8分0秒小説『お感情を払ってください!』
カウンターに突っ伏した男、肘がこつん、空の徳利を倒す。店主が唇を歪め溜息。徳利を摘み上げ、カウンターの内側に引き込む。
「お客さん、お客さんっ!すいませんが閉店のお時間です。起きてください」
「 ん?あ……あんがぁって?」
「うちはもう閉店です」
「え?この店たたんじゃうの?」
「いえ違います。今日はもう店じまいです」
「そですか」
「お感情お願いします」
「ぐか?」
「だいぶ酔われてますね。お感情をお願いします」
「感情?……そんなもンもっちゃいなぇ」
「駄目ですよ。感情