田村和広

田村和広

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派閥解散という自民党自己改革、岸田総理の「党内革命」に呼応しているのは誰か

岸田派解散の決心を嚆矢として、まるで図っていたかのように自民党最大派閥の安倍派も解散方針を決めたという。そんな大胆な意思決定を俄かにできるとは思えないので水面下で呼応と調整がなされていたと筆者はみている。 党内戦後レジームからの脱却 報道が事実であれば、これは自民党の“党内革命”であろう。 過去の不祥事に対応して行われた政治改革を経てもなお、自民党は田中角栄に象徴されるような人事や権力の構造からの脱却は成功せず、その内部統制の構造を“温存”せざるを得なかった。政治改革で取

    • 自民党政治資金問題、萩生田政調会長の動きに注目

      逆風は人の本性を晒す。 渦中の本人と取り巻く周辺人物たちの双方ともに。 従前筆者は萩生田光一政調会長の動向に注目し期待と信頼を表明してきた。同氏を取り巻く環境は、昨年7月8日の安倍元総理遭難事件を境に潮目が変化し、今や逆風に変わったように見える。特に最大の暴風に晒されている現在、その身の処し方に着目するならば彼に対する信頼は変わらない。更に不透明ながらも将来を予想するならば、これからも変わることはないだろう。彼が矩を踰えることは断じてないからだ。 なぜそこまで言い切れるのか

      • PISA2022で日本の読解力が2位に上昇(前回11位)、なぜ急に順位をあげたのか

        (この記事の小見出し) PISA2022概要と総括 なぜ順位が上がったのか、その背景 読解偏重の大学入学共通テストを修正せよ PISA2022概要と総括国際的な学習到達度調査「PISA」は、時に教育行政にも大きな影響を与える。2023年12月5日、その最新調査「PISA2022」の結果がOECD(経済協力開発機構)から発表された。本来は2021年実施の予定だったがコロナ禍の影響で1年延期され、4年ぶりの調査となった。 今回日本は数学的リテラシーにおいて全参加国・地域中

        • 「社会保険」問題の解決に挑む政治家(玉木雄一郎国民代表)に注目

          熊が人を襲う災害が自然界で頻発している。一方SNSでもトロールが人々を誹謗中傷しネットリンチにかける”暴行”が連日発生している。中でも「X(旧Twitter)」は、実名を必要としていないためか暴言の程度も頻度も比較的高い。このXでは、政治家の多くが根拠のない中傷や侮辱に悩まされており、SNSの積極活用と風評対策には軒並み苦労しているように見える。 誠に厄介なXだが有効活用している事例も散見される。例えば玉木雄一郎国民民主党代表は、Xを政治活動に積極活用して一定の成果を得てい

        派閥解散という自民党自己改革、岸田総理の「党内革命」に呼応しているのは誰か

          萩生田政調会長に対する長妻議員の悪質なレッテル貼り (NHK『日曜討論』10月29日)

          まさかのラフプレーに驚き憤慨した。ただでさえ時間が短い番組において、貴重な与野党間の建設的な議論が台無しになってしまい、誠に遺憾である。 『日曜討論』(NHK10月29日放送)という公開討論番組内で、あろうことか野党第一党立憲民主党政務調査会長である長妻昭議員が議論の核心から大きく逸脱した言動を展開した。自民党と萩生田政調会長に対する悪質なレッテル貼りを展開し、一時番組の議論が脱線するという珍事が起きた。しかも整然とした司会進行をも乱す“不規則発言”で番組に迷惑をかけ嗜めら

          萩生田政調会長に対する長妻議員の悪質なレッテル貼り (NHK『日曜討論』10月29日)

          NHK『日曜討論』における萩生田政調会長に対する長妻議員の悪質なレッテル貼り(2023年10月29日放送)

