材の物量と作品全体のボリューム感を考えて
全10種(ステージ)にすると決めました。
それぞれの設計意図としては下記のような感じです。
やりたいことを決めて、キャラクターを乗せるイメージです。
個人的には、ゲームを作っていて一番楽しいパートです。
1 攻撃のチュートリアル⇒ネコカカシ
2 ガードのチュートリアル⇒ノラネコ
3 攻撃の派生(タイミング)⇒ネコミミズ
4 パワーのチュートリアル⇒ネコゾンビ
5 ガードの派生(ジャスト)⇒ネコザムライ
6 ガードの応用(崩し)⇒ドロボウネコ
7 複合(ガード+タイミング)⇒ネコマタ
8 複合(ジャスト+パワー)⇒ネコガタロボット
9 特殊シチュエーション(瀕死)⇒クロネコ
10 総合&テンポ変化⇒ネコマオウ
■7日目~バリエーション増し2/3~
引き続き、敵のバリエーションを実装していきます。
ハムスターを登場させたかったのに、
ネコの絵をいっぱい描くハメになったのは誤算でした…。
■8日目~バリエーション増し3/3~
すでに〆切は過ぎていますが、敵の実装を進めています。
各敵の特殊な仕様を
画面演出込みで実装するのにかなり時間を取られました。
一般的なRPGで言うところの「スキル」などに相当しますが、
この大変さを体験できたのは良かったとも思います。
■9日目~タイトル画面/エンディング実装~
ようやくバトル以外を作りました。
個人的にはお話で導入してほしいと感じるタイプなので
ものすごく簡単なお話を作りました。
タイトル名は、ことわざの「窮鼠猫を噛む」が
内容を表現していると思って使うことにしました。
もう少しヒネるべきかとも思ったのですが、
他に良いアイデアも出なかったのでそのままにしました。
■10日目~SE/BGM実装~
サウンド部分を実装しました。
どうしても「音探し」の作業がおっくうで
今回も最後にまとめてやってしまいました。
※本来、音も手触りや雰囲気に直結するので、
絵作りと同タイミングで実装するのが好ましい…と考えてはいます。
今作の音素材は、すべて「OtoLogic」様より拝借しております。
レトロゲーム機風の音源が豊富で、大変助かりました。
■11日目~公開~
アップロードしたら一部環境で動かない問題が発生したのですが、
このプロジェクトのベースがスマホアプリを想定したものだったので
「開発環境ではない&スマホではない」環境に対して
入力周りの判定に抜けがあった…という原因でした。
ともあれ、問題も解決できたので、ようやく公開できました!
実に4日の遅刻…1.5週間ゲームジャムとなってしまいました。
■評価
8/25(日)の20時に評価が発表されました。
大勢の方に遊んでもらえ、またご評価いただきまして
大変感謝しております。
評価数 43件
楽しさ 4.419
絵作り 4.512
サウンド 4.372
操作性 4.233
雰囲気 4.465
斬新さ 3.860
(平均 4.310)
…といった結果となりました。
「楽しさ」を好評いただけるのは、そういう職業の端くれとしては
嬉しさよりホッとした感覚が強いのですが、
「絵作り」の評価が高かったのは純粋にめちゃくちゃ嬉しかったです。
最初に書いたように、当サークルはビジュアル力の部分が
非常に弱いと感じていました。
その補強方法を模索するための作品でもあったので、
この評価は大いに意味のあることだと思っています。
もちろん、この評価にはゲームボーイ風のビジュアルに対して
懐しさのような嬉しさも含まれるでしょうから、
単純に同じことを繰り返すわけにはいかないのですが…。
リソースの品質勝負ではなく、
工夫で何とかする可能性を実感できたことが
当サークルの今後の活動にもポジティブな影響を与えそうです。
本当に嬉しくて(舞い上がって)
感謝のイラストを制作することにしました。
…今見ると誤字がありますね!!
急いで作ったので…という見苦しい言い訳をしつつ…
改めて、感謝を込めて掲載させていただきます。
■総評・反省点
好評いただけたところも含め、
自分の中で『条件』として設定した
・今までにやっていないビジュアル表現に挑戦すること
・将来的にRPGを開発するときの資産にできること
これらを達成できたので、
今回のUnity1週間ゲームジャム参加は大成功だったと思います。
また、ゲームを作るのは楽しいのだと
再確認できたことも良かったと感じています。
(日々の業務は、時に退屈な作業になってしまうものなので…)
一方で、1週間で完成できなかったことは
純粋に反省点だと思います。
体調を崩さなかったのは良かったですが…。
次回があれば、もう少し現実的な計画を立てようと思います。
また、クオリティ部分もまだまだだと感じていて、
特にシェーダーまわりはアセットそのままで
ほとんどカスタマイズなどもできずじまいでした。
このあたりは1週間でやることではなく、
常日頃から研究の蓄積が必要だと痛感しました。
幸い、今回のことでキッカケはできたので
これからは色々試していこうと考えています。
そんなわけで、本当に実りある1.5週間でした!
このような場を提供してくださった運営様、
遊んでくださった皆様、
評価・コメントをくださった皆様に
改めて感謝を申し上げて締めとさせていただきます。
誠にありがとうございました!
2024/ 9/ 2 記事公開
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