第十七回「ラブストーリーインザ出前館」

3時間という長時間。
俺は自宅でひたすら待った。待ち続けた。
出前館。

19時過ぎに俺はインターネットで飯を頼んだ。
サイトの名前は出前館。
一時期UberEatsとやらが登場して来て浮気をしてしまったのだけれど
そのイーツは俺を速攻で裏切りやがった・・・。

待てど暮らせど来ない俺の餌。
「さて今夜私がいただくのは」ができない。
孝之。一体どういうことなんだ。

そして、注文はキャンセルされ泣きながらコンビニに行く俺。
コンビニは優しく俺にこう言ってくれた。

”あなたとコンビに”

ファミリィイィイィイィイイイイイイ
マアアアアアああああああああアアアアアト！！！！！！！！！！

近所にあるファミマだけは24時間365日俺を優しく包み込んでくれるんだ。
俺は、俺は、そんなお前にLOVEってんだ。

だけど、通いすぎてもう並んである弁当や惣菜の味を見ただけで口の中で再現できてしまうところまできてしまいもう何つーかさ・・・。
これ以上言わせないで欲しいんだけど・・・。

ちょっと飽きたんだよね・・・。

そこで考えた俺は出前館を召喚したのだ。
出前館もファミマ同様に俺のことを時間制限はあるものの
優しく抱きしめてくれる存在だったのだ。

ポチポチと携帯で食べたいものをチョイスして支払い方法を選択し
あとは自宅で待つだけ。だ。

時間がどんどんと経過する中、俺の期待値は高まっていった。
会いたくて会いたくて震える。君を想うほど遠く感じて。
もう一度聞かせて、嘘でもあの日のように。

好きだよって・・・。

注文してから3時間経った。

携帯電話を見ると「注文はキャンセルされました」の文字が俺の目に飛び込んできた。

ずっと私だけにくれてた言葉も優しさも
大好きだった笑顔も全部
あの子にも見せてるの？

Baby I know
君はもう私のものじゃないことくらい
でもどうしても君じゃなきゃだめだから
You are the one

会いたくて会いたくて震える。君を想うほど遠く感じて。
もう一度聞かせて、嘘でもあの日のように。

好きだよって・・・。

こんなことってあるかよ・・・
期待していたのは俺だけだったのかよ・・・

西野カナさんの名曲が心に染み渡り
出前館の存在の有り難さをまさかの注文キャンセルで知るなんて
神様はなんて残酷なんだ。

俺に会いにきてくれた出前館のお兄さん、おじさん達の
優しさをこんな形で気づくなんて。

俺は馬鹿だ。大馬鹿だ。

いつまでもあると思うな親と出前館なのだ。

それでも俺は・・・。俺は・・・。
出前館が好きだ！！！！大好きなのだ・・・。

あの愛を受け止めずにはいられないのだ。俺は。
インターホンが鳴り俺が「はーい」というと彼らは必ず
決してはっきり言わないスタイルで

「でめまえかでーす」みたいなことを言ってくるんだ。

それをしっかり出前館と認識できるくらいには愛と愛がつながっている証拠だと思っていいん・・・だょね？（>_<）ぁせぁせ

最初はあまりのショックにとても傷ついたのだけれど
こうして存在の有り難さを知ることができたのは自分にとって大きな経験そして、財産となった。

注文した商品は来なかったけれど、代わりに大事なものを見つけた気がしたよ。

ありがとう。出前館。
今日もすみませんでした。