          (当該部分文字起こし) NHK『日曜討論』における立憲長妻議員のラフプレー NHKの公開討論番組において、立憲民主党の長妻議員による、議論を台無しにする悪質な言動があったので下記の通り記録しておく。(以下敬称略) 「MC」は番組進行のNHKアナウンサー 「萩生田」は自民党萩生田政策調査会長 「長妻」は立憲民主党長妻議員 番組趣旨説明 MC:国会では代表質問に続き、予算委員会で論戦が始まっています。今朝は焦点となっている重要政策課題について与野党の政策責任者の皆さんに

          NHK『日曜討論』における萩生田政調会長に対する長妻議員の悪質なレッテル貼り(2023年10月29日放送)

          メディアの「騙しのテクニック」=「無中生有」に気を付けよう

          疑義の多い記事がまた、FLASHというメディアから10月25日に配信された。 『岸田首相「減税までしてやったのに」国民逆恨みも12月辞任の可能性…萩生田政調会長、木原前官房副長官ら大物議員が“落選危機” 』という表題の記事である。 岸田首相「減税までしてやったのに」国民逆恨みも12月辞任の可能性…萩生田政調会長、木原前官房副長官ら大物議員が“落選危機”(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース 当該記事中、下記の記述に疑問を覚えた。 6つの疑問特におかしいと感じ

          メディアの「騙しのテクニック」=「無中生有」に気を付けよう

          少子化問題①:「少子化の本質」と「トレンド反転のために必要な施策」(要約版)

          我が国はいわゆる「1.57ショック(‘89)」で1990年に少子化を問題と認識した。以来「エンゼルプラン」(’94)などと銘打ち対策を講じてはきた。しかし30年経っても「合計特殊出生率2.07を回復できない」など、少子化トレンドは収束する気配を見せない。それどころか2022年には「合計特殊出生率1.26」や「出生数77万人」など過去最低の事態を迎え、逆に少子化が加速しそうな気配すら漂う。だがそれは当然である。 「少子化」とは単なる「問題」ではなく「成熟国家の必然」であり、「

          少子化問題①:「少子化の本質」と「トレンド反転のために必要な施策」(要約版)

          松川るい議員の「3歳からの幼児教育の義務教育化(女性局海外研修所感)」に注目

          自民党女性局のフランス研修は7月下旬に実施されたが、SNS上の写真をきっかけに大変な注目を集めた。表面的にはネガティブな見方が大勢を占めていたようだが、良識ある人々は否定的な意見とは距離を置いていた様子も観測できた。騒動自体に対しては、政治家のSNSの利用方法に対する豊富な論点を得つつ政局化することは防いだ点など、筆者としては一定程度の成果があったと考えている。 「仏国幼児教育義務化についての松川議員の所感」肝心の研修内容の一部については、10月2日時点で松川議員自身のブロ

          松川るい議員の「3歳からの幼児教育の義務教育化(女性局海外研修所感)」に注目

          「希望出生率1.8」の定義と計算

          ※ 本稿は、定義の整理・記録のための記述である。 一億総活躍社会の実現を目指し、政府は「希望出生率1.8」を目標の一つに掲げている。この「希望出生率」は「合計特殊出生率」などとは全く異なるコンセプトである。 大胆に表現すれば「有配偶者及び未婚女性が希望する通りにこどもを儲けることができた場合に実現する出生率」といったあたりになると思われる。 正確な定義と具体的な「1.8の諸元データ」は下記の通り。 「希望出生率」の定義 内閣府資料における式の定義(希望出生率)=

          「希望出生率1.8」の定義と計算

          「日本の魚を食べて」は賛成だが「中国に勝とう」は「日貨排斥」と「暴支膺懲」を連想

          日本の魚を食べて中国に勝とう 公益財団法人国家基本問題研究所(JINF)による「日本の魚を食べて中国に勝とう」と題する意見広告が9月6日、産経新聞と日経新聞に掲載されました(読売新聞は7日)。ALPS処理水の海洋放出を受けて中国は日本産水産物を全面的に輸入を停止しましたが、この措置への日本側対応策として、日本の海産物を消費するよう、広く一般国民に呼びかけました。 “ 全体として誠に時宜を得た意見広告であり、その主旨には賛同致します。ただし賛同の前提として、一部分に判断を留

