完全版死刑囚執行予想

導入

 オリンピックも終わりそろそろ死刑執行が近づいてきていますね。ということで、5月にやった執行予想を発展させて「死刑囚全員」で執行予想を作ってみました。
5月にやった「裁判員裁判で確定した死刑囚の執行予想」はこちら
https://note.com/altk117117/n/n00793a9c1687

条件には前回のものに加えて、次の3つを追加。
①各刑場で1日に執行可能な人数は2人(東京拘置所のみ3人)。
→過去の執行傾向より。
②(管区別の収容人数)÷(1日当たり執行可能人数)を見ても東京拘置所の死刑囚が多いため、東京拘置所収監の死刑囚は気持ち査定甘目で。
→刑部様の管区別収容者数のデータより

③共犯が公判中or死刑確定後に死亡した死刑囚は原則執行されない。
→少なくとも平成に入ってからは1例もないし、昭和でもたぶん最後は1960年代の並木国男と思われる。共犯が逮捕前に死亡というくくりに変えてもオウムの13人と佐川和男のみなので、よほどのことがない限り執行はされない。


以上のことを踏まえて並べてみると下記のようになりました。ちなみに5chの死刑囚スレにも有志の作成されたもの(https://egg.5ch.net/test/read.cgi/court/1624539953/2)(archive版:https://web.archive.org/web/20210816041024/https://egg.5ch.net/test/read.cgi/court/1624539953/2)をベースに作成しました。長くなってしまうので、著しく差のある死刑囚を中心にみていこうと思います。

※言い回しは変えていますが基本的には同じ意味。
※この記事はあくまで私の主観に基づいて作成されたものであり、公的機関や専門家による検証を経たものでないことにご留意ください。また、この記事を参考に知人と賭けをして金銭を失った、この記事を鵜呑みにして再審請求しなかったら死刑が執行されてしまったなどの事態に陥ったとしても、当方は一切責任を負いませんので悪しからずご了承ください。
※記事公開以降に死亡した被告には取り消し線を引き、その後ろに原因も記載しております。


執行予想表


1,執行の可能性はない

尾田信夫、大濱松三、益永利明、渡辺清、藤井政安、金川一、佐々木哲也、坂口弘、大森勝久、山野静二郎、大城英明、神宮雅晴、村松誠一郎、松本美佐雄、松本健次、陳代偉、何力、堀江守男、高橋和利(病死)、造田博、林真須美、風間博子、池田容之、小川和弘

2,執行の可能性は非常に低い

猪熊武夫、宮崎知子、江東恒、石川恵子、浜川邦彦、松本和弘、下浦栄一、長谷川静央、八木茂、高橋秀、窪田勇次(病死)、大橋健治、渕上幸春、大月孝行、藤城康孝(執行)、新井竜太、高見素直、保見光成、肥田公明、筧千佐子

3,執行の可能性は低い

柴嵜正一、森本信之、田中毅彦、山口益生、豊田義己、薛松、外尾計夫、小日向将人、菅峰夫、藤崎宗司、守田克実、小林竜司、山田健一郎、上村隆(2023年9月追加)

4,執行の可能性はあるがまだ先になるだろう

後藤良次、加賀聖商、松永太、高尾康司、大山清隆、謝依俤、松原智浩、奥本章寛、加藤智大(執行)、辻野和史、千葉祐太郎、筒井郷太、井上佳苗、上田美由紀(病死・一応)、鈴木勝明、堀慶末、水海浩二、土屋和也、中田充(2024年1月追加)

5,執行の可能性がある

黄奕善、高根沢智明(執行)、松沢信一、間中博巳、長勝久、小野川光紀(執行)、小林正人、黒澤淳、芳我匡由、大倉修、兼岩幸男、高柳和也、林振華、渡邉剛、西口宗宏、川崎竜弥、今井隼人(2024年1月追加)

6,早期に執行される可能性が高い

横田謙二、倉吉政隆、中原澄男、北村真美、井上孝紘、北村実雄、北村孝、渡辺純一、清水大志、伊藤玲雄、小泉毅、浅山克己、桑田一也

7、執行間近

尾崎正芳、原正志、上田宜範、西山省三、岩森稔(病死)、高橋明彦、植松聖、白石隆浩

8、表に組み入れる前に死亡
岩間俊彦(病死)


