作家の紹介を勝手にできない。ー第1回ミーティングの記録⑥「人間関係が上滑りする」ー
(編集・絵:佃 七緒)
勝手にはできない、けどやっぱり他の人の作品紹介をしてみる、というこのシリーズの始まり(説明)はこちらご覧ください。
長谷川 由貴(参加作家)
①最近気になること
植物園の歴史。園芸の歴史。なぜ植物をわざわざ育てるのか。そこから発展して、植民地支配、日本の戦後史、差別問題、などにも広がっていく。
②長谷川由貴が「勝手に紹介」する作品はこちら
西尾 佳織《ヨブ呼んでるよ》(鳥公園舞台作品)
・鳥公園(西尾さんの主催する劇団)のページを見て、
とりあえず演劇だとわかった。が、ウェブ上では内容はあまり説明されていないと気が付いた。
・写真からわかる範囲を見て、部屋着みたいな人がいるな、と思った。
これは家の中という設定なのか?藁で囲まれているが・・・と見ているうちに、家具らしきものなども目に入ってきた。
・送ってもらった脚本の抜粋を読んで。
部屋にいろんな人が入れ替わり立ち替わりやってきて、部屋にいる人の本心には触れない言葉を投げかけては、みんないなくなる。「入ってこない」言葉を投げかけてくる、という内容だと思う。
・演劇では人が「素材」のようなものなのかな、と思って考えてみた。
自分のことと置き換えると、作品制作の際に、絵の具はある程度思う通りに動かそうと思えば動かせる。演劇は人を動かすことになるので、必ずしも思い通りになるわけではない。そういうときに生じる「ゆらぎ」のようなものも含んだうえで作品を作っているのかなと感じた。
・《ヨブ呼んでるよ》の作品の中で、
部屋の中の女性に対して、いわゆる一般的な正しい反応、というような言葉を大家さんが発していて、女性はそれに対して黙っているという場面の脚本を読んだ。人間関係が上滑りをする状況というようなものを作っている。人間同士の関係をすごく細かく見て、自分が実際に体験していなくても、そういうことってあるよな、と見た人が感じるレベルに落としこんであると感じた。