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間違えたっていいんですーピアノの先生に怒られたあなたへー

こんにちは,弁護士プロコーチのありです。みなさん小さい時にどんな習い事をされていましたか? 水泳,英語,ピアノ,サッカー,バレエ,若い方ならプログラミングとかもあり得るのでしょうか。

私は島根県出雲市という田舎で,塾もお稽古サロンも英語教室もなかった時代を過ごしました。その私が唯一習ったのがピアノでした。

間違えるのは悪いことだと思っていた

音楽も語学も,始めると間違えますよね。私のピアノもひどいもので,ミスタッチだらけでした。本人は真面目にやってるのですが,みごとに外れた音がポローンと間抜けに響いてしまうのです。そして,例外なく怒られました。「違う」「ファでしょ!」「最初からやりなおし!」。そうですよね,間違えたんですから。すみませんといってやり直す。そして,どんどん緊張が高まって,また間違える・・・という悪循環。私は半年ほどで,ピアノ教室に行く前にしくしくとお腹が痛くなるという(やや古典的な)心身状況に陥りました。それを我慢して5年ほど続け,なんだかんだあって(そのあたり忘れました)教室をやめた時,一抹の寂しさとともにホッとしたのを覚えています。ああ,もう怒られなくて済む,びくびくしないで済む・・・。こんな私は,大きくなってから、音楽は「音が楽しい」の意味だと知ってびっくりしました。当時の私にとって,音楽は「音が苦(「おん」が「く」)」だったのです。

完璧なミスタッチー1冊の本との出会いー

ピアノをやめてからウン十年のある日,弁護士としてコーチングにも取り組み始めたころ,たまたま高輪の図書館の音楽本コーナーで手にしたのがこの本でした。

ウィリアム・ウェストニー氏の著書『ミスタッチを恐れるな』(原題『The Perfect Wrong Note』)。タイトルが既に衝撃的です。

さらに衝撃なのは,ウイリアムという名のピアノ習い始めの少年がミスタッチをして,しまった!とばかりに慌て弾き直したときに,先生が放ったこの言葉です。

おいおい直すなよ。どうせ間違えるなら、どうして とんでもなく実りあるミスにしないのかね?」 

え?実りあるミス? 直さなくていい? どういうこと?!

「ファ」ではなく「ソ」に指を置くこと

その先生によれば、ミスタッチはミスじゃありません。単に「ファ」の鍵盤ではなく「ソ」の鍵盤に指を置いた,というだけのことです。確かに。そして,その指の置き間違いは,

➀自分に何が起きているのか自分とコミュニケーションするきっかけ

➁次に弾くときのための最良のフィードバックポイント

だと。つまり,「ファ」でなくて「ソ」に指を置いたことはこのうえもなく貴重なプロセスなんです。

間違いに罪悪感を持たないこと

じゃあ間違えたらどうしたらいいのか?についてはこんな言葉が。

・コントロールしようとする自我の力を抜きなさい
罪悪感を持たずあらゆることに気づきなさい
・今やっていることの体の動きを楽しみなさい
体にまかせて自然に答えを見つけさせなさい

とてつもなくマインドフルじゃないですか?!まずは力を抜く,罪悪感を捨てる。楽しむ,体に任せる。なんと・・・。これを読んで,こんな先生がいてくれたら私もピアノを楽しめたのではなかろうかと浅はかな思いが瞬時に浮かび,そして,

あらゆる指導において,これって強烈に大事なmindだよねってガーンときました。即興音楽ならともかく,通常のピアノレッスンには「楽譜」という絶対的な正解があります。だから,楽譜どおりに弾けなければ,それは厳然たる間違いです。でも,間違いは悪くないのです。間違えても楽しむことはできる,楽しむから答えを体が導いてくれる。それが何かを学び,習得し,そして,表現するということなんだ。ピアノの音を間違えることは悪いことだという私の固定概念(思い込み・認知)をガラッと変えてくれたものすごい本でした。

ウイリアム少年のその後

さて,こんな素敵な指導を受けたウィリアム少年,その後ジュネーブ国際コンクール入賞、イェール大学で演奏の修士&博士号を取得し、テキサス工科大学の教授に就任しています。あ,上記の本の著者こそが,このウイリアム教授(当時の少年)です。

彼は独創的な音楽ワークショップも開いており,世界中から参加者が訪れています。その内容たるや,音楽演奏にとどまらず,ミラーリングや楽器無し演奏、受講者同士で本物のボールをパス回しするなど!まさに「心技体」をアートとして実現するものといえるでしょう。私も行ってみたい!

健全な練習の定義はこちら

そして、同氏の定義する‪健全な練習の4つの要素はコチラ。

‪1 体の不快感、不安、疲れ、緊張がない‬‪

2 体と心のあいだに緊張がない

‬‪3 充実している

‬‪4 心も体も楽しい‬

なんとも心豊かで幸せな時間ですね。私は真逆でした。そして,これって何かの練習だけでなく,仕事でも対人関係でも,あるいは生きるということそのものの健全さを意味している気もします。つまり,まさにwell-beingそのものです!

コーチや指導者自身がミスを恐れないこと

コーチや指導者の関わりで人は大きく変容し得る,当たり前ですが大事なこと。プレイヤー(クライアント・部下)だけでなく指導者(コーチ・上司)自身がミスタッチを恐れないで,実りあるミスをマインドフルに受け止めること。

もっと大きく言えば,人生に起きるどんなことも実りある明日への糧。どーんと構えて,力を抜いて,あらゆることを自分との対話と成長の機会にしていけるようにマインドフルに在りたいと思います。

・張り詰めた体の力を抜いて,楽しんで,ミスを恐れずに♡ 

マインドフル&well-beingな時間をお過ごしください!

コーチング学びたい方はこちらもどうぞ 
https://coach-b-russel.webnode.jp/

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