各項について


1,執行の可能性はない
 冤罪の可能性が高い、精神状態が非常に悪い、かなり高齢、共犯が指名手配され逃亡中など執行の難しい死刑囚を分類。まあ、大城英明、神宮雅晴が冤罪の可能性が高いかといわれると微妙ですが、長期間執行されなかったことを考えるともう逃げ切りでしょうね。あとは藤井政安がどうなのかというところですが、共犯者が勝手に殺したということで殺人1件が無罪になっていることを考えると、これも執行のネックになりえるかも。まあ、いずれも高齢ですし執行は難しいでしょう。あとは日弁連が支援している小川和弘もここへ。

2,執行の可能性は非常に低い
 冤罪の可能性が指摘されている、精神状態もしくは健康状態が悪い、高齢の死刑囚を分類。ただ、今の日本の平均寿命との均衡を見ると70代後半の窪田勇次、長谷川静央あたりも執行がないとは言えない気がしますが、再審請求してますし順番待ち中に80歳を越えてしまうでしょうね……。あと、例外として共犯が逃亡中ですが江東恒は1ランク下げてはここに分類。逃亡者の氏名が不詳の場合執行された例がある(2013年末の加賀山領治)ので。あとは、猪熊武夫はユニテ代表という肩書と支援者のバックアップ、大月孝行は最高裁での反対意見を踏まえて執行が難しいと判断してここに分類しました。
 新井から後ろの5人は裁判員裁判下で執行の難しそうな人たちということでピックアップ。高見と保見は精神疾患、筧は認知症、新井と肥田は冤罪の可能性ということで(詳細は前回記事で書いた通り)。
 
3,執行の可能性は低い
 とりあえず理由はわからないけど確定から20年間執行されていない柴嵜はここへ分類。ソースがないので何とも言えないですが、精神状態がよろしくないという噂もあるようですね……。ただ、何かしらの事情があって執行ができないのでしょうからここへ分類。あとは、追加条件③の共犯が公判中もしくは死刑確定後に死亡した森本、山口、小日向、菅、守田、山田はここへ。ただ、たまたまそうなっているだけという感じもあるのでとりあえず絶対執行されないというわけではなさそうですが。豊田は一部冤罪を主張しているものの捜査段階で全面自供をしていたことを考えると、まだ執行の可能性が若干はあると踏んで1ランク落としたここへ分類。まあ、順番を待ってる間に80歳超えそうですけどね。藤崎は精神面(前科の際に何度か心神耗弱を認定されたこと)を考慮してちょっと執行が難しそう。
 外尾・田中(毅)、小林(竜)は共犯者との均衡がどうなのと思ってここへ分類。特に外尾はどう考えても山口礼子も死刑相当だったと思うし、ちょっと不均衡な感じがしますよね……。田中も2件目の強殺は共犯者から持ち掛けられているし1件目の殺人も被害者に非があることや、一応家族が賠償を進めていたことを考えるとちょっと量刑不当な感じがしなくもないのでもしかしたら執行できないのではと思いここへ入れました。小林も共犯の廣畑との均衡がどうなのって感じですし、元はというと被害者が共犯を恐喝したことがきっかけですからね。ちょっと執行するにしても非難されそうな気がします。
 あとは執行が難しそうに思ったのは春日部の中国人夫婦ストーカー殺人で死刑になった薛松ですね。最高裁で補足意見では「被害者妻との交際関係について被告人の思い込みと一概に排斥できない」旨あったのですが、個人的にはその辺の精査が不十分だったのと仮に交際関係を立証できれば十分無期になってもおかしくないということで、ちょっと執行に躊躇しそうな要素があるように私には見えますね。
 2023年9月追記)上村隆死刑囚を追加。実際問題主犯従犯で量刑が割れたケースの評価は難しいが、事実関係に争いのない死刑囚すら消化できない状況下であることを考えれば執行はないかもしれません。

