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質が問われる、「オンライン」研修

結論:「対面の代わり」という発想を見直そう

図書紹介:『オンライン研修ハンドブック』(2021)


1.オンライン研修の標準ガイドラインはこれ!

 この一年ですっかり市民権を得たオンライン活動。会議や授業、研修に至るまで一変してオンラインに切り替わりました。はじめは非常事態に対応するべく対面の代替でしたが、いまはその「質」が問われています。

 本書は、特に質の高さが求められるオンライン「研修」の実現にむけた最新刊です。これからオンライン活動を始める方だけではなく、すでにオンラインで活動をしておられる方にも、必携の一冊です。これからは、このレベルが標準ラインになっていくでしょう。

2.オンライン研修にまつわる誤解

 質の高いオンライン研修を実現するには、「対面の代替」という考え方を見直すことから始めます。オンラインの特性を知って講義内容を再構成することで、対面以上の学習効果が期待できるからです。

まずは、オンライン研修は対面の代替であり、講義を「配信」すればよいという考えから脱却することから始めましょう。

3.対面との違い:講師の位置づけと役割

 対面との大きな違いは、講師の存在をアピールする必要は「ない」ことにあります。

対面講義では、講師の魅力で参加者を引きつけて内容に関心を持ってもらい、学習へとつなぐように学習モデルがデザインされていますから、「誰が」話すかが重要とされてきました。

 一方で、オンライン化によって物理的な距離が生まれるようになると、講師の魅力が伝わりにくくなりますから、「内容自体」に関心を向けてもらえるようにする必要があります。

4.「90/20/4」の法則


 オンライン研修を設計するには「90/20/4」の法則がベースになります。

 基本的には60分に一回、長くても「90」分に一回は休憩をとること。また一日中、画面に向き合うのは健康とはいえませんから、長くても一日、3時間までが適切です。

 つぎに、オンライン研修では講師が一方的に話すことになりがちです。「20」分に一回は学習者が「おさらい」できるように、個人やペア・グループワークの時間を設けます。

 さらに講義中も「4」分に一回は、参加者に語りかけて質問に答えてもらうなどの工夫をして、受け身にならないように工夫する必要があります。

5.まとめ:対面講義の内容を見直して再構成する

 このように、オンラインならではの特性をいかした質の高い研修をするには、対面講義で扱っていた内容を見直して、オンライン用に再構成して学習者に提供することが求められます。

 オンライン化という分水嶺を超えるには、こうした対応が必要だといえるでしょう。

図書紹介:『オンライン研修ハンドブック』
著者:中村文子、ボブ・パイク
出版:日本能率協会マネジメントセンター、2021年
Amazon: https://amzn.to/3mPx39S


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