業務改善とペーパーレス化への道のりは遠く険しかった話
私は商業ディベロッパーの法務部に勤めています。
最近上司が変わったこともあり、怒涛の日々を過ごしています。
毎月月末になると思い出す、あのCM
毎月この状態
今時紙とか訳ワカメ意味ふみこ
私も早く令和のオフィスレディ(たぶん死語)になりたい。
というわけで今回、最近勉強をはじめた、ノーコードやRPAなどのデジタルツールを使用し、業務改善に取り組んだ道のりと挫折とこれからについてお話をしていきます。
そもそもどうして書類に囲まれて仕事をしているのか
マンションの契約をしたことをある方はご存じと思いますが、
申込時と契約時に多くの書類を不動産屋さんに渡しますよね。
入居申込書、身分証明書、契約書、住民票、印鑑登録証明書、収入を証明する書類、連帯保証人に関する書類などなど。
昔から、このような『重要な証明』をするものは紙でやり取りします。
何を当たり前なことをと思うかもしれませんが、
紙で提出した書類がどのように扱われているかご存じでしょうか。
私は不動産屋側なので、入居者(テナント)からいただいた各種書類をもとに審査、入居者情報の登録、敷金返還口座の登録、契約書の内容の登録、賃料請求マスターの作成などの作業をしています。
今はもちろん電卓で計算して手書きの家賃の請求書を発行するなんて作業はしません。すべてパソコンで請求書が自動で計算され発行されたり、契約書の管理ができるデータを利用しています。
つまり先ほどの登録というのは
『紙を見ながらパソコンでマスターにデータ入力を手動でしている』ということです。
重要書類を集めて、手作業でデータを登録する。
どこでもやってる当たり前の作業ですが、非常に面倒くさいんですよ。
沢山の書類を回収して、足りない情報を調べてつけ足して、いろんな部署で何度も何度もチェックして、登録する。人力なので何度チェックしても間違いがあったりして結局修正してという流れです。
確かに当り前、よくある作業ですが、いつまでも当たり前の作業を当たり前に、何も変えずにしていたら、いつまでたっても優しくなった横澤さんに成れないので、業務改善に取り組みました。
私も早く優しい横澤さんになりたい。
業務改善案
今回は、テナント情報登録業務を紙からデータへに完全移行とし、テナント情報登録からテナントの管理番号の発番までを自動化することにしました。
今回、楽々明細のようなパッケージソフトの導入ではなく自作することにした理由としては、
1、既に入っているシステムとの兼ね合い
2、パッケージソフトに業務を合わせるのではなく、現状の業務に合わせてシステムを構築したい
と考えたからです。
使用ツール
Microsoft365のアカウントで使用できる、Microsoft Forms、SharePoint、Power Automate、Outlookを使用しました。
ワークフロー
①Formsの回答をPower Automateが SharePoint Listへ連携させる
②SharePoint Listの特定の列が変更されると、各担当者へメール通知がくる。
③②を各部署での作業が終わるごとに変更することで発番完了(ゴール)する。
という流れとなります。
実際に作成したものを使ってもらいました
・マスター登録時にデータをコピペで入力するには、半角・全角などの制限が沢山あるのでこのままだと無理。
⇒Formsで入力規制ができないので、 入力フォームに書き方見本を記載します。
・請求書送付先住所と書類送付先住所を追加してほしい。
⇒追加します。
・このツールの管理ってどうすれば・・・・。
⇒慣れれば難しくないので一緒にやりましょ!
