チームへのヒアリングを鵜呑みにするマネジメントはアンチパターンなのか

エンジニアチームの自己組織化を目指すマネージャーやスクラムマスターが、チームメンバーの課題意識を伺うことはよくあると思う。「何か気になることはありますか?」「困っていることはありますか?」といった問いかけをし、チームメンバーが現状をどう捉えているかを探ることは、きっと多くのマネージャーが一度は試していることだろう。

この行動の背景には、マネージャーやスクラムマスターが観測/予測している課題について、チームメンバー自身が自覚的かどうか、またチームメンバー自身が解決を試みようとしているかどうかを確認する意図がある。

このアプローチに僕は概ね賛成だ。
マネージャーが今後起こるであろうトラブルや障害をすべて取り除いてしまったら、チームメンバーはそれらを経験することができない。経験する機会がなくなることは、学ぶ機会がなくなることとニアリーイコールだ(ちなみに経験と学びの関係については過去に語った)。

これを防ぐために、つまりマネージャーが先回りして課題を解決/回避し過ぎてしまわないために、チームメンバーが課題と向き合えているかどうかを確かめる問いかけをするわけだ。

あるいは、マネージャーが過保護になり過ぎて「チームメンバーが困っているはずだ」と思い込んで余計なお節介をしてしまわないために、チームメンバーの課題感を確認する場面もあるだろう。

いずれにせよ、マネージャーやスクラムマスターがチームメンバーの様子、特に課題意識を見定めることは有用だ。マネージャーやスクラムマスターには「観察」のスキルが求めらるが、こういう場面でも活きるのだと思う。

一方で、問いかけの返事を鵜呑みにしてマネジメントの舵切りをすることはとても危ういと、最近ようやく思うようになった。

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