見出し画像

キリンホールディングスへ出向した2人のCA 今の思いは?

新型コロナウイルスの影響で減便が相次いだ影響で、ANAグループではこれまでおよそ2300人のグループ社員が外部の企業などへ出向しました。
このうちキリンホールディングスの人事総務部には去年4月から2人の客室乗務員が出向しました。
今年9月には出向期間を終えてANAグループに戻る予定の2人に、出向先で感じたことや今後の抱負について聞きました。

キリンホールディングス株式会社 人事総務部 人財開発担当
写真左)林 愛美 <出向元:エアージャパン 客室部>
   写真右)小林めぐみ <出向元:全日本空輸 客室センター>

Q キリンホールディングスにはどういったきっかけで出向したのでしょうか?

林 「コロナ禍でフライトが減り、家にいる時間が増えて社会とのつながりが少なくなり本当にこのままで良いのかという思いを抱えていました。フライトがいつ復活するか不安に思っていた中で出向の公募が出ていて、これだと思いました。航空会社が厳しい中、他社で受け入れてくれるということに感銘を受けるとともに、ぜひ挑戦して今後の人生の糧になる経験が出来ればと思い応募しました。
キリンホールディングスは人事総務部の採用業務での公募があり、採用の仕事ならエアージャパンに戻った後もその経験を活かせるのではと思いました。それから募集要項に『あなたなりのplus+を与えていただくことを期待します。共に成長しましょう!』という文言があり、さらに多様性を大事にしていると聞いていたことで、外部から入っても温かく迎えてもらえるのではないかと思いました」

小林 「私はコロナ禍で乗務の機会が激減し、このままで良いのかと自分自身に自問自答する日々を過ごしていました。その時は外部出向しているANA社員がまだ周囲に少なく非常に不安でした。しかし、コロナ禍が終わり、数年後に自分がこの会社に貢献できる人財になるために今できることは、ただじっとフライトの機会を受け身で待っているのではなく、外の世界から新しい視点を吸収してくることだと覚悟して応募を決めました。客室乗務員という仕事もANAという会社も大好きだったからこその決断です。子どもの頃から土日になると家族や親せきがお酒を飲んで楽しむ姿を見てきました。お酒がつなぐ人の縁・絆・空間が好きで、今度はそれを届ける側になりたいと思いキリンホールディングスへの応募を決めました」

Q キリンホールディングスではどのような業務を担当しているのですか?

林 「私たちは人事総務部の採用チームに所属しておりますが、その中でも複数のチームに分かれて業務を行っています。私はそのうち技術系の新卒採用を担当していて研究職やエンジニアリング職などの採用を技術系の先輩社員と一緒に行っています。さらにキャリア採用業務にも携わっています」

小林 「私は主に、採用広報と、事務・営業系の新卒採用を担当しています。就活生向けイベントの企画から実行を担当し、学生との良質な接点・体験づくりを通じて、キリングループのことをもっと知っていただき、好きになってもらう仕事をしています。また、内定後には学生が、自分の選んだキャリアが間違っていなかったと思えるよう、内定者のフォローを行う業務も担っています」

Q 携わった仕事で一番、記憶に残る仕事は?

林 「新卒採用活動の中で、学生向けのセミナーをオンラインでやったのですが、その企画と司会を担当させていただきました。学生が知りたい情報をお伝えできるよう、協力社員の方を巻き込みながら業務を進めることが難しかったです。
その後、直接学生たちと会う機会があり『林さんと会いたかった。オンラインセミナーに参加して入社したいと思った』と言われました。その時は本当に嬉しかったですし、私たちが伝えたいメッセージを学生に届けることができたと実感しました。
また選考の過程でのイベント企画の際、先輩社員に意見出しをお願いしたところ、屈託ない意見を沢山いただきました。その時、忖度せず向き合ってくださったことが私の原動力になりました。企画終了後に、先輩から『すごく良かったよ』とフィードバックをいただき、嬉しかったですしキリングループのチームで働けてよかったと思っています」