実際に作ったフローに対してのご意見から、初めて触るツールに対してなどいろいろな意見がありましたが、導入には前向きな意見が多かったです。
効果測定
現状は実運用に向けて部調整の最中ですが実際に使用された場合の効果として、
・原本以外にコピーなどで使用していた紙の枚数が、平均15枚から0枚へ削減
・コピーやスキャン、書類の保管、手動でメールを置く作業などの削減により工程数が14から11に減少
・作業時間もトータル95分かかっていたものが40分まで削減
以上のような効果が期待できます。
自動化の効果に対する意見としては、
手書き作業が無くなる、紙の保管場所がいらない、自動でメールがいくのはラクとのポジティブな意見がある一方で、
Formsの入力作業が増えた、チェック作業は減っていない、紙じゃなくて画面でチェックするのは見ずらいなどのネガティブな意見もあり、
まだまだ改善の余地ありの状況です。
大変だったところ
実は今回とても大変だったのは、フロー構築部分よりも、
業務要件の洗い出しや、どの部分をどのように業務変更していくのかという部分を考えることでした。
複数の部署にまたがる業務のため、各部署でどの書類をみて、どの項目を入力しているのか、どの項目チェックをどのように実施しているのかなどを改めて細かく聞き取りを行ったうえで、デジタルツールへの業務の置き換え方法を検討しました。
各部署の要望のままに必要事項を書き出したら、データの入力項目が50項目を超えてしまったため、今回は管理番号の発番というゴールに合わせて入力を20項目に絞り調整を掛けたりしています。
逆に言うと、この作業をやるのが大変だからこそ、これまでの10年間、同じやり方で業務を続けてきてしまっている訳です。
変えようと思って行動しない限り、これからの10年もこのままの面倒くさい作業をやり続けていた可能性が高いことに、今回の取り組みで気づくことが出来ました。
さらなる野望
さらにこの取り組み関して私はもう一つの野望がありました。
「今回は社内でのフローだけども、最終的にはテナントの入店申込書を申込みフォーム入力に切り替えて、入力作業をさらにラクにしたい」
この野望を上司へ語ったところ
『それって、テナントさんになんかメリットある?テナントさんめんどくさくない?入力わかんない人も沢山いるでしょ。」
と一蹴されてしまいました。
自分(自社)が楽になることばかりを考えて、取引先(テナント)が楽かどうかの視点が抜けていました。
他の会社でやっている申し込みフォームを参考にさせてもらったり、プライバシーポリシーについて先輩に教えてもらいやる気満々でしたが、業務改善の道のりは険しいです。
方向性の見直し
上司からのアドバイスを受けて、まずは自社内の効率化をもっとできる仕組みの構築を検討しています。
内の業務効率をさらに改善する方向でまずは検討しています。
・入力項目を書類からOCRで自動入力
・郵便番号からフリガナの自動取得
・法人番号の自動取得等は
API連携で対応できそうな気がしていますが、そのためにはもっと自分が勉強する必要があります。
勉強始めたばかりで目新しく楽しいことは沢山ありますが、まずは道に一歩づつてみたいと思っています。
そもそものきっかけ
業務改善についてデジタルツールを使用したいと思ったそもそものきっかけは、システム部にMicrosoft365を使用したフローを作成した人がいたことです。
テレワークになってからTeamsを使用するようになり、Microsoft365のアカウントが全社員に付与されているのをは知っていましたが、それがこんなに活用できるとは思ってもみませんでした。
Excelの数式を駆使してするのがやっとだったにも関わらず、Power Automateを使えば、簡単にこんなこともかゆいところに手が届くのような自動化ができるのかと衝撃を受けました。
後々その人にどのように勉強したのか聞いたんですが、スクールに通ったとかではなく、YouTubeとか見ながら独学で勉強したのとのことです。
新しいことを始めること
新しいことを始めること、知らないことを学び始めるハードルが高いですが、自分で解決できることが増えるのはとても楽しいです。
昨年、一念発起して宅地建物取引士と賃貸不動産管理士の資格勉強をして見事合格しました。
実務経験のない有資格者って役に立たないと思った時もありましたが、
今の上司からは「自分で勉強して知識は戦える武器を持っているということだから、とても期待している」と言ってくれました。
実際に、相談を受けた際に、自信をもってアドバイスを返せる機会が増えました。
なんとなく「わからないな」「めんどくさいけどこのままでいいや」としていることも、どうにかできないかなという視点で考え行動することが出来れば、いろんなことが良い方向に変わっていくと実感しています。
デジタルツールの勉強も、難しく考えるのではなく、ExcelやWordをのように当たり前に使えるようになりたいと考えています。
そして、もっともっと楽々働くためには自分だけではなく、沢山の人を巻き込んでいけるようになれればよいなと思っています。
今回の取り組みはまだスタート地点に立てたところです。
今後も引き続き『楽しく』学び続け、学んだことを活かしていけるように継続していきたいです。
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