朝ドラ『ブギウギ』 愛助さんの死と重ね合わせたこと
いつの頃からかつい見てしまう朝ドラ。
幼い頃は母が見ていたのを一緒に見ていて、確か爆発的に人気だった「おしん」を見てハマった気がする。
その後ずっと遠ざかっていて回りの少し上の世代が朝ドラの話で盛り上がっていても何のことやら…という感じだった。
朝ドラは特にノンフィクションが面白い。
江戸時代、明治時代、昭和の初め実在の人物のドラマがとても興味深い。
大抵主人公の子ども時代が1週間くらい続いて始まるが、その子役の演じる1週間がとても引き込まれる。
現在放映されている「ブギウギ」もブギの女王笠置シヅ子さんモデルのストーリー
かろうじて笠置シヅ子さんの歌っていた「東京ブギウギ」をテレビで見た記憶がある。
笠置シヅ子さんモデルの趣里さん演じる福来スズ子(趣里さんは伊藤蘭さんの娘さん)
淡谷のり子さんモデルの菊地凛子さん演じる茨田りつ子
歌いたいものも歌えなかった時代、戦争を生き抜いてきたからこその力強さと歌うことの有り難みを歌に感じるのだろう。
先日、主人公福来スズ子の待望の赤ちゃんが生まれた日、ご主人の愛助さんが結核で亡くなってしまったという何とも悲しくやりきれない展開になってしまった。
実際の笠置シヅ子さんのご主人は吉本興業の御曹司で最後まで結婚を許されず亡くなったのは子どもが生まれる前だったようだ。
どちらにしても9才年下であったので亡くなったのは25才の若さ。
兄弟姉妹も幼くして亡くなっており母親も結核だったという。
ドラマでは作曲家の服部良一モデルの草彅剛さん演じる羽鳥善一と福来スズ子がますますその歌声を世に広める展開になるのだと思う。
音楽も服部良一さんの孫である服部隆之さんが担当している。
福来スズ子のご主人役の愛助さん演じる水上恒司さん、昔は不治の病であった肺結核に侵され青白い顔をして日々痩せ衰えていく愛助さんを見ていたら、私の父と重なった。
父も愛助さんと同じ、子どもの頃から体が弱く始終風邪を拗らせては寝込んでいたようだ。
近くにいた叔父が結核で亡くなったので心配した両親は多くの兄弟がいる中、父だけには卵や蝮だったか精のつくものを与えたようだった。
父は30代半ばまで体の様子を見ながらやっと健康になったと結婚した数年後、結核を発症してしまった。その頃の父の写真を見ると愛助さんととてもよく似た青白い頬のこけた顔をしている。
私の3歳の時大手術をすることになった。妹は1歳になっていなかった。
肺は半分になり肋骨も取ったと聞いた。
当時は隔離病棟で家族も行くことはできなかったし何より生きて帰れないかもしれないと、父は8ミリビデオを借りてきて公園で遊ぶ家族を撮ってもらったものが残っている。
ドラマでは普通にお見舞いに行ってマスクもせずに看病しているがありえないことだったと思う。
家には保健所から防護服を着た職員が来て、有機塩素系殺虫剤のDDTとかいう石灰の粉のようなものを手動の噴霧器で撒かれて、そこいらじゅうが真っ白になっていたのを子どもながらに覚えている。
家族が誰も移っていないのに今考えると本当に意味のないことだったと思う。
昔はコロナ以上に恐ろしかったのかもしれない。
そんなことをされたことで近所中に広まり、延いてはあの家の子と遊ぶなと言われ私と妹は仲間に入れてもらえなかった。
確かにコロナに感染している友達の家に遊びに行けとは言えないのと同じで仕方のないことだったのかもしれない。
けれども遊んでくれた子もいたしあまり覚えていないので母の方が悲しい思いをしていたのではないかと思う。
父も愛助さんと同じ世代だと思うが、確かストマイとかいう薬も開発され運良くそれがよく効いたようだった。
結局父は3年余りも入院していたが、回復してこれまで以上に働いて病気がちながらも85歳まで天寿を全うした。
でももしあの時父が命を失っていたら…と思うと私の人生は変わっていたと思う。
そんなことを愛助さんの弱っていく姿を見ながら父と重ねてしまった。
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