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コロナウィルスに感染しなかった私が苦しんだ日々のおはなし

もう1年以上も不安な日々が続いている。
新型コロナウィルス感染症の猛威は衰えることなく私たちの生活を脅かす。

今日は昨年の夏頃、私に恐ろしいほどに近づいて来て強靭な私の心さえグラグラにしていった取り止めもないコロナの話を。

私は会社員としてフルタイムで勤務している。
従業員は多く大所帯だ。

私は身体はとても丈夫な方だけれど、地味な風邪症状が治りにくいタイプだ。

昨年のあの頃、長引く咳に悩まされていた。
今ほど欠勤ルールが厳しくもなく、咳が出だしたら1ヶ月ぐらいの長期戦になる事も多い私は、警戒しつつも今回はすぐに終わればいいな。そう思っていた。

咳は治る事はなく悪化。
流石にコロナ禍でこの咳はまずいと早退を申し出ようとしたその時、社内にコロナ感染者が発生したという報告と濃厚接触者の発表が。
当初はまだコロナ対策に翻弄されており、念には念をと濃厚接触者を広い範囲で設定した為、管理者の三分の一程が翌日から出社停止になった。

早退したいと言って良いのか分からない空気を察した私は、出来るだけ人と接しない方法を取りながらその日は勤務を続けた。

翌日もその翌日も咳は止まらず、本当に会社に来ていいものか相談するも、これ以上人が減ると厳しい状況もあり苦い顔で濁された。
休めとも休むなとも言えないような空気だった。

保育園や学童に子供を預けることの出来ない人…日々出社できる人は減っていく。

今でこそ在宅ワークや会社の閉鎖など臨機応変な対応が出来るが、何もかもがはじめての事でライフラインを支える仕事だった為に閉鎖も出来ず、来ている人への負担は増えていく。

会社は他の部分で一生懸命私たちを守ろうとしてくれているのも痛いほど分かったので、会社を責める気持ちは無かった。

ステイホームが合言葉になる中、危険と隣り合わせで公共交通機関を使い職場に向かう。

在宅ワークの夫と自宅待機の子供達を残しての出社。
いつコロナを持ち帰るか分からない不安。

薄暗い日々を照らしてくれたのはエンタメだった。

動画配信をしてくれる芸能人。
逆境を逆手に取ったリモートドラマ。

そして毎日の動画や、優しさと明るさのつまったブログ投稿で、私たちを支えてくれたお日さまみたいな推しの存在。

それがなければ、心がポッキリと折れてしまったかもしれない。そんな恐ろしく暗い日々だった。

それからも少しずつ罹患者が増えていった。
その度に濃厚接触者が出社停止になる。

咳のために出来る限り人から離れていた私は、毎回のように濃厚接触者から免れた。

心の中では「選ばれてくれ…そしたら子供達と家で過ごせる」
そんな風に思っていた。

濃厚接触者になる人の苦悩もあればなれない人の苦悩もあるとは思いもしなかった。

少しずつ減っていく社員達。

濃厚接触者が大量に発生し、残ったのはわずか20名程。
管理者は私を含む2名だった。

あまりの状況に泣き出す人もいて、まるで戦場のようだった。

あの時、事業所に入って来てくれた人たちが頼もしくて勇者のように見えた。

最終的に会社はクローズとなった。

張り詰めていた糸が切れるように、翌日から体調が悪化した。

微熱が続き咳が止まらない。

PCR検査は既に受けており陰性という事は分かっていた。

会社が通常通りの営業に戻っても、私の体調不良は続き、会社に行く事は出来なかった。

かろうじて在宅ワークが出来たのだが、それでも仕事に穴を開け続ける日々は心苦しかった。

熱が出て病院に行こうとした。

PCR検査は陰性だが、疑わしい症状なので数件の病院に受け入れを拒否された。

病院を紹介してもらおうと保健所に電話をして何度も何度も同じことを繰り返し話した。

保健所の人はそれは親身に優しく話を聞いてくれて、涙が出るほどにホッとするのだが、病院を紹介してもらうのにもの凄く時間がかかり、朝電話をかけて通院できたのは16時だった。

体調不良の辛さと重なり、なんだか世界から取り残されたような孤独感で泣きたくなった。

受け入れてくれた病院の先生も本当に優しくて危険と隣り合わせで私たちを救ってくれる医療従事者の方々に感謝の気持ちが溢れて涙が溢れた。

熱が引いても、咳症状がある限り出社できず、結果わたしは1ヶ月も会社に行けなかった。

結果的に受けたPCR検査は2回。
どちらも陰性。
だけれどもコロナの疑いは晴れない。
もう一層のこと陽性と言われた方が白黒はっきりして良いのに。
そんな気持ちになっていた。

どちらかというとハートの強い私だが、あの頃は肉体的にも精神的にも本当にキツかった。

そんな中、意外な同僚がLINEをくれたり、優しい同僚が私の為にと在宅ワークでも朝礼に参加できる方法を考えてくれたりして人の優しさに救われた。

SNSの存在も大きかった。
見えない誰かに支えられて来た期間でもあった。

コロナで亡くなる命がある。
その事で悲しむ人たちも。

その他にもコロナ禍ゆえに苦しむ人達は沢山いるのだろう。
きっと亡くなる命も…

今回の緊急事態宣言で沢山のイベント経営者や、芸能人が謝る投稿をみて苦しくなった。
1番辛い思いをしている人達が謝ること…
何度見ても悲しくなる。

感染対策を十分にと気を揉んでなんとか開催日を迎えられる直前だったのかと思うと、辛すぎる。

私が楽しみにしている映画ヒノマルソウルも試写会が中止になったりと影響を受けそうだ。

1年前コロナの影響を受けて延期となったこの作品。
安心して観てもらえるようにと、関係者の誰もが望んでいただろう。

一年後に同じ理由で、こんな苦渋を強いられるとは思っていなかっただろう。

公開日が緊急事態宣言最中で、東京大阪を含む都市の大きな映画館は営業停止となった。

コロナが憎い。
この日の為に生きて来た人達が沢山いるはず、
その夢や希望を消してしまうんだもの。
悔しくて悲しくて…
自分は公開日に劇場で観れるかもしれないけれど、観られない人がいる事が辛い。

みんなだよ。
みんな。
みんなでヒノマルソウルの初日を迎えたかったんだ。

これまでに経験した事の無いほどの番宣にチャレンジした座長をみんなで応援したかったんだ。

コロナが憎い。

エンタメ業界ならず、苦しんでいる人は沢山いるはず。

あれから1年以上経って、新しい生活様式が出来、ある意味色々慣れてきたけれど…

心のケアという点ではなにか向上したのだろうか。

慣れてきた分、ケアが希薄になっていたりしないだろうか。

大切な人を守るための宣言だとは分かっている。

でも、明日や明後日が誰かのかけがえのない日だったのかもしれないと思うと苦しくなる。

直接的ではなく間接的に、コロナ禍により消えてしまった思いや命がある。

悲しい出来事が繰り返されませんように。

どうか皆さんの大切な人を守れますように。

大切な人達に心安らぐ場所がありますように。

苦しい時は苦しいと言える人がいますように。

コロナとの戦いはきっとまだまだ続く。
一人で悩んでいる人がいませんように。





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