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all day placeの選びかた

前回の-side stories- 01 では、
「all day placeがall day placeになるまで」と題して、
ホテルのコアとなるコンセプトが出来上がるまでを書いていきました。

今回からは、ずばり
「all day place とはどんなホテルなのか?」ということを
少し掘り下げていきたいと思います。



人それぞれのホテルの選びかた

ホテルを選ぶときの条件に、どんなものがあるでしょうか?
一般的に重要視されていると言われているのは、
立地・価格・部屋の大きさ・ベッドの大きさ・バスタブの有無

その他にも、デザイン性・築年数・お部屋の清潔さ
ベッドのメーカー・選べる枕・シャワーの水圧
シャンプーのブランド、などなど…

挙げはじめればキリがないほど、
その人なりの条件やこだわりのポイントがあり、
それぞれに優先順位があると思います。

私たちホテルを作る側の人間も
ウェブサイトを隅々までチェックするのはもちろん、
予約サイトの口コミを見比べたり、
SNSの写真を探したり、第三者の意見も参考にしながら
色々とホテルを泊まり歩いてきましたが

「やっぱり泊まってよかった」「また泊まりたい」と思うホテルには
そのホテルの姿勢や選択に共感できる部分があるかが重要でした。

その重要な部分は、正直「泊まってみるまでわからない」と思います。

それでも、普段選ばれる側のホテルである私たちの
色々な「選びかた」をこのnoteで知っていただくことで
自分の共感ポイントがあるホテルかどうかを探る、
少しでもヒントになればと思っています。



なぜ、自宅では繰り返し使うものがホテルでは使い捨てなのか

普段使っている歯ブラシ、
どれくらい使い続けているでしょうか?
(通常の歯ブラシの交換は、1カ月を目安にとされています)

では、ホテルの歯ブラシは?
基本は1日で使い捨て、
長く使っても同じホテルに宿泊の間だけではないでしょうか。

そのほかにも「アメニティ」と呼ばれる、
ホテルから無料で提供される消耗品:
カミソリ・ヘアブラシ・ボディタオル・スリッパ・ヘアゴムなどを
家で使い捨てにしている人はいないと思います。

「旅行中、持ち歩く荷物をできるだけ少なくしたい」
という気持ちは皆同じです。
行く先々のホテルで必要なアメニティを用意してくれているのなら、
それはとても便利なこと。

使い捨て、無料で提供されることが前提のアメニティは
コストの安いプラスチック製品に頼らざるをえないホテルが大半です。

その便利さと引き換えに、
まだ使えるものを簡単に捨ててしまっていいのか

その安さと引き換えに、
大量のプラスチックごみがホテルから排出されていることに
目を瞑ってしまってもいいのか

ホテルや旅行業界全体に問いかけられている課題であり、
これからの旅行者に、
これまでの旅の仕方を見直すタイミングがきています。

※「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(略して「プラスチック資源循環法」)が今年4月1日に施行予定、ワンウェイプラスチックの提供事業者(小売・サービス事業者など)が取り組むべき判断基準を策定、製造・販売事業者等による自主回収の促進などが盛り込まれています。

プラスチック資源循環特設HP



all day placeの最初の一歩

all day placeでは、
使用率の低い消耗品アイテムからお部屋に置くのをやめること、
使い捨て/繰り返し利用の選択では、できるだけ使い捨てをやめること、
をはじめます。

まんべんなく、全て人のニーズに応えられるよう、
利用するかしないかわからないものをたくさん置いておくよりも

アイテム数を絞ることで
もう少しクオリティの高いもの、そしてより環境に良いものをチョイス

「可もなく不可もなく」なアメニティを利用し続けるよりも、
もっと気持ちよく使えるもの、
次の旅や旅から戻ったあとの暮らしに取り入れたいと思うものを。


まだまだ完璧ではないかもしれませんが、
少しずつ、ベターチョイスを増やしていき、

お客さまと一緒に、
新しい旅の仕方を作ってきたいと願っています。


アメニティの中でも、利用頻度のいちばん高い、ハブラシ
それ以外のアメニティ類をお部屋に置かない代わりに、
より環境にやさしいハブラシ・ハミガキ粉を導入することに決めました。

