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小島くんとの出会い

小島くんとの初対面

2018年9月。
小島くんとの出会いは3年前まで遡ります。

当時、彼は中学3年生。
高校受験まで半年を切った中3の夏に、「自習室の利用を検討したい」とお母さんと一緒に見学に来ました。

「こんちわーっす」

それが彼の第一声でした。
今でもハッキリと覚えています。
「人懐っこそうな子だなあ」というのが私の第一印象でした。

ちなみに、中3の夏休みといえば、どこの学習塾でも高校受験対策の夏期講習が本格化します。きっと彼もそれを乗り越えて、「更にギアをあげて受験勉強に取り組みたい」、そんな意気込みで自習室を活用するんだろうと勝手に推測していました。

ところが。
お母さんからの言葉は、全くもって予想外でした。

【お母さん】
「今更ながら勉強を始めても間に合わないと思ってます。ただ、息子本人がどうしてもやってみたいと言うので、今日、見学に来たんです。」

【小島くん】
「どうせ間に合わないんっすけどねっ。けど、できることはやった方がいいかなって思いました。まぁ、周りの人からは、あきらめろ、とか、無理だ、とかしか言われないっす。」

小島くん本人は彼らしい軽い口調で話していましたが、彼の心の中には、小さくくすぶる悔しさの火種があるように感じました。

小島くんの目標と現状

どんな生徒さんにも確認することは2つです。
まずは「目標」、そしてその生徒さんの「現状」。
その差を埋めていくのが受験勉強です。

まず、私は小島くんの目標を聞いてみました。

【私】
「どこの高校を目標にしているの?」

【小島くん】
「●●高校にいきたいっす。」

それは中堅の進学校で、県内の偏差値だと58〜60といったレベルです。

そして、現状の成績を聞いてみました。

【私】
「現時点での学校の成績はどんな状況?」

【小島くん】
「一応、今日成績表をもってきたんっすよ。特別に見てもいいっすよ。」

失礼を承知でいうと、ほとんどの科目が本当にひどい状況でした。英語の点数は100点満点中毎回20点台といったところで、特に苦手なようでした。

ただし、そんな中で、唯一気になる科目がありました。
それは国語です。国語の点数だけが平均点に近かったのです。そして、古文漢文ではなく、現代文でほとんどの点数を稼いでいました。

小島くんの可能性

古文漢文は勉強をしないと点数は集まりません。ルールを覚え、それを体得して、初めて得点に繋がります。

一方で、不思議なことですが、現代文という科目は、対策をしなくても点数を取れる生徒が一定数存在します。読書や会話といった幼少期からの日本語力の積み重ねが影響するのかもしれません。

小島くんはまさにこのタイプの生徒かもしれない。私はそう感じました。

そして、重要なのは、この現代文は「新しい事を理解し吸収する力」になるという事です。

現代文以外の科目は現代文を介して学びます。だから、これから正しい方向で努力をすれば、他の科目も得点を伸ばしていけるはず。小島くんにはそんな素養があるように感じたのです。

あとは彼の気持ち、つまり、受験に対する本気度です。これは一時の感情ではなく、継続的なモチベーションである必要があります。

ただ、この点は心配していませんでした。

それは彼が逆境にいるから。
しかも、一歩踏み出して、自習室オールラウンドに来てくれたからです。

【小島くん】
「どうせ間に合わないんっすけどねっ。けど、できることはやった方がいいかなって思いました。まぁ、周りの人からは、あきらめろ、とか、無理だ、とかしか言われないっす。」

半年後に迫る高校受験から目を背けることなく、こうして目の前に来てくれた。あとは、小島くんの心の中でくすぶる「悔しさの火種」を「やる気の炎」に変えていけるか。これは私の仕事です。小島くんとならチャレンジしたいと思いました。

こうして、小島くんとの二人三脚がスタートしました。

山あり谷ありの壮絶エピソードも交えて、今後、どんどん続きを投稿していきます。

次回もお楽しみに!

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