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【アニメ感想】《鬼滅の刃》 (ufotable, 2019)

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どんな観点で話を始めようか。最近見た作品の中で一番夢中にはまって見て、やはり近来見たアクションものでは断然トップな演出みたいだけど、アクションあまり見てないしそういう発言は控えめにしないと…。最近《サブカルチャー界を旅行するヒッチハイカーのためのガイド》(ソン・ジサン,2020)って本を読んで、日本の伝奇物を構成するいろんなレファレンスなどに注意して見てみようとした。でも、まあ、そういうのあまり知らんし…。とにかく本作の「鬼」というのは結局ヴァンパイアの延長にあるものだろうけど、とにかくこのようなレファレンスは山ほどあると思われる。

去年はアニメをあまり見れなかったけど、そっち関係でよく見ているブログの年間ベスト的な記事を見ても、本作以外にこれといった力作はあまり見れなかったのかもしれない。日本現地でも授賞式などで賞をほぼ独り占めしたとも聞いた。そんな感じで去年の代表作・最高作はこの《鬼滅の刃》で固められるようだ。個人的に《約束のネバーランド》もこれに準する面白さと完成度を兼備したと思ってるけど、冬作品だからか年末になると妙に言及が少なくなった感じがした。またその他の代表作としたら《かぐや様は告らせたい》になるかもしれない…。

有名だった分、色々問題にもなったと聞いている。少なくともアニメシリーズだけで見ると、おそらく炭治郎のピアス(?)が旭日紋様に似ているというのがその核にあるみたい。自分はこれをWATCHA PLAYという韓国のOTTサービスを通じて見たけど、そこで問題の紋様を一度も見ていない。まさか、それいちいち消したの…?旭日旗、旭日紋様の入る作品の受容の問題に関してまだ悩んでいるけど、その意見についてはまだ結論付けてないので、後に話そう…。

とにかく、去年を代表する大作として、友達の一人は自分に「進撃の巨人並みのすごさ」と紹介してきて、彼にはすまない話だけど、その言葉については聞かれた当時も信じてなかったし、夜更けする勢いで見続け終えた直後にも、自分の予想は外れてないと確信した。でもまあ、こう考えてみること自体は結構いいアイデアだったと思う。どちらもアクションの作画がすごいし、人間か違うか迷っちゃう敵と戦って(進撃の巨人の方はこれってネタバレかなーでも自分も第3期まだ見てない)、戦う団体に主人公が入ってて、それに伴い原作者の右翼疑惑があるけど…。でもやはり基本的な展開と問題の接近の仕方が全然違うし、自分としては本作にかけられた放送当時の激しいハイプに何となく拒否反応を起こしたのもあった。

ここで見られる典型性をそんなに悪くも見てなかった。極序盤の英雄形成過程はその典型によりすぎと言う感じにもかかわらず、それ以前に炭治郎・禰󠄀豆子兄妹に心が惹かれていた。そんなに嫌がっていた少年誌ヒーローものの無限ポジティブさは、なぜここで魅力的だったろうか。禰󠄀豆子に対する信念・希望は十分共感のできる説得力のある背景であるのもそうだし、そもそも相当暗くて血まみれな世界観に主人公自ら息抜きの役割をよく果たしてくれてると思う。

しかし、口を閉ざされて、多くの時間を炭次郎の箱に閉じ込められている禰󠄀豆子キャラが、核心的で魅力的なキャラであるのにもかかわらず、その背景から受動性を付与されたのが惜しいのは仕方がない。蜘蛛の巣エピソードだっけ、そこで炭次郎が露骨に彼女の主体的な選択を弁護する様子はそのキャラクター自体の限界を乗り越えようとする様子を見るが、それすらも彼が「代弁」すべき人物構図が、ちょっとアレだった!と言いたいだけ。

あと、製作会社ufotableってやはりFate/Stay Night UBWアニメで有名だけど、それぞれの完成度に優劣をつけるとしたら、どんな結果になるだろうか。

★★★★

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