ホテルから排出されるごみの多さに課題意識を持って
MiYO Organicを立ち上げた、代表の山本美代さんにお会いし、

そのビジョンに共感した私たちは、
MiYO Organicの竹歯ブラシと紙ハミガキ粉を採用することを決めました。

このハブラシのポイントは:
・漂白剤・防カビ剤使用せず、材料となる竹を殺菌
・日本人の口腔サイズに合う小さめヘッド
・日本の伝統的な金箔の技術を応用した歯磨きペーパーを開発。
 歯磨き粉チューブのゴミも削減。

ホテルでの利用だけでなく、おうちに持って帰って
竹歯ブラシの寿命まで繰り返し使ってもらいたいと思います。



その他アメニティの「やめます/変えます」


  • ペットボトルの水の配布をやめます

私たちが住む日本の水道水、飲めない訳ではないのに、
ロゴ入りのペットボトルの水を提供することが、
私たちが届けたい重要なサービスなのか、という議論を重ねてきました。

日本国内で1年に223億本生産され、
1人あたり年間約185本消費しているとされるペットボトル*
今日1本でも減らせたらそれは小さな成功ではないでしょうか
*2020年度数値/参照:PETボトルリサイクル 年次報告書2021

お部屋にはカラフェを用意しています。
8階のベンダーコーナーにあるWATER STAND
お水を汲む時に利用してください。

  • もっと環境負荷の低いバスアメニティ

環境意識の観点で、より先進的なオーストラリアで
2011年に生まれたブランドAPPELLES
世界中の一流ホテルで利用されているという品質はもちろんのこと、

・動物実験廃止、パラベン・MIT(メチルイソチアゾリノン)不使用
・生分解性(バイオディグレータブル)原料を使用したボトル

気になるポイントはしっかりと抑えつつ、
実際の使い心地とオーガニックの精油をブレンドした香りも
採用の決め手となりました。


  • 使い捨てスリッパをリユースできるものへ

不織布の使い捨てスリッパは履き心地がイマイチで、ごみになる、
かといって、ビニールのスリッパは味気ないものばかり。

衛生面が気になるスリッパに、心が躍るような選択肢が
今までありませんでした。

indosoleは洗浄や消毒にも耐えうるウォータープルーフ、
実際は街やビーチなどでも利用もできます。

廃タイヤの問題に直面しているインドネシア・バリから、
サスティナブルな素材を用いた環境への配慮の観点はもちろん、
社会貢献の面からも取り組みをするブランドです。

  • 紙コースターからリサイクルマテリアルのコースターへ

紙のコースターも、ホテルで出てくる代表的なゴミのひとつ。
使い捨てを止めることでゴミを減らすと同時に、
コストが減った分、
より一つ一つのクオリティをよくすることにつながります。

回収した洋服を専用工場で板状に加工、
100%繊維系廃材からできたリサイクル素材、
「廃棄衣類リサイクルボード」を使用したコースターを
お部屋に用意しています。

  • 海洋プラスチックごみ削減に貢献するデュべと枕

ホテルの必需品である枕や掛け布団などの寝具には
主に羽毛やポリエステルの中綿などが使用されています。

all day placeの寝具には、
ゴミの削減と貧困者問題に取り組むPlastic Bank
海に流れ出る前のプラスチックごみをリサイクルして作られた

再生ポリ綿「Suprelle™ blue」**を使用した
枕とデュべ(掛け布団)を採用しています。
**1 Suprelle™ はADVANSA社の登録商標です。



最後に


くり返しにはなりますが、
これら私たちの選択は、まだ完璧ではありません。

できることから順番に、
お客さまと一緒にホテルも成長していくことで

これからも「旅」が楽しめる未来を
作っていきたいと思っています。



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