Aloha歌人

幼少のころから家庭環境により、強く短歌の世界を意識する。ゆえにプレッシャーを感じ、あえ…

Aloha歌人

幼少のころから家庭環境により、強く短歌の世界を意識する。ゆえにプレッシャーを感じ、あえて短歌の世界に足を踏み入れなかった。しかし、短歌への魅力に惹かれる自分を解き放つことにした。ハワイ島在住。アメリカ生活40年。短歌とフォト、そして解説を交えた作品を自由に発表していきたい。

最近の記事

【短歌】若い恋 三首、その三

背が伸びて 胸も膨らむ となりの子 机並べて 置いていかれる 解説  同級生の女の子たちが、急に背が伸びて胸もわずかに膨らんでくる。その横で机を並べる僕は、なぜか置いて行かれている気がした。早熟な女子に比べ心身とも幼稚な自分の焦りと戸惑い。だけど何気なく目が行ってしまう女の子たちの変化に胸がドキドキした。

    • 【短歌】若い恋 三首、その二

      恋心 告られ困る 恥ずかしや 作法も分からぬ 恋の駆け引き 解説  突然告げられた恋心。こちらも恥ずかしくてたまらない。どう答えていいのかも分からい少年の困惑感を思い出す。そんな経験を重ねながらやがて恋の作法を少しずつ覚えていくのだ。分からくてもしょうがない。大丈夫、上手く立ち回ることだけが正解じゃないからとその頃の僕に伝えたい。

      • 【短歌】若い恋 三首、その一

        通学路 遠目に揺れる ポニーテール 駆け出す心音(しんおん) 何故か赤らむ 解説  通学路に気になる女の子のポニーテールが揺れるのが見えるだけで、心は揺れ心臓の音は早く鼓動し、何故か僕の顔も上気して赤らんでしまう。少年時代のその一瞬の光景が今も脳裏によみがえる。少女の顔も思い出せないが、その時の自分の反応に驚く自分自身の気持ちは忘れないのだ。

        • 【短歌】思春期 三首、その三

          大好きな 母の言葉が 逆なでる 無愛想な声 理由(わけ)なき反抗 解説  何時からか大好きだったはずの母の言葉が僕の感情を逆なでするようになった。答えるのも面倒でつい無愛想になる。僕の理由なき反抗が始まったのだ。

        【短歌】若い恋 三首、その三

          【短歌】思春期 三首、その二

          自意識が 魔法の鏡 覗き込む 柔らかな髭 小さなニキビ 解説  思春期は自意識や羞恥心というものが最高潮に達する。訳もなく鏡ばかり見て自分の容姿を確認していた僕。うっすらと柔らかな産毛のような髭が鼻の下に生え始める。小さなニキビが気になってしょうがない。体の変化が嬉しいのか戸惑っているのか自分でも分からなかったあの頃。

          【短歌】思春期 三首、その二

          【短歌】思春期 三首、その一

          苛立ちが 何か分からぬ 戸惑いに 歯ブラシを手に 鏡みつめる 解説  何故かわからぬ苛立ちに、自分自身が戸惑い不安を感じた思春期のあの頃、イライラすると、闇雲に歯を磨いてスッキリするのが好きだった。その癖は今も同じ。歯を磨く時に自分の顔を鏡の中に見て僕は何を考えていたのだろうか。

          【短歌】思春期 三首、その一

          【短歌】春の風 三首、その三

          昼の日に 誘われ出るも つい薄着 肌身が締まる 春の夜の風 解説  日中のお日様が温かくなり、僕はつい陽気に誘われて外出したものの、少し薄着で出てしまった。夜になると風がまだ少し寒くて肌寒かった。温かさに騙されて、あとで冷たい対応をされてしまった時に似た軽い後悔と自分の迂闊さを感じる。

          【短歌】春の風 三首、その三

          【短歌】春の風 三首、その二

          頬撫でる 風が柔らか 包み込む 桜の気配 もうすぐそこに 解説  少し柔らく感じる春の風が頬を撫で僕を包み込む。大好きな桜の花が咲き乱れるのももう間近だろうという予感。

