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おばあちゃんの話。

学校の話でも仕事の話でもオタクの話でもありません。長いです。

落ち着いたら記事にしようと思っていたのですが、先月祖母が亡くなりました。

年上のいとこはいるけど内孫長子のわたし。
ほぼ平均身長のわたしより遥かに背が高く、よく笑い、はっきりものを言い、背筋もピンとしてて若々しくてアクティブで(実際まわりの友達のおばあちゃんより年齢も若かったんだけど)。
厳しくも可愛がってもらったと思ってます。いや、結構本気で怖かったことも一度や二度ではないけどもw

祖母は男女雇用機会均等法などまだうやむやな時代から田舎の同じ会社で手に職をつけて定年まで勤め上げ、定年後も体調を崩すまでは自分のできる範囲でお手伝いがてら内職仕事を請け負っていました。

我々きょうだいが食べざかりの時期、うちは母の仕事が終わる頃には夕飯タイムが終わっていたので、きょうだいは母より先に仕事が終わる祖母の夜ごはんで育ったようなもんです。

色んな事情があり、ここ数年は父と祖母の二人暮らし。実家を出ていたわたしもコロナ禍(と私が父と折り合いがあまり良くなかったり)であまり顔を見せに帰ることもありませんでした。

たまの親族の集まりでは歳を重ねて病気がちで次第に弱っていく私の知らない祖母がいて、でも私には昔の元気な姿の印象が強すぎていつか復活するんじゃないかとさえ思わせるような人でした。

最後は入院してて、亡くなる2週間くらい前かな?そのくらいに会いに行って弱々しくもおしゃべりは健在だったので、もう少し生きてくれるのかなと淡い期待をしつつもお医者さんからは長くはないと言われていて。
そう言われてからは生きてくれることを祈りつつ、万が一のために喪服の準備をするというなんだかちぐはぐな生活に心がどこかふわふわと落ち着かない日々であまりあの日々は経験したくないなあ……と今思い出しても思います。
実際は緩やかなお別れ期間として心の準備をできた日々だったのかも、と捉えられなくもないかな。

3月のある日、祖母は入院先でひとり静かに眠るように亡くなりました。(たぶんほんとに眠りながら)
数時間前まで看護師さんの声に応答もしていたようで強い人でした。


その後のこともろもろを進める中で、これ大人あるあるかもしれないのですが
「写真がない!」
遺影にする写真がないんです。自分の写真って意識しないと撮らないもんね……私もそうだよ(うそ、今年の頭に自担展覧会のフォトブースで撮影してもろた)。

今は事前に自分の遺影を準備する方も増えたと聞きますが、そういうタイプではなかった祖母には誰かの結婚式とかアクティブ時代の旅行先で撮った写真とか、まあとにかく何年前やねんみたいなものしかないわけですよ。

しかし、わたしのカメラロールにいたのです。父には内緒でこっそり会いに行ったときにたまたま撮っていた、まだ体調を大きく崩す前、笑顔で写真に収まる祖母の姿が。

何年前やねんの集合写真と病院で寝たまま撮った最新の写真より、元気だった頃の写真がなんとなくいい気がして最終的にその写真を遺影にしてもらいました。
もう何十年も前に亡くなった祖父の遺影に並べられるよう、洋服を加工してもらって。

あーあの日何気なく撮った写真が遺影になることがあるんだ……と私の中では初めての経験だったので心の奥底がヒリヒリしました。

家族葬でひっそり、とはいえ子孫ひ孫が揃うとある程度ワイワイとなり、想像していたお葬式よりはるかに穏やかにお見送りをしました。
(いとこの幼い末娘はさすがに場の空気に人見知り大発揮してて少し可哀想ではあったけど)

一通りの法要が終わり、自宅に連れ帰ったときに父がポツンと言いました。
「さすがに泣くかと思ったけど、この写真見てたら泣いてるのも違うかなって泣けなかったね」(意訳)

遺影でこんなに笑ってるの大丈夫かなあと思わなかったといえば嘘なんだけど、イメージの中でいる祖母そのものなその写真は(自画自賛)隣で真面目に遺影に収まるおじいちゃんには少し申し訳ないくらい、いつものおばあちゃん満面の笑みです。

この先どこかで急に泣けることはあると思うし、もう少し会っていればよかった気もするけど、この数ヶ月で父と普通に話ができるようになったのは祖母の置き土産かなと思っています。
(まあ、10年以上まともに向き合ってなかった分、慣れないから疲れはするんだがw)

あと、あの写真は「笑っとき」という祖母からのメッセージとして受け止めて。

余談。
祖母は昔から紫色の洋服や家事着を愛用し、病院で最期に着せてもらった服も淡い紫でした。

身長も顔も性格もあのメンタルの強さもあまりにも何も受け継いでないわたしが唯一受け継いだのが紫好き(敬愛する自担のメンカラ、紫)だったのかと初めて気づき、打ち合わせ中の葬祭場で笑いそうになったのは家族には内緒の話w

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