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【Album Review】Missy Elliott, 《Supa Dupa Fly》 (1997)

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Artist : Missy Elliott
Album : Supa Dupa Fly
Released : 1997.07.15.
Label : The Goldmind, Elektra
Genre : Hip-Hop, R&B/Soul

Missy Elliottのデビュー作、《Supa Dupa Fly》には、アーティストの優れたパフォーマンスと共に、全曲のプロダクションを担ったTimbalandの未来志向的なトラックがあって、それは確かに後代に大きく影響を与えるものだった。黒人女性ヒップホップアーティストを挙げる際にMissy Elliottの名前が絶対に外れることがないことと、Timbalandが90~00年代のR&B・ヒップホップにて凄まじい烈風を巻き起こしたことを考えると、特にそうだ。AaliyahをはじめJay-Z、Nelly、Justin Timberlakeなどにつながる、特有の細くミニマルながらも直観的なグルーブとメロディーを刻印させる、そのサウンドの典型が本作に詰まっている。

ヒップホップとR&Bの境界を無くすMissy Elliott(とTimbaland)のパフォーマンス(とサウンド)は、それだけ本能的なソウルとグルーブを感じさせながらも、同時にその緻密な運用が引き立つ。Timbalandのベースラインはファンキーだが、当代のブラックミュージックに比べてかなり細くてミニマルなソースは機械的である。そこに乗ったMissy Elliottのソウルフルなボーカルは、トラックの質感と真逆に見えながらも、結局はそのグルーブと調和して、軽くて未来的なブラックミュージックポップの方向性を新たに提示する。

Busta Rhymesの唐突なMCが首尾を守り、ファンキーでグルービーなヒットシングルで序盤から引き締めて、魂の同僚・Timbalandとの共演で雰囲気をつなぎ、スロージャムとネオソウル、イーストコースト・ラップなどの色んなスタイルで飾る後半部まで、充実したトラック構成が長い時間を楽しませながら、彼らのスタイルに説得力を高める。

序盤で登場した、当代のスター女性ラッパーのLil' Kim、Da Bratの名前とその存在感を見て―特にDa Bratのパフォーマンスは本作の早いハイライトだった―本作にも、男性アーティストが絶対多数であるこのヒップホップジャンルの中で、「女性アーティスト」としての悩みが入っていると思う。例えば、本作の中心内容である、女性の立場からの露骨な性的表現などは、ジャンル内女性アーティストの新たな典型を提示したと評価される―その評価さえもどれだけ男性中心的思考だろう、とは思うが、とにかくそれが「女性性」以前に「個人」の快楽へ帰属するという点から、ある種の意義を発見できるはずだ。2020年代を渡る現在、Cardi Bの〈WAP〉が及ぼす影響力とつながるのではないか?

本作のサウンドが当代どれだけ代案的で新鮮だったのか、自分はわからない。しかし、少なくとも本作がおよそ十年前のポップスターらから聴けた音のルーツに位置して、また独立的な女性ミュージシャンーMissy Eliottは<The Goldmind>レーベルの代表だった―の道を提示した作品であること、そして何より、現在にまで有効的な楽しみを与える作品というところで、われらは本作を日が経つにつれてもっと価値のあるものとして記憶するだろう。

おすすめ度 : ★★★★☆


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