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【カウンセリング・メモ】そう思うのは、なんでかな?

「わかったつもり」を乗り越える

 カウンセリングをしていると「わかったつもり」になってしまって、クライアントの大切な発言を聞き流してしまうことがよくある。自分ではそう思っていなくても、スーパーヴィジョン(SV)で振り返るたびに、いくつか出てくるから不思議だ。

 カウンセリングを始めたばかりの頃は、聞き流していることが見つかると「やってしまった」とか「CLに悪いことをしたな」などと思っていたものだが、今ではそれ以上に盲点が見つかったようで面白い、興味深いと思えるようになっている。この「わかったつもり」を乗り越えることは、私の当面の目標だ。

「わかったつもり」は自分では気づきにくい

 面談中の自分は、クライアントの理解者であろうと心がけている。だからこそ、なのかもしれないがこの「わかったつもり」にはなりやすいようだ。

結果、振り返ってみるとCLの大切な発言に気づいてさえいないし、気づいていても会話の流れのなかで立ち止まって、クライアントに尋ねるのは、至難の業のように思える。

 この至難と思う程度は、趣味のゴルフでプロのレッスンを受けながらスイング改造しているときに似ている。自分ではかなり思い切って、信じられないくらい極端な動きをしているつもりでも、ビデオで確認するとほとんど変化がみられない。
 そのくらい思いっきり挑戦するつもりで臨まないと、その瞬間にそこに関わるのは難しい。

「そう思うのはなんでかな?」

 そんな私が取り組んでいるのが、「そう思うのはなんでかな」である。面談中は、できるだけ頭の片隅に置き続けるつもりで臨んでいる。
 面談の導入部分で、ある程度主訴を把握することができたと判断したら、次はなぜそれが悩みになるのかを一緒に考える。このときに「なぜ」という感覚に意識を向けて優先順位を高くするように心がける。
 「わかったつもり」になって大切な言葉を聞き逃さないように、むしろ「わからないつもり」を意識的に演じ続けるくらいの気持ちで面談に臨むくらいの覚悟が今の私には必要なのだと思う。

すると、少しずつではあるが、たとえばこんな関わりができるようになる。
・例1
Cl「そうですね、気が重いという感じですかね」
Co「ほー、気が重い。何がCLさんの気を重くさせていますか」

・例2
Cl「人に頼られるのはうれしいですね」
Co「人に頼られるということは、Clさんにとってどういうことですか」

・例3
Cl「すごく納得しました」
Co「ほーほー、どんなところが納得できましたか」

まとめ

 クライアントの洞察をいま一歩進めるには、カウンセラーはわかったつもりにならないように心がける。そのために必要なのは「なぜ」の感覚。なぜその主訴がクライアントの悩みになるのか、「そう思うのはなんでかな」と心に留めながら、面談を進めることだと思う。

 


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