#6 心も身体もモッフモフ

このお話は私たち近畿大学山縣ゼミ生がアパレルブランド「オールユアーズ」をテーマに書き上げた「オールユアーズの物語」である。オールユアーズと様々な価値観を持つ一人ひとりの物語を紡ぎ出す。

今回は「モフのカーディガン」を着て生活する大学生の日常を描いた物語である。

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バックルームからお客さんが並ぶフロアに元気良く踏み出す。
『こんにちは!』
お客さまへのおもてなしは今日もこの一言から始まる。


高校3年間のテスト期間、受験期間、本気で頑張らないといけない時、思い返せばいつもこのカフェにいた。

ここで働く人たちは見ず知らずの高校生の私を、いつも美味しいドリンクとおもてなしとともに暖かく迎えいれ、時には励ましてくれた。
その励ましに何度救われ、頑張ることができたか分からない。

『今度は自分が誰かの頑張れる理由になりたい』

その一心で、高校を卒業してすぐに、ずっと憧れていたこのカフェのアルバイトの募集に応募した。

あれから2年。

まだまだ未熟ではあるが、来てくれるお客さまみんなが少しでも幸せな気持ちになって帰ってもらえるよう、どんな時も笑顔でお客様の立場に立った接客を余裕を持ちながらできるようになってきた。

提供するドリンク1杯1杯に気持ちを込めてお出しする。

『お疲れ様でした!』
帰る支度をしながら、バックルームでカーディガンに袖を通す。

できるだけ厚着をしたくない私は、最近この毛布を身に纏っているような着心地のカーディガンを重宝している。

お店を出ると街の街路樹には、冬の訪れを告げるイルミネーションが煌々と灯っている。
少しずつ気温も下がり、夜は随分冷え込むようになった。

常連のおじさんに、『今日もありがとう』と言ってもらえて嬉しかったな。
あのお子様連れの若いお客さまも、笑顔で『美味しかったです』と言ってくれて嬉しかったな。
お店の端で何時間も高校生の子が勉強を頑張ってたな。

帰り道、今日は一体何人のお客さまに「ここに来てよかった」と思ってもらえただろうと考えながら、来てくれたお客さまの顔を思い出す。

そんなことをしていると、心も体も暖かいまま家に着く。

私はこのカフェで働くことが大好きだ。
学生生活の残り2年間、誰かの頑張れる理由になる為に私自身も頑張り続けよう。

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〈この物語に登場したプロダクト〉




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