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【アトピー性皮膚炎】サイバインコのJADE COMPARE試験(2)

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

前回に引き続き
サイバインコの記事を
投稿しようと思います。

A-CONNECT:ファイザー株式会社

1.JADE MONO1/2試験振り返り

前の記事では
上記の試験について
サイバインコの有効性と
安全性をお伝えしました。

JADE MONO1/2試験はどちらも
ステロイドや免疫抑制薬の効果不十分な
アトピー性皮膚炎患者に対して
皮膚症状改善の結果がある反面
有害事象も認められることがわかりました。

<JADEMONO1/2試験についての記事>


2.JADE COMPARE試験

今回の試験はデュピクセントを
実薬対照群として
サイバインコをプラセボと比較して
安全性と有効性を評価する試験です。

メーカーに問い合わせたところ
本来はデュピクセントと直接比較するよう
正式にデザインされたものではないそうです。

<サイバインコとデュピクセントを比較した試験>


3.JADE COMPAREの試験デザイン

対象の患者は
ステロイドや免疫抑制薬による
治療を受けている中等から重症の
18歳以上のアトピー性皮膚炎患者837例です。

試験デザインは
多施設共同 無作為化 二重盲検 
ダブルダミープラセボ対照で
信頼度の高い試験となっています。

この試験のもう一つの特徴として
16週目以降でサイバインコ単剤投与にすることで
有効性・安全性を長期的に評価
していきます。

とてもユニークな試験ですね。
リンヴォックみたい。

<サイバインコの長期的評価試験>


4.試験結果-1(有効性)

有効性では12/16週時点における
EASI75達成率とIGAスコア達成率
を見ています。

JADE COMPARE 試験

プラセボ使用時と比較して12週目時点で
IGA反応率で100mg、200mgそれぞれ
22%以上、34%以上もの差があるんですね。

他の評価項目でも差はありますね。

<EASIとIGAがよくわからない方はこちら>
<PP-NRS4についてわからない方はこちら>


5.試験結果-2(安全性)

本試験における有害事象について調べました。

各有害事象を相対比較して
頻度が多かったものをピックアップしました。

サイバインコ200mg
悪心11.1% 上咽頭炎6.6% 頭痛6.6%
ざ瘡6.6%   帯状疱疹1.8%
1例(皮膚有棘細胞癌) 2件(血小板減少症)

サイバインコ100mg
悪心4.2% 上咽頭炎9.2% 頭痛4.2% 
ざ瘡2.9%           
2例(肺炎及び口腔ヘルペス、感染性下痢) 1例(ヘルペス性状湿疹)

デュピクセント
悪心2.9% 上咽頭炎9.5% 頭痛5.4% 
ざ瘡1.2% 結膜炎6.2%
1例(浸潤性乳管内乳房新生物)

プラセボ
悪心1.5% 上咽頭炎6.9% 頭痛4.6% 
ざ瘡4.6%
1例(ヘルペス性状湿疹)

サイバインコでは
MONO試験でも問題視されていた
悪心が比較的高い数値出てますね。

デュピクセントでは
上咽頭炎、結膜炎が比較的高い数値が出てますね。

上気道炎や帯状疱疹など
JAK阻害薬はリンヴォックも含め
免疫機能を抑えることで起こりそうな
有害事象も多々ありますね。


6.いつき博士の考察

今回は前回の試験と
同じスコア、同じ症例、同じ試験デザインですが
競合品を比較対象にした試験でしたね。

デュピクセントとの
直接比較ではないため
一概には比べられませんが
とても面白い結果が得られていますね。

サイバインコ100mgとデュピクセントの
評価項目達成率が同じような数値であることから
会社戦略的な意図が見受けられますね。

サイバインコの他の試験についても
もっと勉強していこうと思います。

《参考文献》
サイバインコ インタビューフォーム
https://www.pfizermedicalinformation.jp/ja-jp/system/files/content_files/cib01if_1.pdf?pmidf

pfizer pro
https://www.pfizerpro.jp/cs/sv/cibinqo/index.html