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【ラテンアメリカ旅行 #05】🇦🇷世界中からハイカーが集まる街エル・チャルテン


フィッツロイを拝む


▽ ロス・トレス湖ルートについて

フィッツロイを見るために目指す人気トレイルが『ロス・トレス湖トレイル』。フィッツロイは原住民に昔から『煙を吐く山』と言われるほど雲に覆われていることが多く、見える確率は低い。
僕もこのトレイルに予定通りテントと食料を持って行ってきた。日帰りでも行けるが、朝日を山の上で見たいので1泊した。
このロス・トレス湖から、セロ・トーレのトーレ湖までを繋ぐルートもあり、2泊3日で行くことも可能。

1日目は途中、湖のビーチに立ち寄りフィッツロイを見て、南極ブナの原生林に囲まれたキャンプサイトまで向かう。2日目の朝、暗いうちに出発して夜明けのロス・トレス湖からフィッツロイを見て下山、という流れ。

▽ ロス・トレス湖1日目

1日目の昼間は晴れ。フィッツロイは見えてていたが雲がかかっていた。

煙を吐くフィッツロイ

とにかく広く、景色が良くて気持ちいい道のり。
昼過ぎにはキャンプサイトに到着。テントを立てて、川の方に降りていくとフィッツロイが見えていた。煙を吐いている姿を見に行こうくらいで思っていたので、この景色に出会えたことは嬉しかった。暗くなる直前までボーッと自分が今幸せに生きていられることを感じ、心から感謝して眺めていた。

雲がかかっていないフィッツロイ。1時間後、背後から来ている雲に再び覆われた。

テントに戻り、夕飯を済ませ、電気を消してさあ寝よう、と思ったが、その晩、マイナス5度まで下がり全く寝れない。全身ダウン(ジャケット、パンツ、靴)で覆われているので寝袋なしでいけると思っていた。こうなれば目を瞑って休憩するだけ。

ところがある瞬間、顔の上を何かが走り抜けて行ったので、電気をつけるとネズミがバナナを食べ散らかしている。バナナを外の木に吊るした袋に入れるのを忘れていた。約10分後、捕まえてそっと外に出した。そしてテントの角に穴が空いていたので靴を置いて穴を塞ぎ、散らかったバナナを片付け再び休憩。外は風の音が鳴り響き、寒さで寝れないが再び目を閉じた。

▽ 不眠で2日目

しばらくしてアラームが鳴ったので、必要なものを持ってヘッドライトをつけてロス・トレス湖に向かった。風は少し弱まっていたけど、気温が低く、道が凍っていた。夜が明け始めると最高に綺麗な朝焼けが待っていた。

朝焼けの眺め。ロス・トレス湖の手前

少し歩いていると、ロス・トレス湖が目の前に出てきた。ここがトレイルの一つの終着地点で、風がかなり強く寒いので岩陰に隠れて座って震えながら待っているとフィッツロイが浮かび上がってきた。

明るくなる前うっすらとフィッツロイが見えた
明るくなると雲の裏に隠れてしまった

キャンプサイトに戻ると雲行きが怪しくなってきたので、早めに片付けを済ませて再出発。途中いきなり暴風に見舞われ、バックパックが煽られ歩くのも大変なので岩陰に隠れて休憩。20分くらいすると風が少し弱まってきたので再び歩き始めた。

ふと後ろを振り返ると、フィッツロイが暗い雲に覆われていて、クライマーの自然との対峙を想像しつつ、天候の不安定さを実感した。

再び煙を吐くフィッツロイ

トレイルの終盤にはエル・チャルテンの街周辺も雨雲に覆われ、街に戻った後は暴風雨となった。色々な意味で印象強く、素晴らしいトレッキングだった。

セロ・トーレも見えるのか?


▽ セロ・トーレについて

世界で最も登攀が困難な山と言われるセロ・トーレ峰(3,128m)は、パタゴニアのフィッツロイ山群を代表するもう一つの名峰です。
セロトーレは、パタゴニア南部氷原に直に接するために、気象条件はフィッツロイよりも悪く、なかなかその姿を現しません。ひとたび天候を崩すと、時には山麓の湖畔でも立っていることが困難なほどの暴風が吹き荒れます。

https://www.andina-travel.com/blog/patagonia161112/

▽ トーレ湖は日帰り

翌日再びLisaと合流し、日帰りでトーレ湖のトレッキングに向かう。エル・チャルテンから登山口までは徒歩で行ける。トレイルもほとんどが平坦で自然の中を散歩しているくらいの感覚だった。
セロ・トーレの方を見ると雲がかかっていてる。上の説明の通りだ。

周りを見ると山の方はどこも曇っていた
焼けてしまった木と新しい木が混ざり合う道

▽ 道のりは仲間を知るいい機会

Lisaと話をしていると、彼女はフェミニストコミュニティに参加していて、3/8の『International Women’s Day(別名ミモザの日)』にコミュニティのデモに参加するためにウシュアイアに残っていたという。彼女から聞いた話を振り返りつつ、上手にまとめられた記事があったので以下に共有。

彼女は映画業界で働いていて、アメリカ映画のプロジェクトに携わることが多い。勤務時間や休日もある程度アメリカ側に合わせ、時にはアメリカに出張したりと体力的に大変なので、プロジェクトが終わるごとに長めの休暇を取るのだそう。今回も次のプロジェクトが始まる前の長期休暇で南米に来ていた。とても賢くよく笑う女性で、いつも面白い人たちに囲まれていた。

▽ トーレ湖を見て街に戻る

そんな話をしているとトーレ湖に辿り着き、あっという間の3時間。風のない場所を探し昼ごはんをシェアした。Lisaはサンドイッチを作ってきてくれて、僕は果物と菓子パンを持っていった。

せっかくなので晴れている方をバックに写真を撮ってもらう

トーレ湖の向こうには鋭く切り立つセロ・トーレが見えるはずだが全く見えない。氷河と湖が目の前にあったので、写真を撮って引き返した。

雲の向こう側にはセロ・トーレが聳え立つことを想像して目の前に立つLisa

帰り道、僕はその日の午後にカラファテ行きのバスに乗ることを思い出し、少し早歩きで街に戻り、Lisaと再びお別れをしつつ、お互い同じ方角へ向かうのでまた会うと思っていた。そして再びエルカラファテへと向かう。

今回はここまで。次はペリト・モレノ氷河について

最近仲間に紹介してもらったPatrick Watsonの『Perfect Day - Piano Komorebi Version』。
Wim Wenders監督の映画『Perfect Days』のためにレコーディングされた曲でLou Reedの『Parfect Day』のカヴァー曲でもある。
南極ブナの原生林と川の横でフィッツロイを眺めていた時間を思い出す。


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