科博再訪録　アロハ

（前編　このツイートのツリー読んどいて）

アロハ天狗、10時に科博入館…！帰宅時間を踏まえると14時には退館の強行スケジュール…！理外の行程…！
しかし入念にインターネットのオタクから脅されていたアロハには策があった

— アロハ天狗 (@Aloha_Tengu) November 30, 2019

東京　某所　国立科学博物館　朝9時

👴「ククク…今日もワラワラと来ておる、入館者どもが…！親子連れ…観光客…！馬鹿めっ…！観光ついでに来れるようなところではないのだ…ここ、科博は…！目に浮かぶわ…『よーし動物園でパンダ見るついでにちょっと科博も寄っちゃうぞー』などと油断した親子連れが、憔悴…！地球館一階で時間切れとなって退館していく、有様…！奴らのパターンは揃って同じ…『所詮入館料600円程度だからサッと見れるだろう』と甘い考え…妄想にしがみついた挙句…敗れるのだ…！徹底的に…！」

ざわ…

😎「か、館長…！」
👴「なんだ…！」
😎「入り口に…その…来てます…！奴が…！」

👺「ククク…！」
ざわ… ざわ…

👴「うっ…！奴は…前回…二日酔いで滞在時間4時間のRTAを挑んだ挙句…無様に敗走したはず…！ククク…現れたか、再び…！懲りもせず…！」

😎「あの…」
👴「ククク…大方…再び東京に来る用事が出来たから、ついでに…前回のリベンジといったところか…ククク…馬鹿めっ…救い難い…！一度や二度来たからといって…どうにかなるところではないのだ…科博…国立科学博物館とは…！」
👴「構わん、入れてやれ…！」
😎「は、はっ…！」

アロハ、組織による第一関門…予約のチェックを通過…！そして第二関門検温…第三関門入場券と難なく通過

👴「さて…見せてみろ、アロハ…！その浅知恵での、無駄なあがきを…！」

◆

😎「うっ…！館長…奴は…！」
ざわ…
😎「ゆっくりと確認してます…！入口付近のガチャポン…！品揃えを…！」

👴「カカカ…アロハめ…！まだわからんのか…！ガチャポンなどは退館間際の隙間時間に見るもの…！それを最初に見るようでは、今回もノーチャンス…！まるで得ていないではないか…！前回の教訓を…ククク…！」

その時館長の脳裏に去来する…微かな違和感…！
だが、館長自身その正体が掴めない

そして…

ざわ…
😎「館長…！動きません…奴が、地球館一階から…！」
アロハ　牛歩…！
熟読…！各種説明文言…！動画の類もしっかりと視聴…

😎「うっ…普通科博リベンジ勢ときたらああのんびりとはしていられないというか…大抵はわずかな時間も無駄にしたくないと…慌ててダッシュ…！万年時計…マッコウクジラ…イトカワの小惑星片…！ティラノザウルス…！量子加速器…！挙句の果てにタイムリミットを伝えたら…醜くこねる駄々…！」

その時、館長の脳裏にひらめき走る…！
👴「カカカ…アロハめ…！読めたぞ…！お前の目論見…！」

◆

👴「お前たち、まあ見ていろ…奴はこのままのペースで一階を見切ったら…そこで退館する…！」
😎「えっ…？」
😎「うっ…！」
ざわ…

そして…
アロハ　退館…！

ざわ… ざわ…

😎「うっ…！」
😎「どうして…！？」

👴「ククク…考えてみれば単純…一点集中…！奴は賭けたのだ…！今回の科博訪問…奴は捨てたのだ…！科博全体を見ることを…！」
😎「ううっ…！」
ざわ…

👴「奴はおそらく…午後からの予定に備えて…早めに科博を訪問…だが奴自身がこの前の敗走で痛感した通り、科博をその短時間で回ることは不可能…そこで絞った…！狙いを…！科博のエッセンス詰まり、見所の凝縮されたここ、地球館一階に…！」

ざわ…ざわ…

👴「ククク…馬鹿め…！逃げなのだ…！それが…！」
👴「奴の戦略は一見クレバー…的確に見えるがそれは表面だけ…！実際のところは…今回も時間がないが表面だけ流すのはあまりに惨め…だからせめて一階だけでもゆったりと見学することで…誤魔化しておるのだ…！己の心を…！」

😎「うっ…！」
ざわ…
👴「ククク…アロハめ…剥げたな…その…心の…浅ましいメッキが…！ククク…！」

そして館長は再び館長業務に復帰…科博の業務形態は通常シフトに移行…急速に冷めていく…勝負の熱気…
　
だが…1時間後…

😎「あ、あああっ…！」
👴「どうした、騒がしい…」
😎「います…！2階に…奴が…！」
👺　
👴「な、なにいっ…！！」
ざわ…ざわ…

👴「考えられぬっ…今の科博は完全予約制…奴が入ってくることなど…不可能…」
😎「ああっ…！奴は…もしかして…食事一時退館からの…再入館を…！」
👴「再入館だと…！？ぐっ…！」

