King & Princeから学ぶ人事マネジメント

2023年5月20日、King&Princeが最後の活動を終えましたね。
当初の発表では「2023年5月22日をもって5人の活動を終了」と発表されていたので、最後の姿が昨日であったことを寂しく感じている方は多いと思います。
私は彼らのファンというわけではなかったのですが、昨年11月に発表があってからずっと気になっていたので、昨日の最後の姿もテレビで拝見しました。なぜ気になっていたのか?それは彼らがアイドルという職業だったからかもしれません。
その心理を少し深彫りしたいと思います。

一般的にアイドルという職業にどのような印象を持っているか?多くの方がそうだと思うのですが、アイドルは憧れであり、「成功しているアイドルはその仕事に満足している」という先入観があるように思います。少なくとも私はそうでした。しかも最近のアイドルを目指すものは多く、競争の激しい時代です。デビューを目指して努力を重ね、チャンスをつかめる者は決して多くはないはずです。だから、夢をかなえたアイドルという職業を自ら手放してしまうことはしないはずと一方的な思い込みがありました。
その思い込みを覆すKing&Princeの一部メンバーの脱退でした。

King&Princeは2018年、メンバー6人でデビューしました。デビューについては会社に「デビューできなければ辞める」と交渉した、と言われています。この時点では『デビュー』は彼らの短期的な最大の目標であり、最も重要な分岐点だったと思います。会社は彼らの意思(Will)とスキル(Can)から『デビュー』(Must)という判断をしたのだと思います。

デビューから5年、King&Princeのうち、3人は脱退し、その理由は「海外進出できないから」と伝えられています。短期的な目標を達成した彼らは長期的な目標に『海外進出』(Will)をおいていたのでしょう。そして個人的にそのための努力(Can)を重ねていたにもかかわらず、『海外進出』につながるような仕事(Must)がないことが不安や不満になっていったのではないでしょうか。

人事マネジメントで利用されるWill・Can・Mustフレームワークに照らし合わせると、デビュー時にはWill・Can・Mustがかなりの部分でオーバーラップし、両者が同じ目標を持つことができていたと言えます。
しかしながら、次第にWill・Can・Must、とくにWillとMustが乖離してきたことにより、最終的に脱退という選択肢しか残らなかったのでしょう。
本来であれば、Will・Can・Mustは長期的視点で合意する必要がありました。企業でいえば現在のWillではなく、長期的なWill=キャリアパスとMustを重ね合わせることが重要になります。

私たち従業員は、以前のように入社した会社の中でのみキャリアを考えるのではなく、社会全体で希望するキャリア(Will)を達成できる環境(Must)を探すことが容易になりました。転職回数も3~4回でも珍しくありません。企業は従業員に環境(Must)を与えることができなければ、他社への転職も受け入れなければならないと考えます。

平野紫耀(26)さん、岸優太(27)さん、神宮寺勇太(25)さんは5年間のKing&Princeとしてアイドル業を卒業し、新しいスタートを切りました。まだ転職1回目。自分のやりたいことを実現するために努力できる人たちなので、きっと笑顔でこれからすすんで行けると信じています。
King&Princeが最後の楽曲として選んだBeautiful Flowerには次のような歌詞があります。

そう君らしく そう僕らしく また歩き始めよう
ここからさ 始まる僕らの new storyを
さあ踏み出そう 一度きりさ only one life
a great future will wait for me
そうさ 僕らを待つ brighter future

https://www.uta-net.com/song/335954/


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