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国民1人に10万円支給しても日本の財政は揺るがない?

財務省は公式文書で以下のように述べています。

「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」

国債がデフォルトしない、ということは、財政赤字を心配する必要はない、ということです。

この考え方のもとになっているのが、MMT理論 です。みなさん知っていましたか?(僕は、つい最近、知りました)

よく、以下のような報道を見ますよね。これが日本人の常識だと思います。

・日本は財政赤字が○○○兆円!
・だから、増税が必要!
・財政破綻は間近!
・国民の借金は1人あたり○○○万円!

ですが、1970年代以降数十年に渡り、日本の財政赤字は増え続けているのに、いまだに日本は財政破綻していません。ただ破綻寸前の状態まだけなんでしょうか。または、次の世代にどんどん借金を渡しているのでしょうか?

その考え方は誤りである、というのがMMT理論です。

MMT理論とは?

MMT理論とは、Modern Monetary Theory(現代貨幣理論)のことです。
簡単に言うと「自国通貨を持つ国は、インフレが起きない限り、財政赤字を心配せず、国債を発行し経済を拡大するべき」というもの。

そんなバカな。
それじゃ国民の借金が増えていく一方じゃないか。それに税金を取る必要が無いということか?

それが違うのです。

そもそも、ここで言う「借金」とは何か。
国債とは、国民の借金ではなく「国の借金」です。なぜなら、国債とは国が発行する債券であり、債権とはお金を貸した側(国民)が借りた側(国)から受け取る権利(有価証券)だからです。つまり、国債を発行して増えるのは国の借金です。そして、日本やアメリカのように自国通貨を自国の中央銀行が発行できる国は、新たな通貨を発行して支払えば良いのです。

なら税金を取る必要が無くなるのでは?という反論に対しては、MMTの制約事項としてのインフレ(ハイパーインフレ)の存在があります。

過剰な通貨発行は、需要が供給を大きく上回り、物価の上昇を引き起こします。この状態になると「保有資産がすぐに値上がりするだろう」という期待から過剰に消費が刺激され、バブルとなります。この状態が行き過ぎるとハイパーインフレとなり、貨幣価値が大きく下がってしまうことになります。

逆に、物価が下落傾向にあると、買い控え(「いつか値下がりするんじゃないか」という気持ちにより購入意欲が下がる)が起き、デフレスパイラルに発展する恐れがあります。

そうならないよう、物価上昇のバランスを取るために税金を取るというのがMMT理論の主張です。物価上昇の理想値は2.0%と言われますが、その値に近づけるためにプラス(国債)とマイナス(税金)のバランスを取っているとも言えます。

MMT理論の問題点

MMTにはいくつかの問題も指摘されています。その1つが、財政法第5条の存在です。現在の法律では、中央銀行は国債を直接購入できないのです。あくまで銀行等が国民の預金を原資にして国債を購入するわけで、無条件に「新たな通貨を発行して支払えば良い」とはなりません。他にも、マルクス経済学やケインズ経済学などと比較して物価水準の確定モデルが不明瞭だとか、クラウディングアウト(大量の国債発行により金利が上昇し民間の資金需要が抑制されること)が起きる等の問題もあります。

まとめ

コロナの影響で緊急の財政支出が必要な状況になっています。MMT理論でもケインズ経済学でも、正直なんでも良いのですが、国民として自国の財政の状況や、考え方を理解しておきたいものです。

人は恐怖に駆られると、少しでも明るいものや、一気に状況を改善してくれそうなものに飛びつきたくなりますよね。それはおそらく危険で、正しい知識と考え方が大事なのだと思います。

MMT理論がそうだというわけではなく「国債がいくらでも発行できる!やったー!素晴らしい理論!」と安易に鵜呑みにせず、また、同じように「1人10万円なんて国の借金が増えて破綻だ!」と正しい知識も持たずに悲嘆に暮れるのも避けなくてはいけないと思います。

人類未曾有の危機に、正しい知識でしっかり考えて立ち向かう。乗り越えましょう!!!

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