👺「ククク…やつら慌ててやがる… だが…これからが真骨頂…絞り尽くしてやるっ…科博…！」

◆

👴「待てよ…奴が再入館してきたということは…」

異常事態の中で館長の中に再び、消えた筈の疑念が頭をもたげる
アロハの開館と同時の入館、ゆったりとした見学ペース、そして再入館…！

👴「あ、あああっ…！！」

👴「お前たちっ…！今すぐ持って来いっ…！入館予約リストを…！」
😎「や、奴の予約は確かに9時で設定されていましたが…」
👴「馬鹿もんっ…！持ってくるのは『明日』の予約だっ…！！」

😎「うっ…！」
ざわ…
😎「これは…！」
😎「予約されています…アロハ名義で…明日の朝9時…！」
ざわ…ざわ…
👴「ぐっ…！」
😎「館長、これは…！？」
👴「まだわからんかっ…お前たち…！」

👴「アロハは東京訪問…一泊二日…その全てを…突っ込んできた…！ここ科博に…！！」

ざわ… ざわ…

👺「ククク…気付いたか連中… だが…今更気付いたところで…元よりこんなのは連中の想像の外…理外の行程…！打てる対策など無いのさ…！」

科博側は2階、3階と順調に見学していくアロハを止められない。
そう、考えてみれば元よりアロハは予約して入館料を払っているだけ… それを止める"理"などない…！

そして…初日閉館時間…！

👺「ククク…」

👴「ぐぐっ…！」
😎「いや…待ってください館長…！ひょっとするとあります…可能性…！」
👴「…？」
😎「奴の明日の予約…他の予定が流動的故の…カラ押さえ…！」
👴「うっ…！」

そう…本来は許されぬ不正だが…
例えば会いたい相手の予定がギリギリまで変動…！
こんな場合、両方の日程の予約をする輩がいる…！
予約だけなら無料という科博のルールの穴をついた、無法の戦略…！通常であればこうした輩は半殺しにされ、出禁…！悪質であれば即刻地下行きの可能性もあるイカサマである

だが…皮肉にも…組織側は祈るしかない…、アロハが今回、その無法をしてくれていることを…！

◆

が、翌朝…！

👺「ククク…」
祈り届かず、アロハ、来館…！
再開する…見学を…！

👺「なるほどなるほど…思ったより…大した見応えじゃねえか…！360°シアター…！さて…次は…」
👴「ま、待て…！」
👺「ククク…来たか…」
👴「アロハ…貴様…無いのか…！？人と会う予定…これから…！あるいは…昨晩…飲みすぎて二日酔い…！」
👺「予定は…無い…！昨日も…上野で一人で軽く立ち飲みした程度…あとは就寝…格安ビジネスホテル…！ククク…絶好調さ…！」

このアロハの発言は半ば（はんば）ブラフ、実際は昨日の開館に間に合わせるための始発新幹線、終日の立ちっぱなしの疲れは抜けず、脚も痛めておりむしろ満身創痍…！

だが、その事実を知る由も無い組織側にはこの揺さぶりは、効く…！

ざわ…ざわ…

👴「ぐっ…アロハ…貴様…あるのか…？三日目…誰かと遊ぶ、最終日…！仕込んだか…こちらも気づかない内に…毒を…！」
👺「ククク…三日目か…ねえよ、そんなもん…！今日が終わればそこで退散…一泊二日だ…！」

👴「馬…馬鹿もーんっ…！」

👴「大の大人がわざわざ新幹線に乗って…一泊二日…ただただ…科博だけ…！？通るかっ…そんなもん…！」
👺「通るっ…お前たち自身がはっきり宣言したはずだ…！科博は誰でも歓迎…休館日以外ならいつでもウェルカムだと…！」
👴「ぐうっ…！」

👺「ククク…唯一の懸念は…途中退出からの再入館…！いくら調べても、こればっかりは現地に来ないとわからないんでな…！これについては運否天賦…お前たちが急にコロナを口実に再入館不可と言ってきたらそれまで…！科博内に手頃な価格のレストランがあるとはいえ…諦めざるを得ない…！上野での豊富なランチの選択肢…！」
👴「くっ…」
👺「ククク…だが現地について安心したぜ…お前たちときたら結局のところ…再入館にはまるで無警戒…ホイホイと再入館券を発行してくれるんだからな…！しかもお人好しなことに…無料コインロッカーまで呑気に開放とくりゃ笑いが止まらねえ…！おかげさまで行けたぜ…上野の名店…！ハリマ・ケバブ・ビリヤニ …！」

