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期待値とのギャップに苦悩するオードリー若林さんと「ホントのところ・エコノミー」

IPPONグランプリ放送後、「あの猫はどうすればよかったのよ!?」と、若林さんはnoteとラジオで繰り返し悔しさを露わにしていた。

ここ最近ここまで引っ張る姿を見ていなかったので、よほど期待値とのギャップがあったのだと思う。

2015~2016年で4回連続で出場した際は初優勝を果たし、3年前は準優勝、2年前はグループ内でしっかりトップ争いを演じて、今回久々のIPPONグランプリ。

この間、MCを担う番組も増え、エッセイはヒットし、業界内のポジションを着実に上げての登場。

当然自分でもあわよくば優勝というイメージがあったと思うし、関係者からの期待も高かったと思う。

番宣CMも若林さんの回答場面が使われ、番宣写真も上段真ん中、一番数字を持っている出場者として、番組からの期待も背負っていた。

その諸々の期待に反して流れに乗れず結果が伴わなかった。

求められた丁寧な描写

流れに乗れなかった要因の1つが、写真で一言の"猫の写真"での『僕たちもYouTubeやりましょうよ』ではあったが、実際あの写真でIPPON取るのは難しかったのではないか。明らかに写真のインパクトが弱く難易度が高かった。運が悪かったと思う。

それよりも第1問の「オカン、マジシャンと不倫してるな?なぜ分かった?」で流れに乗れなかったのがポイントだったと思う。

『イス一脚で昼寝していた』は取ったが、『ふじいあきらのように口からレシートを出した』『料理している後ろ姿が上半身と下半身が微妙にズレている』は外した。

笑い飯西田さんが『おめかしをして「デュワデュワデュワデュワ(Mr.マリックの音楽)」と歌っていた』『ラブホから男とホワイトタイガーと出てきた』『帰ったら全裸でシルクハットの男がいて、クローゼットに入って行き、開けたらいなくなっていた』で3本取ったのを見ると、丁寧に情景を描写して、しっかり行間を埋めた事が功を奏したように見える。

外した2本に関しては、どういった一幕なのかを丁寧に描写した方がイメージしやすかったように感じた。

若林さんも猫の写真に関しては、『ボス、僕たちもYouTubeやりましょうよ』と、『ボス』を加え、しっかり振った方が良かったとラジオで回想していた。

端的なキレの良さと、丁寧な情景描写、どちらが良いのかはタイミングに寄るとは思う。

場が温まっていて勢いで押せるシーンではキレの良さが求められるが、あの場面、まだ様子見の序盤で且つ観戦人数が限られ笑い声の後押しがない環境では、情景をイメージできるようにしっかりと行間を埋めた方が良かったということだろう。

「ホントのところ・エコノミー」

そんな若林さんのIPPONグランプリという勝負の舞台の裏話を、僕たちはnoteとラジオで楽しむことができている。

とんでもなく悔しかったこと、「あの猫」が忘れられないこと、収録が終わってから放送までの間にIPPONグランプリに関して声を掛けられるのが苦痛だったこと、などなど。

あのIPPONグランプリの放送だけでは知りえない、「ホントのところ」はどうだったのか、若林さんは何を感じ、どう考えていたのか、を聞くことができた。これが僕たちのメインディッシュなのだ。

この枠組みは、けんすうさんやキンコン西野さんがトレンドを唱えるプロセス・エコノミーと似た構図だと思う。

プロセス・エコノミーとは、作品を売るのではなく、作品を作るプロセスを売っていくという考え方で、作品のクオリティが総じて高くなっている昨今では作品でのマネタイズよりも、その作品を作り上げるまでのプロセスをマネタイズすることがトレンドとなってくる、という話だ。

けんすうさんはこれを漫画で実現しようとしているし、西野さんは絵本や映画の制作過程をオンラインサロンのメルマガで語ることで体現している。

TVなどの表舞台を前菜に、一番知りたい若林さんの頭の中の「ホントのところ」をメインに楽しむ構図は、「ホントのところ・エコノミー」といったところか。

プロセス・エコノミーに関しても、一番の関心はクリエイターの頭の中の思考や葛藤であることを考えると、プロセス・エコノミーも実は「ホントのところ・エコノミー」と言った方が正確にマーケットを定義しているのかもしれない。

「ホントのところ」をさらけ出す場

当然、今までもクリエイターや演者の「ホントのところ」はインタビュー等で切り取られてきたし、今ではSNSを通じて多くの著名人が「ホントのところ」を語っている。

でも、何かが違う。
それらは、若林さんの真水のような「ホントのところ」とは違った、味の付いた飲物だ。

何故か。
一つには「ホントのところ」をさらけ出す場の違いだろう。

TVやSNSでの発信には、本当の意味では「ホントのところ」は存在せず、どうしてもスポンサーやマスコミ、アンチも含めた多くの目が届くことから、多少作られた姿を演じざるを得ない。

日の当たりが良すぎるのだ。
著名人が尖ったことをさらけ出せば、すぐにネットニュースに切り取られてしまう。

流石の若林さんもTVやSNSとなるとフォームが異なる。
(あちこちオードリーや、オドぜひは真水に近いとは思うけど)

若林さんが真水をさらけ出せるのは、相方と気兼ねなく話せるラジオという隠れ家と、転載禁止の閉じられたnoteの世界の中だからだ。

もう一つの違いは、
着眼点のユニークさ、探索・思考の深さ、芸人という稀有な経験の中から抽象化された真理、言語化の才能、
僕たちを常にワクワクさせてくれる若林さんの煌めく才能だ。

こればかりは真似したくてもしようがない。

今後、ダイレクトにファンと繋がり、ファンからの深い支持を得るために、真水の「ホントのところ」をさらけ出していこうとする著名人が増えそうだ。

真水の「ホントのところ」をさらけ出す場に選ばれるのは、noteの有料アカウントが有力なのではないか。
(後はネットニュースに切り取られづらい音声の「Voicy」か)

こういった文脈でもnoteは今後も益々有望なプラットフォームになっていきそうだ。


さて、若林さんはラジオで何と言うか

「まずもって、『ホントのところ・エコノミー』って、名前がダサくない笑?もうちょっと何かシュッとしたのなかったのかな~。あと、ちょいちょいnoteのこと持ち上げてるけど、noteのスタッフさんに取り上げてもらおうという腹が見えんのよ笑」
「まぁ素人のセンスなんてそんなもんじゃないのかね。かっこよすぎるのも親近感わかないものだし、うーん。noteは我々も持ち上げていかないと。若林さんのフォロワーも増やさないとですし。」
「いいのよ、隠れてコソコソやりたいんだから。見つかっちゃったら好き勝手書けなくなっちゃうのよ。春日の悪口とか」

平和だ、、、

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