UN Free&Equalの日本語訳

国連組織のLGBT関連の用語の定義を知りたいと思い、このサイトを翻訳してみました。

〈このサイトは何?〉
UN Free & Equal は、LGBTIQ+の人々の平等な権利と公正な待遇に対する認識と支持を高めるための広報キャンペーンです。2013年に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が始めました。

〈翻訳についてメモ〉
・なるべく直訳しました。そのため大変に読みづらくなっています。
・言葉の意味が不明確なところは、敢えて片仮名で残しました。たとえば「エモーショナル」は「感情的」と訳さず、そのままにされています。
・今回、「性別」と同じような意味で用いられてきたsexを敢えてそのまま「セックス」と書きました。性交の意味ではないことにご注意ください。「性別」という語は日本語において色々な意味で用いられるので、ジェンダーとセックスを区別するためにこうしました。
・もし間違いがあったらごめんなさい。



アセクシャル(Asexual)

性的魅力を体験しない人を表す用語。一部のアセクシャルな人々が恋愛的・エモーショナルな魅力を体験する一方、そうでない人々もいる。恋愛的魅力を体験する人は、恋愛的魅力の指向を表現するために、ゲイ、バイ、レズビアン、ストレート、クィアなどの用語をアセクシャアルと併用で使うこともある。アセクシャルな人はどんな性自認、性表現、性徴をも持ちうる。名詞の隣に使用する。例:asexual person

バイ恐怖症(Biphobia)

バイセクシャルを現実の性的指向として否定することを含む、ネガティブなステレオタイプに基づく、バイセクシャルの人々に対する偏見や敵対的態度のあらゆる形態。バイ恐怖症は、バイセクシャルである人、バイセクシャルと思われる人を対象として、排除、スティグマ、ハラスメント、犯罪化、差別、及び/または暴力として現れる。

バイセクシャル/バイ(Bisexual/Bi)

複数のジェンダーの人々に恋愛的、及び/または性的に惹かれる人々を表すための用語。バイセクシャルであることは、必ずしもその人が全てのジェンダーに等しく惹かれることを意味しない。しばしば、一つの性別に排他的ではないがはっきりした嗜好を持つ人々もバイセクシャルを自認することがある。バイの人はどんな性自認、性表現、性徴をも持ちうる。名詞の隣に使用する。例:bisexual woman, bi man

シスジェンダー/シス(Cisgender/Cis)

性自認が出生時に割り当てられた性別と一致している人(すなわちトランスジェンダーでない)を表す用語。シスの人はどんな性的指向、性表現、性徴をも持ちうる。名詞の隣に使用する。(例:cisgender man, cis woman)

差別(Discrimination)

彼らが所属すると見なされる集団、階級、他のカテゴリーに基づいて、人間の間に不当な区別を作る行動。人々は人種、セックス、ジェンダー、年齢、宗教、障害、移民ステータス、性的指向、性自認、性表現、性徴、そして他の多くのカテゴリーに基づいて差別されることがある。

エンドセックス(Endosex)

身体的性徴(性的な解剖学的構造、生殖器官、ホルモンパターン、及び/または染色体パターンなど)が男性または女性の身体の典型的な定義に当てはまる(すなわちインターセックスでない)生まれつきの人を指す。エンドセックスの人はどんな性自認、性表現、性的指向をも持ちうる。名詞の隣に使用する。(例:endosex woman)

ゲイ(Gay)

同じジェンダーの人々に対して、エモーショナルに、恋愛的に、及び/または性的に惹かれる人々を表すための総称。より一般的には男性を表すために使われるが、一部の女性とノンバイナリーな人々がゲイを自認することもある。ゲイの人はどんな性自認、性表現、性徴をも持ちうる。名詞の隣に使用する。(例:gay man)

ジェンダー(Gender)

社会的に構築されたアイデンティティや役割、及び、社会がセックスやそれに基づく生物学的差異に付随する社会・文化的意味により、誰かにたいして期待され、適切であり、受け入れられるものと考える属性。要するにジェンダーとは、社会がセックスに基づいて人々に期待する一連の行動、活動、表現形式のことである。このような期待は、社会、コミュニティ、集団、また時代によって異なり、しばしば不平等や、男性の優遇、女性や他のジェンダーの不利、社会の全ての構成員への悪影響をもたらす。

ジェンダーの多様な人々(Gender Diverse People)

性自認および/または性表現が、ある文脈におけるジェンダー規範やステレオタイプに合致しないと思われる人々。

性表現(Gender Expression)

服装、話し方、態度を含め、行動や見た目を通して、人々が外的にジェンダーを表現する方法。性表現を表すための用語には、男性的、女性的、両性的などが含まれる。多くの人々にとって彼らの性表現は、社会が彼らのジェンダーにふさわしいと見なす考えに沿っている。そうでない人もいる。人の性表現はさまざまであり、これは彼らの性自認や性的指向、性徴とは別である。