4,執行の可能性はあるがまだ先になるだろう
 とりあえず事実関係を認めているけど情状面で争っている奥本、松原、伊藤や旧制度下の大山とかはここにまとめて分類。長谷川敏彦も被害者遺族の助命嘆願があったけど執行されちゃったし、たぶん後回しにはなるでしょうけどコンベアの上ということで。あとは、何故か執行が難しそうに分類されていた松永をここへ入れました。共犯の緒方純子と監禁被害者の証言もあるし、どう考えても無罪主張は通らなさそうなので、特に執行の障害はなさそうですが。あと、加藤が何故か早期執行されそうみたいな意見が根強いですが、確定順位や再審請求していることとかを見るともう少し後な気がするのでこの辺りかと。
 中田充死刑囚を追加。冤罪を訴えてはいるものの説得力がかなり低いことを考慮すると執行がないとは言い難いためです。

5,執行の可能性がある
 確定からちょっと長めの死刑囚を中心に分類したけど特に取り上げる人がいない。強いて上げるとするなら長勝久が冤罪の可能性がささやかれてますけど、いくらなんでも無理がある気が……。あと高柳は6あたりに入れようと思ったのですが、確定からずっと動きがないまま執行されないのを見るともしかしたら何かしらの事情があるのかも。類似例の三原賢志との均衡でしょうかね。そうなるとそのうち3に移動させるかもしれません。
 2024年1月追記)今井隼人死刑囚を追加、本人取り下げのため優先順位が少し高いだろうと判断。

6,早期に執行される可能性が高い
 再審請求が複数回目、もしくはしてない死刑囚を中心に分類。中原と倉吉はキャパ的に余裕のある福岡収監なので5から無理やりここに持ってきてしまいました。無期前科ありの横田と西山、裁判員裁判下の高橋と桑田、浅山が分かれたのは収監場所が理由。

7,執行間近
 尾崎正芳、原正志の二人は確定から10年で一度も再審請求なしでいよいよ執行と思いここへ分類。上田宜範は公判段階から無罪を主張しているもかなり苦しそうですし、再審請求の効果ももう薄れてきたと思いここへ入れました。西山省三と岩森稔は事実関係については動かなそうなのでここへ。西山は無期懲役前科もあってかなり心証は悪そうだし、岩森は強盗目的の有無以外争う要素がないうえに高齢でもうそろそろ切らないと執行が難しくなりそうなので……。特に西山は広島拘置所のほかの死刑囚がまだ執行し辛そうな雰囲気ですしね。高橋明彦は前回記事でも触れたのですがもう執行を受け入れている雰囲気でしたし時間の問題かと思いここへ。最後に植松聖、白石隆浩は説明不要でしょうが重大事案かつ控訴取り下げで執行しやすいということで。

8、表に組み込む前に死亡
 
上告中の中田までまとめて今年中にまとめてやろうと思ったらこんな急に死ぬとは思ってもいませんでした。


まとめ
ちょっと駆け足気味になってしまいましたがこんな感じで予想をしています。ぶっちゃけ人数多すぎて全員触れるとか無理なんでどうしてこうなったのというのがあればメールもしくはツイッターのDMで個別にお問い合わせ頂けると幸いです。

 長文乱文失礼致しました。


追記

・2021年10月8日に高橋和利死刑囚、2021年12月11日に岩森稔死刑囚が病死しました。ご冥福をお祈りいたします。

・2021年12月21日に高根沢智明死刑囚、小野川光紀死刑囚、藤城康孝死刑囚が刑死しました。ご冥福をお祈りいたします。

・2022年7月26日に加藤智大死刑囚が刑死しました。ご冥福をお祈りいたします。

・2023年1月14日に上田美由紀死刑囚が病死(事故死?)しました。ご冥福をお祈りいたします。

・2023年8月24日に岩間俊彦死刑囚が病死しました。ご冥福をお祈りいたします。

・2023年9月23日に窪田勇次死刑囚が病死しました。ご冥福をお祈り致します。

参考文献
・漂泊旦那様「死刑確定囚リスト」
https://hyouhakudanna.bufsiz.jp/cplist.html
・折原臨也リサーチエージェンシー様「死刑囚名鑑 公開版」
http://azegamilaw.web.fc2.com/meikan2.html
・刑部様「管区別死刑被告収容者」
https://waramoon.web.fc2.com/kan_now.html
他判決文等

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