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裏DVD屋、援デリ打ち子、昔の思い出

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最近の記事

裏DVD⑤/飛ぶやつ

「Nが飛びやがった」 初夏の晴れた昼下がり、ボスが電話口で呟いた。 こういう時のボスって、ブチ切れそうなイメージがあるからなんか意外だった。 電話の後、僕の持ち場にやってきたボスはやっぱり怖い顔だった。 「ったく、あの野郎」 「まあ、そういうことだから悪いけど今日は休憩無しだ」 と僕に伝えた後、電話をしながらどこかに去っていった。 後ろ姿からでも眉間にしわを寄せているのが分かった。 Nさんは、ボスに信用されていたと思う。 一人だけ部屋から現金を別の場所へ移す仕事を任されてい

    • 裏DVD④/報酬

      たばこを吸いながらの客引きは快適だった。 警備員時代じゃ考えられないほどに自由だ。 喫煙していようがお構いなしに、DVDに興味のあるお客さんは俺の前で立ち止った。 常連みたいな人や、何のDVDを売っているのか詳しく聞いてくる人。 小さな看板には〈DVD〉の文字しかない。 それを見ただけではいったい何のDVDを売っているのか分からないのも当然だった。 でも、それを詳しく説明するわけにはいかない。 っていうか俺も現物を見たわけじゃないし、よく知らない。 お客さんか

      • 裏DVD③/たばこ

        ボスと一緒にマンションの下で待っていると2人の男がやってきた。 白いタオルを頭に巻いた眉毛の濃い男と背の低い童顔の男。 タオルの方が「何ですか?このベンツ」 と、小さい声でベンツに気が付かれないようにボスに話しかけていた。 ボスが「さあ」と答えると、タオルは俺の存在に気が付いて 「あ、新しい方ですね!よろしくお願いします!」と、丁寧にあいさつをしてくれた 俺も挨拶を返し、やってきた2人と適当に2,3言会話をした。 どんな怖い人がくるかと思ったら2人とも普通の感じ

        • 裏DVD②/試験

          前科は無いと答えると「ああ、そう」との返事。 男は道中で、色々と話をしてくれた。 この仕事は前科持ちや訳アリの人が多いらしい。 きっと、この男はこの仕事のボスなんだろうと思った。 組織はもっと大きいのかもしれないけど、現場のボス。 話の内容からそう思った。 行きついた先は、駅の東側の繁華街。そこからまた少し歩いた細い路地。 ボスは「ここ」と言って、シャッターが閉じられた細いビルの前で立ち止った。 細いビルの前には小さな赤い工事用のコーンが置かれていた。 膝くらいの高さの

          交通警備/裏DVD①

          18歳くらいの頃、一人暮らしを始めて金に困っていた。 浅草の千束通り近くの築浅アパート。 どうしても浅草の近くに住みたくて、念願の一人暮らし。 家賃は確か7万円ちょっと。 学生でこの家賃を払うのは苦しかった。 最初は交通警備の仕事で日勤と夜勤を繰り返して、何とか生活費を稼いでいたものの、大学に通いながらは体力的にかなりきつかった。 一番きつかったのは大吹雪の日。                               高速道路の上で、10時間くらい立たされたこともあ

          交通警備/裏DVD①

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          裏DVD屋、援デリ打ち子、警備員、学童保育、ラブホテルなど様々な仕事を経験しました。 なんやかんやあって2回逮捕されましたが、現在は普通の仕事をしています。 たまたま援デリについて語る記事を目にしたことで、色々とフラッシュバック。 昔の思い出を書いていきます。

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