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【無料オンライントークショー】[本について人と語ること」山本 多津也 × 鹿島 茂

日本最大の読書会コミュニティ猫町倶楽部の主宰者山本多津也さんと書評サイトALLREVIEWS主宰者で、ALLREVIEWS友の会向けに毎月読書対談をゲストと行っている鹿島茂さん。お二人が「読んだ本について人と語る」という行為について語ります。オンラインのトークショー(無料公開中)の一部をご紹介。興味を持たれた方はぜひご視聴ください。
※対談は2021年3月26日に行われました

日本最大の読書会「猫町倶楽部」

「猫町倶楽部」は日本最大の読書会といわれています。主催する読書会は年間200回くらい。主宰者山本多津也さんは本業はリフォーム会社の社長さん。2006年9月に地元名古屋で友達4人と始めたビジネス書の読書会はmixiを利用し拡大、文学の読書会も始まり、東京、大阪にも広がっていきます。コロナ禍の中、オンラインの場に活動を移し、参加者は全国から集まっています。猫町倶楽部の軌跡は山本さんの著書『読書会入門』に詳しく書かれています。


鹿島さんは、猫町倶楽部に、課題図書『O嬢の物語』でゲスト登壇しました。参加者が各テーブルで熱心に読書する姿に感動。「猫町倶楽部」がビジネス(営利)を目指さなかったことが成功の秘訣ではないかいいます。猫町倶楽部の読書会は、都度実費徴収で、安い費用で参加できます。

費用の面だけではありません。山本さんが強調するのは参加のハードルの低さ。参加要件は、「課題本の読了」と「相手の意見を否定しない」。鹿島さんの若いころの読書会は主に左翼が主催する「資本論」の読書会のようなもので、往々にして相手の人格の否定を行う、荒々しい会が多かった。これに対し、猫町倶楽部は、誰もが気軽に参加できる読書会です。読書会の各テーブルのファシリテーターも複数回参加した人が適宜行う。猫町倶楽部は極力ヒエラルキーを作らないように運営されています。そのことにより、「私はファシリテーターに指名されない」という不満が解消されます。また、運営を協力するサポートメンバーも1年交代。サポートメンバーを務めたあとは、普通の読書会のメンバーに戻っていく。新陳代謝が理想的に行われている読書会。鹿島さんは、組織論としても見るべきものがあるのではと感心します。

語り合うことで本の理解が深まる

猫町倶楽部の参加者の中には、読書会に参加すると決めると「読了」できるからという人もいます。猫町倶楽部は「読了」が必須なので、本を読める。そして、人と語ることにより、本への理解が深まるといいます。確実に本を読むにはその本について人に語ることが一番と鹿島さんも同意。鹿島さんは中野翠さんとの対談で「大菩薩峠」を読む必要があり、その時は、読んだ分だけ子供たちに語ったとのこと。

そして話題は、鹿島さんの最新刊『この1冊、ここまで読むか! 超深掘り読書のススメ』に移ります。読書のプロというべき人が本について語ると深いと山本さんは感心します。例えば、出口治明さんの『論語』対談では、エマニュエル・トッドの家族人類学に転がっていき、思わぬ方向に話が広がる醍醐味があります。

なお、猫町倶楽部では『この一冊…』で取り上げられた『論語』と『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』を読書会で取り上げる予定です。読書会参加の資料としても、深掘り対談は有意義です。

積極的に読書会に参加し、自分の言葉で本について語る機会があるのもよし、有識者が本について語るのを聞いて学ぶのも良し。本について理解するにはいろいろな方法があります。4月から新年度。自分にあった本を理解する方法を試してみませんか。対談は無料公開中です。


【記事を書いた人 くるくる】

【「ALL REVIEWS 友の会」とは】
書評アーカイブサイトALL REVIEWSのファンクラブ。「進みながら強くなる」を合言葉に、右肩下がりの出版業界を「書評を切り口にしてどう盛り上げていけるか」を考えて行動したり(しなかったり)する、ゆるい集まりです。
入会すると、日本を代表する書評家、鹿島茂さんと豊崎由美さんのお二人がパーソナリティーをつとめる、書評YouTube番組を視聴できます。
友の会会員同士の交流は、FacebookグループやSlackで、また、Twitter/noteで、会員有志が読書好きにうれしい情報を日々発信しています。
友の会会員の立案企画として「書評家と行く書店ツアー」、フランスのコミック<バンド・デシネ>をテーマとしたレアなトークイベントや、関西エリアでの出張イベント等が、続々と実現しています。2020年以降はオンライン配信イベントにより力をいれています。
さらに、Twitter文学賞の志を継承した「みんなのつぶやき文学賞」では、友の会会員有志が運営にボランティアとして協力。若手書評家と一緒に賞を作り上げていく過程を楽しみました。
2021年2月には、鹿島茂さんとの対談6本をまとめた『この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ』が祥伝社より刊行されています。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください。
ALL REVIEWS友のTwitter:https://twitter.com/a_r_tomonokai






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