          【短歌】春の風 三首、その二

          【短歌】春の風 三首、その一

          海街(うみまち)に 春風駆(か)ける その刹那(せつな) 鼻腔(びくう)くすぐる 花の妖精 解説  海の街に春一番が吹くと、もうその瞬間 鼻の奥がそこはかとなく疼く。今年もまた花の妖精たちが僕の鼻をくすぐりにやって来る季節がきた。

          【短歌】春の風 三首、その一

          【短歌】コナの月 三首、その三

          新月の 闇にそろそろ 足運ぶ 見上げる夜空 星は煌(きら)めく 解説  新月の時の夜はとても暗いので、外を歩くときに足元にばかり気が行って慎重な足運びになってしまうもの。だけど、夜空を見上げれば、暗い分だけ星たちが鮮やかにきらめいているではないか。人生も暗い闇の中にいて身動きが取れなくなる時がある。だけど、下ばかり見ているのではなく思い切って上を向いてみれば、そこには明るい光があって、ちゃんと私たちを誘(いざな)ってくれるのではないだろうか。

          【短歌】コナの月 三首、その三

          【短歌】コナの月 三首、その二

          明るさに 夜中に目覚め 窓を見る 海面(うみも)を照らす 満月浮かぶ 解説   コナに暮らし始めて、満月の頃は夜寝る時にベッドルームのブラインドを開けたままにする。あまりの明るさに夜中に目が覚めたとき、窓の外を見ると、月の光が海に反射して神々しい。海の上に浮かぶ満月に感謝し、しみじみ幸せを感じるのだ。

          【短歌】コナの月 三首、その二

          【短歌】コナの月 三首、その一

          煮えたぎり 跳ねる溶岩(ようがん) 見下ろして 満天の星 ムーンボウ 解説  ハワイ島のキラウエア火山が噴火して巨大な溶岩湖が生まれ、オレンジ色の溶岩が激しく跳ね上がるようにグツグツと煮えたぎっているのを見に行った。壮大な地球という生命体が脈打つように活動している。噴煙が昇る空を見上げると満天の星空が広がっている。そして、満月の光に照らされて夜空にムーンボウの虹がかかる。なんと贅沢な地球と宇宙の競演だろう。

          【短歌】コナの月 三首、その一

          【短歌】コナの海 三首、その三

          淡い蒼 深く濃い蒼 エメラルド 異なる彩(いろ)に 海底の質 解説  コナの美しい海を高いところから眺めると、淡い蒼色や濃い蒼、そしてエメラルド色などの色々な色彩の海が見える。海の底の深さや砂地、岩底などの質で様々な色彩が楽しめるのだ。人間もその人の根底にある質が色となって表れてくるのではないだろうか。果たして僕は何色なのだろう。

          【短歌】コナの海 三首、その三

          【短歌】コナの海 三首、 その二

          風吹けば 白波はじける 強(こわ)い海 大きなうねり 抗(あら)がうこころ 解説  普段は美しいコナの海も今日は風が吹いて無数の白波がたって、とても力強く見える。僕の人生も強い風やうねりに巻き込まれはするが、それにただただ押し流されないように心を強く抗い自分らしい生き方をしたいものだ。パンデミックを経験して特にそう思う。

          【短歌】コナの海 三首、 その二

          【短歌】コナの海 三首、その一

          坂道を 下る眼下に 朝日浴び 揺れる波間に 心高ぶる 解説 朝、自宅を出て車で坂道を下る時に、朝日を浴びてきらきらと輝くコナの海が目に飛び込んでくる。その美しい蒼い海を見ると、僕はとてつもなく幸せな高揚感に満たされるのだ。

          【短歌】コナの海 三首、その一

          【短歌】パパイヤ三首、その三

          手土産の パパイヤ下げて となり人 笑顔でつなぐ 老後生活 解説 コナの隣人が庭で取れたパパイヤを手土産に持ってきてくれる。そんなときに笑顔で交わす何気ない会話が、お互いのこれからハワイで始まるであろう老後生活を支えあう礎になるのだと感じる。

          【短歌】パパイヤ三首、その三