          「日本の魚を食べて」は賛成だが「中国に勝とう」は「日貨排斥」と「暴支膺懲」を連想

          ALPS処理水から見えた日本の課題(後編):政府広報とマスメディアの歪な力関係

          事実:「処理水放出は適切」が過半数放出開始直前の8月14日には「放出は妥当あるいは適切だ」と考える国民は過半数の53%に達した(NHK 8月世論調査:実施期間は8月11~13日の3日間)。 NHK世論調査 内閣支持率 | NHK選挙WEB また日経新聞は放出開始直後に行った独自世論調査で、『「理解」が67%』という結果を報じた。 事実:どうやって「処理水放出への理解」を促進したのか ALPS処理水に関するNHK世論調査のグラフを再掲する。 7月初旬のIAEA事務局長

          ALPS処理水から見えた日本の課題(後編):政府広報とマスメディアの歪な力関係

          ALPS処理水から見えた日本の課題(前編):「日本政府の決心と目標達成への道のり」

          この記事(前編)の要旨 菅義偉政権による放出方針の決断以来、漁業者に対する理解の醸成やIAEAの監視といった問題解決の努力を重ね、政府は困難な任務を達成した。 大目標としての「処理水放出」実現のための小目標としての各課題を整理し、政権の努力過程を理解する。 SNSの活用や誤情報への即時反論などにより、放出直前には処理水放出賛成派が反対派の2倍近くまで増加し全体の過半数を超えるなど、日本政府は不自由ながらも広報活動で結果を出したが課題も明確になった。 「処理水放出着手」

          ALPS処理水から見えた日本の課題(前編):「日本政府の決心と目標達成への道のり」

          それでも松川るい議員への期待は変わらない。一層の成長と飛躍を祈念する。

          7月末に実施された自民党女性局のフランス研修が問題視されてから2週間が経過した。この間200を軽く超える“報道”がなされ、繰り返し論難されてきた。「研修ではなく旅行と見紛う写真」に端を発した轟々たる非難に沸騰する社会は、一方で洋上風力発電を巡る汚職事件が発覚してもあまり関心を示さないなど、物事の判断基準に難があることも自明だがその問題意識は一旦脇に置く。 今回は、松川るい議員が直面する試練に主題を絞る。松川議員の能力と個性は日本にとって貴重であるため、一連のリアクションを一過

          それでも松川るい議員への期待は変わらない。一層の成長と飛躍を祈念する。

          仏国在住者ulalaさんの価値ある指摘「自民女性局がフランスで見るべきだったもの」

          フランス在住の著述家ulalaさんが、ラジオ番組『文化放送 おはよう寺ちゃん』(8月14日5:00放送)において、自民党女性局のフランス研修に関してコメントを発信しました。 ulala(フランス在住 著述家) 【公式】おはよう寺ちゃん 8月14日(月) - YouTube 当該研修が問題視されてからここまで2週間、200を軽く超える報道がなされ、多くの人が批判を展開しましたが一つ一つは皮相的な指摘の繰り返しであり、あまり有意義な声ではありませんでした。 しかしこのulal

          仏国在住者ulalaさんの価値ある指摘「自民女性局がフランスで見るべきだったもの」

          自民党女性局訪仏研修の炎が炙り出した日本の課題

          「旅行と見紛う写真が炎上」自民党女性局が実施したフランス研修で、松川るい自民党女性局長がSNSにあげた「エッフェル塔」訪問記念写真が問題視され、激しい非難が巻き起こった。 「他人の不幸は蜜の味」松川女性局長らが窮地に立たされている姿を見ることは、敵意を抱く他政党支持者や嫉妬を感じている一部の人々にとっては無上の愉悦であろう。彼らの脳内には快楽物質「ドーパミン」が溢れているのだろうか、SNSのエコーチェンバー内でより過激な言説を生産し消費し続けている。 非難の多くは行き過ぎ

          自民党女性局訪仏研修の炎が炙り出した日本の課題