見出し画像

あなたの犬は本当に腎臓病ですか?

今日はトイプードルのニコちゃんの再診日。

ニコちゃんはちょうど1週間前に遠方からわざわざセカンドオピニオンで来てくれた子だった。2ヶ月ほど前に体調を崩して、いつも行かれてる先生に受信して、検査の結果、腎臓が悪いと言うことで毎日通院で点滴をしていると言うことだった。

僕は腎臓の専門家というわけではないが、昔から動物の血液透析や腹膜透析をしていたり、猫の尿管結石にはやくから取り組んでいて多くの手術をしている事もあって、腎臓や泌尿器のセカンドオピニオンや紹介の子をよく診察している。

今までの病院での血液検査のたくさんの結果などをファイリングされた資料を持って来院された飼い主さんと、今までのニコちゃんの様子や元気だった頃の話などを聞いていく。
うん?なにか違う気がするな〜。

確かに血液検査を見ると腎臓の数字はかなり高くて、かなり悪い数字だが、なんとなく違う気がする。
「とにかく腎臓のエコー検査をさせてもらえますか?」
と飼い主さんに話し、了承を得てエコー検査をやってみる。
腎臓は画像的にも構造の異常や萎縮などもなく、急性腎障害を疑うような典型的な像もない。

飼い主さんにその事をお話しして、「画像状はどうしても腎臓が悪いように見えないので、ホルモン検査をさせてください」と飼い主さんにお願いし、コルチゾールを測定。

やっぱり・・・・

アジソンだった。

アジソン病は副腎というところからのホルモン分泌が低下する病気で、実は意外に多い病気なのに、ちゃんと診断されていないことも多い。
それはアジソンがなんとなく元気がなかったり、食欲にムラがあったり、時々お腹をこわす、脱毛、貧血など典型的な症状がないため、アジソンを疑って調べていかなければ診断できないことが多いから。
典型的なアジソンは血液検査で電解質に異常を起こすので、まだ診断されることも多いが、非定型アジソンと言って電解質にも異常がなく、低血糖だけだったり、なかには血液検査には全く異常がなかったり、ニコちゃんみたいに腎臓の数字だけが異常だったりする。
なので、残念だけど誤診も多い。
ただ、診断してしまえば、治療は比較的楽で、投薬さえちゃんとすれば、見違えるほど元気になる。

アジソンと診断して1週間・・・
ニコちゃんの様子を飼い主さんに聞くと・・・

今までが嘘のように元気な時のニコに戻りました!

と嬉しい声と笑顔が!体重を見ると、元気な時と同じ体重に戻っていました。

そして腎臓の数字を見てみると・・・すっかり正常値です(^^)

2ヶ月間、毎日点滴しても正常にならなかった腎臓の数字が、アジソンの治療を始めてたった1週間で全くの正常値になっていました。

腎臓の数字が高いからと言って、腎臓病ではないこともある
肝臓の数字が高いからと言って、肝臓の問題ではないこともある

これはいつも自分に言い聞かせてることだけど
飼い主さんと動物の声に耳をすまして、少しでもヒントになる情報を見つけよう。

今、腎臓病で治療しているあなたのわんこや猫さんは、本当に腎臓病ですか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?