小林 「キリングループの様々な事業会社とANAとのコラボレーション企画を行ったことです。キリングループは、経営の根幹にCSV(Creating Shared Value)を据えており、社会貢献活動と事業活動を分けるのではなく、事業活動そのものを通じて社会課題解決に取り組むというCSVの考えを全社員が業務で実践しています。日々の仕事もCSVチャートというフレームに当てはめ、お客様への価値、解決される社会的価値、自社の経済価値とは何かを考えていくのです。自ずと、なぜこの業務を今やっているのかという目的を一人一人がしっかり認識しながら日々の業務を行っています。私たちはそれにすごく感銘を受けて、航空需要が落ち込んでいる中、なんとかANAの強みとキリングループの強みを掛け合わせて、私たちらしくCSVを実践できないかと林さんと2人で考え、提案しました。その結果、キリンビールと共に飲食店さま向けに接客力向上セミナーを開催したり、シャトー・メルシャン主催の勝沼ワイナリーフェスティバル2021に、ANAも参画させていただき、日本ワインの魅力を伝える活動と共に、日本のおもてなしの魅力、飛行機を利用する楽しさを発信させていただく等、合計4つのコラボレーション企画を実現させることができました。
もう一つは、広報業務で先輩社員にフォローをいただきながら採用ホームページのコンテンツ制作を担当させてもらいました。公開するだけはなく、届ける策にも一工夫加え、しっかりと就活生に届いていることがわかった時はとても嬉しかったです」

Q 9月で任期を終えるが今の気持ちは?

林 「すごく寂しいというのが本音です。自身の経験のためにもうちょっと残りたいと思ったりもします」

小林 「私も寂しいです。出会ったキリングループ社員や、直属のリーダー、どなたもとても素敵な方ばかりで、本当に人に恵まれて仕事をさせていただいています。特にリーダーにかけてもらった言葉で忘れられないものは『キリングループを使って沢山の挑戦をしてください。良質な失敗もたくさんしてください。そこに障壁がある場合はいつでも頼ってください。全力で助けます!この1年半自分らしく成長してくださいね』と言われたのをすごく覚えています。大変な時もありましたが、林さんと2人で出向できたことがとても心強かったです」

Q ANAグループに戻ってからどのようにこの経験を活かしたい?

キリンホールディングス社での会議中の様子

林 「活かしたいことがたくさんあります。商品やサービスを提供しているキリンのようなメーカーにいると、お客様目線というのをすごく大事にしているなと思いました。採用チームでは候補者の目線をいつも考えて仕事しています。客室乗務員の仕事とも共通する部分が多いなと思っていて、お客様が今何を求めていらっしゃるのかを察することに今後活かしていきたいと思います。
それからキリングループにきて、いろんな価値観を受け入れてくれる方ばかりで本当に素晴らしいなと思っています。ANAも外国籍の人など多様な人材がいます。戻ってからも多様性を推進していくようなことをやりたいなと、考えています。前よりも何かやってみようという気持ちになることが増えました。キリングループに来て、不安なことでもまずはやってみる、そして、その経験がすごく力になっている気がします。自分に自信をつけて、さらに色々なことに挑戦してみようと思っています」

小林 「自分と異なる意見にしっかり耳を傾け、それをチーム力に変えていくことです。キリングループにきて、メンバー同士が、お客様のために、学生のために、目標達成のためにと、良い結論が出るまで、徹底的に議論を重ねる姿が印象的でした。客室乗務員は限られた飛行時間内の中でお客様を安全に目的地までご案内することが任務のため、これまで議論を避けたまま業務にあたることもありました。
ANA初代社長が“和協”という言葉を残しています。“和して同ぜず”の気概を持ち、多様な個性を活かしお互いを高めあう、というものです。帰任後は、この“和協”の精神を発揮したいと思います」

Q ANAグループの後輩に向けて、出向の経験を受けて伝えたいメッセージはありますか?

林 「やりたいと思ったことにはぜひ挑戦してほしいなと思います。不安を乗り越えた先には得られるものがあるということを伝えたいです。
それからチームで協力し合うことでより良い仕事ができるのだと、キリングループですごく感じました。自分だけが良ければそれで良いのではなくてチームワークの大切さを痛感しましたし、どんな仕事でもそれが大切だということを伝えたいです」

キリンホールディングス社での会議中の様子

小林 「自分の居心地の良い場所、コミュニティーから一歩外に出て違う世界を見ることを、恐れないで挑戦してみてほしいなと思います。自分の当たり前が当たり前ではないことに気付けますし、逆に今の環境、ANA社員であることに誇りも持てると思います」

林 愛美
2014年全日本空輸株式会社へ客室乗務職にて新卒入社。
その後2019年にANAグループの株式会社エアージャパンへ入社。
入社後は東南アジア圏をはじめとする国際線に乗務。
2019年にはJ.S.A.ソムリエ資格を取得し、日々の機内サービス業務に活かしている。

小林めぐみ
2014年全日本空輸株式会社へ客室乗務職にて既卒入社。
国内線チーフパーサー資格、国際線ビジネスクラス資格を取得しドイツやアメリカをメインで乗務。
2017年 CAのサービス・接遇スキルを競う「第5回 OMOTENASHIの達人コンテスト」に8000人のCAの中から1位に選ばれた経歴あり。