アルミメーカーですが手洗い鉢を作っています~リサイクル材を活用した新たなもの作りへのチャレンジ
こんにちは。
アルメタックス スタッフです。
今回紹介するのは、現在開発中の手洗い鉢について。
当社はアルミサッシなど住宅建材を製造する、アルミのメーカー。
アルミをコアにもの作りをしていることは、過去の記事でもお伝えしているとおりです。
その当社が、アルミを材料にしていない手洗い鉢をどうして作ることになったのか?
開発から販売までの経過を数回にわたってお届けします。
今回は記念すべき第1回。
どうして商品を手洗い鉢にしたのか?
手洗い鉢を作るための材料選びの試行錯誤についてのストーリーをお伝えします。
もの作りや商品開発、メーカーの仕事に興味のある方など、お気軽にお読みいただければ嬉しいです。
なぜ、アルミメーカーが陶磁器の手洗い鉢を開発することになったのか?
開発中の手洗い鉢は、アルメタックスのインテリアブランド「ALCOLOLO(アルコロロ)」シリーズの商品として販売予定です。
以前の記事でお話ししたとおり、ALCOLOLOシリーズは、「再生」をテーマとしたブランド。
そのため、「再生」のテーマにあった新たな商品を作りたいと考えたのが、廃棄物を材料とすること。
当社は創業の地である滋賀県栗東市に「資源循環センター」があり、廃棄物の回収や再資源化などを行っています。
そこで回収した廃棄物を材料にすることは「再生」のテーマにぴったり!
さらに、資源循環センターのある、滋賀県にゆかりのあるものを作ることで地産地消の取り組みにもなるのではと考えました。
その結果、滋賀県を代表する伝統工芸品「信楽焼(しがらきやき)」にちなんだ陶磁器製品にしようということになり、手洗い鉢を作ることになったのです。
また、当社はアルミの洗面台の製作に苦労しており、現在も開発中。
転んでもただでは起きない!
そんなリベンジの意味も込めて、手洗い鉢にチャレンジすることにしました。
■ちょっと解説!信楽焼について
皆さんは、信楽焼がどんなやきものかご存知ですか?
「しがらきやき」と読めない方でも、飲食店の前にある“たぬきの置物”なら見たことがあるのではないでしょうか。
信楽焼の原料は、400万年以上前に琵琶湖の底に堆積していた粘土。
その粗めの土は、浴槽や傘立てなど大物を作るのに向いていると言われ、まさに手洗い鉢の材料に適しています。
資源循環センターが信楽焼の産地にあったことに、ご縁を感じずにはいられません。
手洗い鉢を作ることに決めたけど、肝心の材料がない?!
信楽焼にちなみ、陶磁器製品を作ることに決めました
手洗い鉢を作ることに決めた私たちが、まず取り組んだのが「材料選び」。
陶磁器製品になるものなら何でもいいわけではなく、ALCOLOLOのコンセプトである、環境に配慮したリサイクル素材の中から、材料になるものを探しました。
陶磁器のリサイクルというと、家庭や給食用に使われた中古の食器を材料にするケースが多く、現在さまざまな焼き物産地で行われています。
しかし、当社のリサイクルセンターで回収しているのは、関連会社の新築やリフォーム工事などで発生した建築資材の端材など。
一般家庭からは、廃棄物を回収しておらず中古の食器は使えません。
また、洗面台の回収はしていますが、最近の洗面台は人工大理石でできているものが大半。
人工大理石は樹脂製のため、加工して信楽焼の材料とすることは難しいのです。
作る商品が決まったのに、肝心の材料が決まらない。
おまけに、地球環境を考え、環境に配慮したエコな商品、しかもストーリーのあるというコンセプトに沿ったものでなければならない…。
果たしてそんな材料が見つかるのか?
商品を作る前に「材料がない!」という難題にぶつかりました。
陶磁器製品の材料になるリサイクル素材とは?そうだ瓦があるじゃないか!
そこで、資源循環センターの回収物から、さまざまなものを検討した結果、行きついたのが「瓦」。
瓦は、信楽焼と同じ「陶器」の製品ということで、手洗い鉢の材料には適していそう。
さらに、工事現場から回収された瓦は、細かく砕かれた後、一定の大きさのものは製品として再資源化。
しかし、基準に満たない大きさのものは廃棄処分されていることを知りました。
この廃棄処分されていた瓦を生かすことが、ブランドのコンセプトである「エコの見える化」につながるのではと考え、手洗い鉢の材料を「瓦」に決定!
瓦を使うことで、自社で回収したものを自社で再資源化するという、他社ではあまり見られない取り組みも実現できそう。
理想的な材料にやっと出会うことができました。
一難去ってまた一難!本当に瓦で手洗い鉢が作れるの?初めてのチャレンジは分からないことばかり
材料を「瓦」に決め、やっと商品開発取りかかれる、と思ったのはつかの間、また新たな問題が。
その問題というのが、粉砕した瓦を信楽焼の陶土に混ぜて手洗い鉢が作れるのかということ。
陶磁器製品に適していると思い、材料を瓦に決めてはみたものの、鉢の形に成形できるのか?
水回りで使えるだけの耐水性があるのか?
など、考えることは山積みです。
そこで、過去に建材の共同開発でお世話になった、信楽窯業技術試験場に商品化について相談することにしました。
信楽窯業技術試験場に協力を求めた理由の1つは、実際に施設内のお手洗いで、うわぐすり(仕上げ剤)にリサイクル資源を取り入れた手洗い鉢を使っていること。
私たちがやろうとしていることに近い取り組みをしている心強い相棒を得て、今度こそ開発はスムーズに行くと思ったのですが…
瓦の粉末を混ぜた陶土で、本当に手洗い鉢を作ることができるのか?
一筋縄ではいかない、さまざまな局面での試行錯誤が始まります。
開発の苦労話など、この続きは次回のお楽しみに!
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