リモコンで旅客機をプッシュバック!伊丹空港で活躍中の新車両
ANAは、空港で旅客機を牽引する作業に日本で初めてリモコン式の電動車両を使い始めていて、人員の削減や作業の効率化につなげています。
国内の多くの空港では旅客機が出発する際、プッシュバックと呼ばれる機体を一旦自走できる位置まで下げる作業を行います。このプッシュバックを行うため通常トーイングカーと呼ばれる牽引車を旅客機に接続して機体を押しますが、この運転に必要な資格の取得まで通常5・6年ほどかかることから人材育成が課題となっています。
そこで、2018年からANAが日本で初めて導入したのがドイツのMototok社製の電動車両です。これは運転ではなく車両から離れた場所でリモコン操作するため機体周辺の状況を見ながら操作することができ、若い社員でもその資格を取得できます。
また車両が機体の車輪を抱え込むようにして浮き上がらせて押すため、機体と車両を接続する必要がなく、作業を行う人員を減らすことができます。
現在、ANAは伊丹空港で4台の運用を行なっていて、若い世代を中心に約30人の操作資格者がいます。
車両にはそれぞれ愛称がつけられ、頑丈な初代は「門十郎(もんじゅろう)」、羽田空港からきた3代目には都会風の「モニカ」、故障が少なく全てにおいて優秀な4代目は「モコミチ」と呼ばれています。
ANAは今後も伊丹空港での運用を続けることにしていて、他の空港でも運用できるか検討することにしています。
ANA大阪空港 グランドサービス部
遠藤優季さん
「プッシュバックする際に、旅客機が何かに接触しないように広い視野をもって機体全体を見渡し操作することを意識しています。安全に旅客機を出発させなければならないので、責任を感じて仕事をしています」
ANA大阪空港 グランドサービス部
福田真夕さん
「操作している際に、搭乗中のお客様が気づいて手を振ってくれることがあり、自分がお客様の旅をアシストしているという気持ちになって嬉しいです。みんなで車両に名前をつけて愛着を持って接しています」