これから約2週間、休暇をもらうことになった。

先週5日間の介護の末、母を入院させたはいいものの、これからこの疲弊した状態で2週間休日関係なく連続勤務するのは厳しいと思い、会社と相談した結果、休むことができた。

すこし貰いすぎかなとも思ったが、先週のつきっきりの介護で頭の中がとっちらかってしまい、家も仕事も何から手を付けていいのかわからない状態で、ここから異動後初の四半期決算業務に取り組むのは難しかった。

睡眠もよく取れていなかったし、出社した日も頭が回らず仕事にならなかった。昨年の12月に父が亡くなってからずっと走っていたし、異動が決まったタイミングで母が骨折して入院し、そこから突然、全介助が必要な状態で母が家に帰ってきて、そこから再入院。もういい加減、ちゃんと休むべきだろうと思った。

休暇がはじまって、とりあえず固定資産税の支払いをやり、母の病院に荷物を届け、閃光のハサウェイを映画館まで見に行った。こういう時はとりあえず映画を見ると良いという経験則があり、シートに身を委ねてスクリーンに映る他者の物語を見ると、どこかしら客観的になって心にゆとりが生まれる気がした。

閃光のハサウェイは出来がとても良く、逆襲のシャアでは若気の至りで戦場に飛び込み場を荒らしてしまったかつてのハサウェイのナイーブな印象と、テロで巻き添えになる人を不可避な犠牲として黙認する非情なテロリストである現在の姿、そしてギギにかつてのクェスの幻影を見て脆さを見せる青年ハサウェイが混ざり合い、複雑な人間像が描かれていた。

初日からこんなにリラックスしてしまって大丈夫なのかと思い、翌日は溜まっていた家の事務手続きをやることにした。

各種振り込みや会社への休暇申請書の作成、病院に入院証明の作成を依頼したり、区のオムツ補助の申請について調べたり、相続に必要な名寄帳の取得のための書類を書いたり、膨らみはじめた携帯の電池を注文したり、勢いでスマホからマイナンバーの申請をしたり。

仕事に追われながらだとプレッシャーを感じて、これらのタスクになかなか着手できずにいたが、今くらい余裕があると色々と手を出すことができる。申請書を書くにも紙をコンビニで出力してからでないと、などと思っていたが、今やipadのアプリで直接PDFにテキストを入力できたり、スマホで書類を撮影して添付したり、顔写真を取ってそのままマイナンバーの申請ができてしまったりする。今更ながらデジタルツールの便利さを実感してしまった。

忙しいという気持ちに負けて、より楽なやり方を考える余裕すらなかったんだと改めて気づいたわけで、やはりこのタイミングで休暇をとって良かったと思う。

めずらしく地上波の情報番組を見ていると、税金の滞納で差し押さえを受ける人の特集をやっていた。プレッシャーに心が押しつぶされて税金を納められずにいると、こんな風に人生が詰んでしまうのだな、と思えて乾いた笑いが出てしまった。介護保険料を滞納した家にいったら具合の悪そうな老人が寝ていて、取り立て人が病院にいかなくて大丈夫?、といいながら家財道具を差し押さえていく様がなかなかにホラーだった。

忙しさに心を削られていた我が身にしてみれば、タイムリーな恐怖だった。

そういえばSiriに直接話しかけたらカレンダーやタスクの登録ができることも初めて知った。文章を音声入力するのにかなり抵抗感があったのだが、(というか話し言葉が書き言葉にならない)事務的なメモ用途なら便利に使える機能だと思った。

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