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クレヨン父ちゃん

 坂口恭平さんのXを見ているせいか、タイムラインにやたらとパステル画のポストが流れてくるようになりました。どれも美しく、ピンチアウトしないと写真と見まごうばかりのものばかりで感心します(老眼だから見えない説)。

 そんな状況に触発されて、「自分でも一度描いてみよう!」と思い立ったのでした。とはいえ、パステル画のことを調べることに時間を費やしそうな性格ゆえ、ひとまず子供たちが持っているクレヨンで試してみることにしました。調べて分かったのですが、クレヨン、クレパス、パステルって同じじゃなかったのね。

ベテラン画家のように使い込まれたクレヨンセットに戦慄。
今のワイにそこまでの情熱はあるのだろうか(自問自答)。

 さて何を描こうかということで、とりあえずiMacの写真ライブラリに保存してある宮古島の夕陽にしようかとアプリを開くと、「復元中」の文字が表示され早速足止め。いやいや、ここで立ち止まっていてはいけない。描きたいという初期衝動が消えてしまうではないか。
 
 ピクチャフォルダにあった金沢21世紀美術館のプールの写真が目に留まりました。よし、これにしよう。何だか知らんが描ける気がする(現場猫タヒ亡フラグ)。

これなら私にも描ける。そう思っていた時期が私にもありました。

 次男に借りたクレヨンセットを開けてみました。ものすごく使い込まれていて、黒とあと何色か見当たらない。とりあえず水色と青色で壁や水、空の感じは描けるな。金属製のハシゴは、黒がないからグレーと茶色、紫色あたりにやりくりするしかない。いざスタート。

 いきなり手が止まりました。「復元中」ではありません。完全にフリーズです。どこから描くべきか分からない!全く習ったこともないし、そもそもそういうセオリーがあるのかすら分からない。どこから描きたいというのもよく分からない。少し悩んだ結果、ハシゴの間の青い壁面を塗り始めることにしました。

 天井のプールを通して地下の壁面に映る水の色は、青色というかエメラルドグリーンに近い色で、ところどころ濃い青の塊があり、無数の白い光の筋が迷路のように入り込んでいました。絵といえば元々細密画のような感じに描く性格。細かく書きすぎて、学校の写生大会では時間内に完成したことがありませんでした。しかし今回クレヨンの先は太く、とてもではありませんが写実的に細かく描くことはできません。うわー、どうしよう。

 色の塊を配置していこう!そう、『センスの哲学』で千葉雅也さんも言っていたじゃないですか(たぶん)。これはリズムなんだ。とはいえ、細かく描きたいという中途半端な衝動も入り込んでしまい、いったい全体をどのように描きたいのかよく分からない中途半端な描き方になってしまいました。

千葉雅也『センスの哲学』文藝春秋、2024年。
平易な言葉で「おっ!」ということが書かれています(ざっくりしすぎ)。

 金属製のハシゴの部分に移ります。直線的に描くと、なんともバランスが悪くなりました。でも描いてしまったから仕方ない・・・。影の色はどう見ても黒なのですが、黒色のクレヨンがありません。茶色で描いてみると違和感がすごい。光が反射しているところはグレーで何とかなりそうですが、とにかく影がどうしようもない。黒が欲しい。紫を重ねてみました。なんだこれ、冠位十二階か。そういや小学生時代、聖徳太子を尊敬していたな。まだ画用紙3分の1しか描いていませんが、もう既にやめたくなってきました。

 ふと次男がやってきたので、「黒がないんよ」と聞くと、「あるやん」とクレヨンケースの隅っこにわずかに残った黒色のクレヨンの存在を教えてくれました。「おー、ありがと!」と礼を言ってから改めてクレヨンケースを見渡すと、白色のクレヨンも発見しました。というより、その存在に気づきました。全然周りが見えていない。生きる歩きスマホ状態です。これで水に入り込んだ光の筋、ハシゴの光沢、雲を描くことができます。ありがとう息子よ。

 そこからは描く速度が上がっていきましたが、いかんせん出来映えは散々でした(自分比)。造形教室に6年以上通ってきた長男と次男に見せて率直な感想を聞いてました。

自分でもびっくりするぐらい描けなかった・・・orz

 長男はゴッホの「ひまわりの種を蒔く人」では、色を短い粒のように置くことで全ての対象が描かれていると教えてくれました。私が描いたハシゴは、縦の柱は上から下へ、横の足場は左から右に線状に描かれていました。それが不自然に思えたとのこと。なるほど。あと、私は白い部分はクレヨンを使わず紙の色そのままで済ましていたが、それもアウトらしい。白は白(というか対象に合った色)で塗った方がよいと。そして水の部分は、バックにまず水の色のベースを描いた上で、色を重ねたり濃淡をつけたりすると。

 次男は雲の描き方が薄いと指摘してくれました。いやはや、たいへん勉強になる。いつも偉そうなこと言ってすみません。

 その後、家庭内オークションにかけてみました。100円からスタート。「97円!」、「95円!」とどんどん値段が下がってゆく(苦笑)。急激な円高です。最終的に81円で次男が落札。小学生ぶりに描いたクレヨン作品は、なんだかんだで楽しい休日のひとコマを演出してくれました。次回作は未定です(号泣)。

急激な円高は好ましくない(関係筋)←誰?

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
X(@altrstcs)もよろしくです!

ロト

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