桜の詩いくつか
忘れられないことも
忘れてしまうことも苦しい花びら
生きるこつ死ぬこつ
桜に問いし春
青葉をば見届けむとす殿(しんがり)桜
次の春をば思い散り笑む
爆発のように空を脅かしておった花びら
既にして青葉に収束し寂々
されども我が頭蓋まさに
今が盛りぞ残響桜
脳髄の闇を淡く染め抜き
閏う景色に人を浮かべて
『全力桜』
後悔を知らず散りゆく桜の貴さ
五十にして花びらの重さを知る
年々遅くなる
今年も散ってからようよう詠む気になった
桜
花びらが着地しやすいよう
心を平らにしてみる
今だ風よ
我が胸に吹け
『全力桜』ver2
全力で散っている
全力で散っている
全力で散っているぞ
だから貴いのだ桜は
咲く力はなくとも
散る力は残っている
見てろ
桜を詠ませれば
その人の死生観がわかる
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