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探訪記① 夕張市

1.夕張訪問

東京都民が夕張市と聞けば、夕張メロンを除いて「破綻自治体」「廃墟」「鉱山閉山による衰退」「バブルで無茶な開発」「人口流出」等々、もっぱら負のイメージに彩られています。

直近では「夕張リゾート マウントレースイ破産」のニュースが象徴するとおり、コロナ禍による観光への打撃が甚大な模様です。

なお、交通インフラについても、新夕張駅~夕張駅を結ぶ夕張市線が廃止されたのは2019年3月とかなり最近です。

本ノートは「日本で唯一破綻した廃墟の自治体とはどのようなものなのか」と気になり、以前訪ねたときの記録です。

2.夕張の位置・廃墟の街

札幌市街から直線距離にして約50キロ、意外と交通アクセスは悪くなく、札幌市から日帰り・週末スノーリゾートとしてそれなりに需要が見込めるのでは?というような距離感です。

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例えば、すっかり星野リゾートで有名になったトマムは、新千歳空港からならともかく、札幌中心地からは鉄道にしろ車にしろアクセスが大変であり、トマムに比べれば交通アクセスに恵まれているのでは?そんな限界集落になる場所か?と思いました。しかし、札幌から1時間車で行くと、そこは圧倒的廃墟ワールドでした。

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3.①旧夕張駅跡~②ホテルマウントレースイ~③夕張市役所~④夕張キネマ街道周辺



以下の地図のように移動しました。

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①夕張駅

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「夕張の鉄路にありがとう」という文字が郷愁を誘いますね。

②ホテルマウントレースイ

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直近破綻しただけにまだ外目には新しいですね。

③夕張市役所

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大量のカラスが不気味に鳴いているさまは、さながらヒッチコック映画の"The Birds"を彷彿とさせ、稼働しているとは思えないよう状態でした。
階段のブロックが壊れていたり、ところどころ窓が割れていたり…市役所と言ったら大概どんな市でもそれなりに立派なものですが、修理するお金もないのでしょう。嗚呼。

④夕張キネマ街道周辺

夕張市は炭坑閉山前から今後の産業を模索したところ観光に力を入れようということになり、その一つとして映画で町おこしを企図していましたが、バブル崩壊によりその目論見は頓挫しました。その中心であったキネマ街道周辺ですが、かなり廃墟化が進行していました。

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4.おわりに



夕張市は炭坑により急速に栄え、そして閉山とバブル崩壊により急速に衰えた市です。
現在人口が最盛期の1/10以下になったわけですが、市の基本骨格はいまだ炭坑時代のままのようで、効率性だけを考えれば南部の新夕張駅周辺の広い地域に集団移転するのがいいのかもしれません。

鈴木市長のインタビュー記事にもあるように、要するに現在の人口規模と市の骨格が見合っていない、ダウンサイジングできていないことが苦境の一因であり、夕張支線の廃線を決めたのもコンパクトシティを志向したようです。

今後人口が減少していく日本は、都心一極集中と地方の衰退という二極化は避けられないわけですが、夕張市は今後の日本の過疎地域が直面するであろう撤退戦のまさに最前線というわけです。

とりあえずふるさと納税しておきました。

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