👴「ぐっ…！」
👺「まあ…ここは味は文句なしだが…量も辛さも強烈…！科博見学中のちょっとした腹ごなしには、オススメできないがね…ククク…！」

◆

👴「だが…アロハ…！貴様、どうするつもりだったのだ…！もし仮に…見学が…予想外に捗り…初日…！あるいは二日目の午前中に見切ってしまったら…！東京滞在で予定も無い中それは、あまりにリスキー…！可能性としても受け入れられる訳がない…！」
👺「ククク…てみろよ…」
ざわ…
👴「あ…？」
👺「見てみろよ…今自分がいるところの地図を…！」
ざわ… ざわ…
👴「地図…？ここは…上野で…」

👴「あ… あああっ…！」
😎「か、館長…！？」
👴「やられた…裏目…！観光客や親子連れ…獲物をおびきよせる罠…！集中的に配置した施設…その全てが、裏返ってきた…！」
ざわ… ざわ…
👺「ククク…気付いたか…館長…！あるのさ…ここ、上野公園には…！国立博物館…！都美術館…！国立西洋美術館（改装中）…！挙句にゃ動物園まで…！」
👴「ぐっ…！」
👺「わかったろう…ここ上野にいる限り、ありえねえのさ…！時間を持て余すなんて事は…！」
ざわ… ざわ…
👺「まあ…実際のところ、科博だけで十分…！そもそも時間がだぶつく事はないと踏んでいたが…セーフティがあるだけで取れる戦略が変わってくる、それが肝要…！」
👴「ぐっ…（迂闊だった…！博物館、美術館…！閉館させておけば、あの時…！）

◆

👺「おっと…そうこう話していたらもう昼前…減ってきたな、腹が…」
👴「アロハ、まさかお前…」

👺「ああ、再び行使させてもらう…再入場権…！倍プッシュだ…！」

ぐにゃぁっ…！
👴

👺「ククク…今日は…とんかつの名店、とん八亭辺りで、取らせてもらう…ランチ…！限界を超えて…！」

👴「ぐっ…ぐぐぐっ…！」

◆

そして昼食後、再入場を果たしたアロハ
組織側にはもはやそれを止める手立てなく　
ただ、呆然と眺めるのみ…！
見学されていく…！
地球の歴史…！生命の進化…！日本科学史の偉人たちの業績…！技術の進歩…！自然の法則…！

溜め込んできた展示…知識…！その全てを…！！

そして二日目　閉館間際
👺「ククク…十分堪能させてもらった、じゃあな…！」
👴「待てっ…！アロハ…！」
👺「どうした…？俺はもうこの後は…夕食を食べて帰宅予定なんだがな…」
👴「アロハ…！貴様ならこの二日間で…いや…来る前からわかっていたはず…！今はコロナ禍…！科博は今…体感型展示や音声ガイドなどは中止…展示規模は縮小…！今は科博に来るには最悪のタイミング…！それを何故…貴様は敢えて…今だったんだっ…！？」
👺「本意じゃねえ…」
👴「…？」
👺「オレだって…本意じゃなかったっ…！だが…子持ち勤め人にとっては…一泊二日完全に自由行動ができる日というのは命より貴重…この機を逃したら次回は一日外出券がいつ使えるかもわからねえ…だから…今しかなかったんだっ…！」
👴「…！そ、それならなおさら…！」
👺「…簡単さ…！オレは信頼したんだっ…！」
👴「信頼…？」
👺「そうさ…　コロナがどう暴れようが…オレは…あんたらを買っている…！科博であれば多少、展示が縮小していようとオレの好奇心を丸二日満たし続けることができる…だってそうだろう…ここは科博…！質・量ともに考え抜かれた展示内容で自然科学及び社会教育の振興を図る…日本最高峰の科学博物館なんだから…！」
👴「ぐっ…ぐぐぐ…ぐぐぐぐ…アロハぁ～～…！」

👺「じゃあ俺はこの後…カレーの名店『デリー』に行って写真を撮り忘れる予定なんでな…！」
👴「待てっ…アロハ…！」
👺「…」
👴「戻ってこい…！必ず…！お前の知らぬ知識をアップデートし…展示内容をリニューアル…コロナが収束したら…次は見切らせぬ…必ず…！」ﾎﾞﾛｯﾎﾞﾛｯ…
👺「ああ…戻ってこよう…今度は…親子連れでな…！」

科博頂上決戦　終結…！

次回　スピンオフ　科博運営録 カンチョウ