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ミヤモトミヤ
2023年4月24日 19:47
ひとり、桟橋にいた。海は鈍色をしていた。不意に、透明な水のかたまりがひゅ、と目の前に飛んでくる。ひとつ、ふたつ。子どもが水鉄砲でも向けてきているのだろうか。水平線に目をやるが、だれもいない。けれど水は海岸線のあちこちから、放物線も描かないまっすぐな軌道で、こちらに向かってやって来る。はじめはぽつぽつと地面に落ちるだけだったそれらは、雨の降り始めみたいに、だんだんと数を増やして、容赦なくわ