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30秒小説『Bad trip』

「竜宮名物、踊り子の舞、存分に楽しんでください」
 乙姫ニッコリ微んで、大きく3度手を叩く。
 太郎想像する――美しい魚が優雅に舞う光景。

 暫くすると朱塗りの柱の裏から、大量のナニカが溢れ出てきた。
 それは鯛でも平目でもなく――
 極彩色の海鼠、海星、海月、雨降、雲丹、沙蚕、etc.
 ぬるぬる蠢く彩の氾濫、psychedelicな音と光、太郎くらくらTrip寸前。

「あのぅ、乙姫様」
「なんです?」
「できれば、棘皮生物以外で――」


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