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小説(5分以上)

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小説
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#私の作品投稿

9分0秒小説『ズ』

 倉庫も人手不足と聞いていたが、1人回してくれるらしい。有難い。しかも新人。4月に入社して…

或虎
1年前
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5分50秒小説『野々垣』

「ラーメンも旨いが、一番人気は餃子だ。この店のお勧めの食べ方があるんだ。こうやって、小皿…

或虎
1年前
1

5分0秒小説『いばしょ』

 ビルとビルの間、人が通り抜けるには狭すぎる隙間、猫用?光は届かず、都会が苦しい陰性の虫…

或虎
1年前
1

5分50秒小説『剣の皇女』

「私が死ねば戦争は終わる」  馬を降り一人、散歩でもするかのように、剣と剣がぶつかる音の…

或虎
1年前
2

5分20秒小説『悲しみを写すカメラ』

 ”悲しみを写すカメラ”を買った。メルカリで。意外に安かったから、そして、悲しみ――もし…

或虎
2年前
5

6分20秒小説『お茶漬け的』

 しこたま飲む、食う。半ば強要、ある種の拷問だ。   俺は酒を飲むときは飯は食わない派だ…

或虎
2年前
2

5分0秒小説『二つの涙と天使のお話』

 或る処に、二人の涙が居ました。涙の一人が言いました。 「僕はドウシテ生まれたんだろう?」   「え?」 「生まれた理由さ、知りたくはないかい?」 「私たちが生まれた理由なんて、どうせ……」  透明な身体を捩らせ、溜息のイントネーションで「ありふれた悲しみ、もしくは哀しみよ」 「例えば?」 「ペットや愛する人を亡くしてしまったとか、病気になったとか、合格出来なかったとかね」 「それはありふれたこと?」 「世界には、一分間に数千か数万、いやひょっとしたら億を超すかもの数、私達が

6分0秒小説『こわしてあそぼう』

「教室のみんなぁー!こんにちわー。『こわしてあそぼう』始まるよぉ。僕の名前は、どきどきさ…

或虎
1年前
13

9分50秒小説『nestpiaで蟻は夢見る』

「おはようアントン」 「おはようプルース」 「よく眠れたかい?」 「ああ」 「それは良かった…

或虎
1年前
19

8分30秒小説『裸一貫』

「へいらっしゃーい」  暖簾を潜るなり、頬を張られたと錯覚するほど勢威のいい声が飛んでき…

或虎
1年前
13

5分30秒小説『笑い地蔵』

 村の外れ、二本松を過ぎた辺りに、お地蔵さんが並んでる。ひーふーみー……なな、七体並んで…

或虎
1年前
12

6分30秒小説『Reverse Singularity』

「我が空間へようこそ」 「挨拶はいい。勝負だ」 「逸るな人間。いや、汝は人間か?」 「そう…

或虎
1年前
18

7分50秒小説『吉兵衛さんの瓢』

「じゃあ、そろそろ――」  そう言って吉兵衛さんは立ち上がる。茶代を縁台に置く。 「まだ日…

或虎
1年前
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8分0秒小説『お感情を払ってください!』

 カウンターに突っ伏した男、肘がこつん、空の徳利を倒す。店主が唇を歪め溜息。徳利を摘み上げ、カウンターの内側に引き込む。 「お客さん、お客さんっ!すいませんが閉店のお時間です。起きてください」 「 ん?あ……あんがぁって?」 「うちはもう閉店です」 「え?この店たたんじゃうの?」 「いえ違います。今日はもう店じまいです」 「そですか」 「お感情お願いします」 「ぐか?」 「だいぶ酔われてますね。お感情をお願いします」 「感情?……そんなもンもっちゃいなぇ」 「駄目ですよ。感情