#1 ハプニングが起きても大丈夫ジャケッ(ト)!!

このお話は私たち近畿大学山縣ゼミ生がアパレルブランド「オールユアーズ」をテーマに書き上げた「オールユアーズの物語」である。オールユアーズと様々な価値観を持つ一人ひとりの物語を紡ぎ出す。

今回は「着たくないのに、毎日着てしまう」ジャケット(通称:「着た着て」ジャケット)」を着て生活する大学生の日常を描いた物語である。

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俺は河野剛典(かわの たかのり)。大阪の大学に通う一人暮らしの大学3年生である。
出身は広島県広島市。好きな食べ物はもみじ饅頭。
大学では経営学を専攻している。  
ファッションが好きで主にキレイめな格好をすることが多い。
休日は彼女の楓とどこかデートによく出かける。
洗い物などの家事全般は全てまとめてやることが多い。洗濯も2、3日に1回ほど。

総じて言えば「めんどくさがり屋大学生」である。


最近はウイルスの感染者数が減り、今月から大学で対面授業が始まった。約1年半ぶりだ。
「久々に大学で友達と会えるんだ。ファッションもお気に入りのジャケットを着てキメて行こう!!」
テンションが上がった俺はジャケットにデニムを合わせ身支度を終えた。
そしてワクワクした思いで玄関の扉を開け、大学へ向かった。
オンラインという檻から開放されたかの様な気分だった。

空は、とっても青い。

「こんなに大学って人いたっけ、、?」
久しぶりの大学での雰囲気に驚き、思わずボソッとつぶやいた。
それはそうだ。ここ一年半俺はパソコンという機械の前でしか講義を受けてこなかったのだから。

校内のエスカレーターを上り、講義のある教室へと向かった。

時刻は午前10時45分。待ちに待った対面授業のスタートだ。

そこからお昼ご飯を食べ、午後も夕方まで講義をみっちり受けた。
「もう疲れすぎた〜。久しぶりにウチで宅飲みしない??」
今日1日一緒に講義を受けていた友人三人に声をかけた。

すると全員が「飲もうや!!飲むしかねえで!!」と即答。
おそらくみんな久々の授業で疲労困憊だったのだろう。あっさりOKしてくれた。

時刻は18時。久々の宅飲みがスタートした。オンライン授業だったということもあり、全員が約一年半直接会っていなかった。
まあ、今回の飲み会は近況報告といったところだろう。真面目なことからふざけたことまでたくさん話した。

あっという間に時間は過ぎ、時刻は23時30分。
全員の終電の時刻となり解散した。とても楽しかったに尽きる。

「明日は全休や〜!!」
酒の勢いで大きな声で独り言を呟やき、就寝しようとしたその時だった。
明日楓とデートの約束をしていたことを完全に忘れていたことに気づいた。
もちろん楓のことは大好きだ。予定をド忘れしたから愛していないというわけじゃない。
ただ、久々の宅飲みが楽し過ぎただけだった。
まあこんな時もある。

さあ、明日のデートは何を着ていこうか。
朝から集まって夜はコース料理のあるレストランを予約した。キレイめな大人っぽい服装をしよう。
ってことで、とりあえずあのジャケットを着ていこう。

しかしここでまたもやハプニング。

飲み会が終わって着ていたジャケットを脱ぎ、ハンガーにかけようとしたその時だった。
なんと盛大にお酒をこぼしていたことに気づいたのだ。しかも結構な量だった。

でも明日絶対に着たい。むしろこのジャケット以外、明日のシチュエーション的にあり得ない。

時刻は深夜12時20分。二日分の洗濯物と今日着たジャケットを洗濯ネットに入れ、洗濯機のスタートボタンを押した。
洗濯中は特にすることもなく、うとうとしてしまった。

目を覚ますと深夜3時半。完全にやらかした。もはやウトウトしていたというレベルではない。しっかり三時間寝た。

洗濯機から洗濯物を取り出し、深夜の干し干しタイムが始まった。
タオル、Tシャツ、ジャケットと物干し竿にかけていった。

家を出るのが午前9時半である。
寝坊しないことを祈りながら目覚ましをセットし、もう一度眠りについた。

「ピピッ ピピッ ピピッ」
8時半に目覚ましが鳴った。眠りが深かったためか、割と目覚めが良い。

水を一杯飲み、朝ご飯のトーストを頬張った。トーストはマーガリンを乗せただけのシンプルなもの。これが一番うまい。
シャワーを浴びてスッキリ。85%ほど目が覚めた。

着替えるため、夜中に干したジャケットをベランダに取りに行く。
タオルなどはまだ生乾きではあったが、ジャケットはこの短時間でしっかりと乾いている。

白Tを着てジャケットを羽織る。靴はカジュアルシューズ。

玄関の鏡を見て我ながら思う。
『大人っぽくていいねぇ』

時刻は9時半。家を出る。

楓と大阪駅で集まり、まずはショッピング。そこからお昼を食べ、またショッピング。

昨晩の飲み会の時のように時間はあっという間に過ぎた。幸せだ。
予約していたコース料理を堪能した。

二人は反対方向の電車なのでホームでバイバイした。

家に着くと時刻は22時だった。
明日はまた大学で対面授業が始まる。1限だから早起きしなければならない。

そう思うと急に眠気が襲ってきた。
「今日はなんか眠いし気分いいから、めんどくさいし朝シャワー浴びよ」

そう思い俺はジャケットを脱ぎ、俺はゆっくりと眠りについた。


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〈この物語に登場したプロダクト〉



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