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【アトピー性皮膚炎】デュピクセントって効果あるの?

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

暑い日が続きますね。
気温が上がりアトピー性皮膚炎が悪化する方も
少なからずいるのではないでしょうか。
※夏場に記載

今回も新しい薬についてメーカーさんに
色々と聞きながら勉強した内容を記載します。

1.デュピクセントってなに?

デュピクセントは2018年4月に
サノフィ株式会社より発売された
IL-4/IL13受容体モノクローナル抗体製剤です。

成人(15歳以上)に対して
初回600mg皮下投与、その後2週間隔で
300mgを皮下投与します。

アトピー性皮膚炎の治療薬として
初となる生物学的製剤で期待が高まりますね。


IL-4/IL13受容体に対して
作用して何が起こるの?
と疑問に思う方も多いと思います。

IL-4/IL13受容体は
【アトピー性皮膚炎の炎症に関わる受容体】です。

炎症サイトカインが
これら2つの受容体に結合することで
JAKが活性化し、炎症を惹起させ、
痒みを起こします。

デュピクセントは
IL-4/IL13受容体に結合することで
炎症を起こさないようにする薬です。

<JAKの機序についてわからない方へ>

e-MRサノフィ株式会社

2.どんな試験を経て承認されたか?

デュピクセントでは
下記の4つの試験が公表されています。

①SOLO1試験
②SOLO2試験
③CHRONOS試験
④OLE試験

A-CONNECT:サノフィ株式会社

4つ目の試験は現在も進行中のようで
結果が分かり次第、ブログに書いていきます。

メーカーに問い合わせたところ
SOLO2試験については公表可能なデータがないとのことで
今回は【SOLO1試験】について記載していきます。
(※③、④の試験については別の記事で掲載していきます。)


3.SOLO1試験

SOLO1試験デザイン

今回の試験では
デュピクセントとプラセボを比較して
単剤皮下投与の有効性、安全性を評価しています。

<試験デザイン>
他施設共同、無作為化、二重盲検、
プラセボ対照、並行群間

試験の信頼度としては高いことが伺えますね。

対象は
ステロイドや免疫抑制薬の効果が不十分な
18歳以上のアトピー性皮膚炎患者
671例に対して試した試験です。 

選択基準としては
EASI スコア≧16
IGA スコア≧3 以上
といった点も考慮されています。

ちなみにSOLO2では708例で試験を評価しています。

e-MR:サノフィ株式会社

この試験の特徴として
デュピクセントの用法を隔週と2週間隔で
比較をとっている
ところですね。


SOLO1試験結果-1(有効性)

有効性では16週時点での
EASI達成率とIGAスコア達成率
PP-NRS4等を見ています。

<評価項目一覧>

16週時点のEASIスコア
EASI-50:61.0%(2週群)、68.8%(隔週)
EASI-75:51.3%(2週群)、52.5%(隔週)
EASI-90:33.2%(2週群)、35.7%(隔週)
プラセボEASI-75:14.7%

EASIスコア   e-MR:サノフィ株式会社

16週時点のIGA≦1達成率
デュピクセント:37.9%(2週群)、37.2%(隔週)
プラセボ:10.3%

IGA≦1達成率  e-MR:サノフィ株式会社

EASIスコア、IGA達成率ともに
早期(1週目)からプラセボより
有意な値
が得られています。

これらのデータからは
湿疹面積減少、医師判断も
アトピー性皮膚炎に
良い影響を与えた結果
となっています。

※IGA≦1とは
 0又は1、ベースラインから2点以上
 減少したことを表しています

16週時の掻痒NRSスコア(PP-NRS4)変化率
デュピクセント:40.8%(2週群)、40.3%(隔週群)
プラセボ:12.3%

SOLO1試験結果-2(安全性)

本試験における有害事象について調べました。

各有害事象を相対比較して
頻度が多かったものは

デュピクセント2週間隔群
鼻咽頭炎11.8% 頭痛9.2% 注射部位反応8.3%
アレルギー性結膜炎5.2% 結膜炎4.8%

デュピクセント1週間隔群
鼻咽頭炎11.9% 頭痛5.0% 注射部位反応18.8%
アレルギー性結膜炎3.7% 結膜炎3.2%

プラセボ群
鼻咽頭炎9.9% 頭痛5.9% 注射部位反応5.9%
アレルギー性結膜炎1.4% 結膜炎1.4%

鼻咽頭炎、注射部位反応は
比較的高い割合で発現してますね。

デュピクセントでは
他のアトピー治療薬であまり認められない
結膜炎も起きているんですね。

メーカーの方に聞いた際も
注射部位反応と結膜炎は
頻度が高く出やすいとのことでした。

いつき博士の考察

今回、デュピクセントが
本当にアトピー患者に有効なのか?
安全に使えるのか?
というのを評価した試験でした。

評価項目についての結果を
全て載せることはできませんでしたが
他にもQOLの評価など
様々な評価項目を用いておりました。

1週間以内に効果を示している例もあり
結果としてはアトピー性皮膚炎に対して
良好なものが得られていますね。

結膜炎で目が痒くなるのは
患者コンプライアンス等含め
少し気になる点ですね。

今回の議題とは逸れますが
どのくらいの値段か気になりますよね。

A-CONNECT:サノフィ株式会社

2週間で1本使用するため
1カ月で薬価で35,266円かかる計算ですね。

メーカーさんは高額療養費制度を
使用すること
をお勧めしていました。

他の試験でも引き続き
デュピクセントがどのくらい
良い薬なのか勉強していきましょう。

《参考文献》
デュピクセント添付文書
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/medley-medicine/prescriptionpdf/780069_4490405G1024_1_09.pdf

サノフィe-MR
https://e-mr.sanofi.co.jp/products/dupixent/