性自認(Gender Identity)

一般的に、深く感じられ、内面で経験された自分自身のジェンダーの感覚と定義される。出生時に割り当てられた性別と一致している場合もあれば、そうでない場合もある。ほとんどの人は性自認を持ち、それは全体的なアイデンティティの一部である。性自認の概念は世界中で異なる。

ジェンダー・ノンコンフォーミング(Gender non-conforming)

社会的に受け入れられ、期待されるジェンダー規範やステレオタイプに適合していないと思われる人々を表す用語。この用語は通常、服装、話し方、態度を含む性表現に関連する。この用語は、性的指向、性自認、性徴に関係なく、あらゆる個人に適用できる。名詞の隣に使用する。(例:gender non-conforming people)

ヘイトクライム(Hate crime)

偏見を動機とする犯罪で、加害者が、特定の社会集団や人種統計に属している(またはそう思われる)ことを理由に、被害者を標的にする場合に発生する。

ヘイトスピーチ(Hate speech)

人種、肌の色、国籍、性別、障害、宗教、性的指向、性自認、性表現、性特性などの集団特性に基づいて、個人や集団に対する憎悪を表明したり、暴力を助長したりする公の言論。

同性愛恐怖症(Homophobia)

同性に惹かれる人に対する偏見や敵対的態度のあらゆる形態。ホモフォビアは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルである人、またはそう思われる人を対象とし、排除、スティグマ、ハラスメント、犯罪化、差別、暴力として現れることがある。

人権(Human Rights)

権利とは、単に私たちが人間として存在するから持っている権利である──いかなる国家から付与されるものではない。これらの普遍的な権利は、国籍、性別、出身国や民族、肌の色、宗教、言語、あるいは性的指向、性自認、性表現、性徴を含むその他の地位に関わらず、私たちすべてに固有のものである。最も基本的な権利──生存権──から、食糧、教育、労働、健康、自由に対する権利などの、人生を生きる価値あるものにする権利まで、人権は多岐にわたる。

インターセックス(Intersex)

男性または女性の身体に関する典型的な定義に当てはまらない身体的性徴(性的な解剖学的構造、生殖器官、ホルモンパターン及び/または染色体パターンなど)を持って生まれた人々を指す用語。これらの特徴は、内的または外的であり、出生時に明らかである場合もあれば、思春期から現れる場合もあり、また、身体的にまったく明らかでない場合もある。インターセックスの人々には、広範で多様な性徴が存在する。インターセックスの人は「インターセックスである」「インターセックスの変異を持つ」など、さまざまな方法でこの語を使うことがあり、また、この言葉をまったく使わないことを好むこともある。名詞の隣に使用する。(例:intersex person)

インターセックス恐怖症/インター恐怖症(Intersexphobia/Interphobia)

インターセックスの人々やインターセックスの特徴の存在に対する偏見や敵対的態度のあらゆる形態。これは、排除、スティグマ、ハラスメント、差別、病理学化、インフォームド・コンセント無しに行われるインターセックスの幼児や青少年への手術(インターセックス性器切除と呼ばれることもある)、及び/または暴力として現れることがある。

レズビアン(Lesbian)

他の女性に対し、エモーショナルに、恋愛的に、及び/または性的に惹かれる女性を表すための用語。一部のノンバイナリーの人々もこの語で自分を表現する。レズビアンはどんな性自認、性表現、性徴をも持ちうる。名詞の隣に使用したり(例:lesbian women) 名詞としても使用したり(例:a group of lesbians)する。

LGBTIQ+

レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、インターセックス、クィア、そして社会規範に適合しないと見なされるその他の性的指向、性自認と表現、性徴をもつ人々の頭文字を取ったもの。国際的に、また(全てではないが)幾つかの文脈において頻繁に使われる用語である。人々が自分の性的指向、性自認、性表現、性徴について言及するため使う用語や、それらが議論される方法は、場所、言語、世代、その他の文化的背景によって異なるかもしれない。人が自分自身について言及するときに使う用語を尊重することはいつでも重要である。

複数で交差的な形態の差別(Multiple and intersecting forms of discrimination)

ある人が、複合的な否定的影響と、差別の明確かつ具体的な形態を生み出す、複雑で、そして/または切り離せない方法で相互作用する2つ以上の分野において差別を受けるときに発生する。たとえば、若い黒人のバイセクシャル女性は、人種差別、年齢差別、バイ恐怖、性差別、周辺化の複合的な混ざり合いによって、不釣り合いな悪影響を受けるかもしれない。

ノンバイナリー(Non-binary)

性自認が男女のジェンダー二元論から外れている人を表すために使われる用語。この用語は、男でも女でもない特定の性自認を持つ人々、2つ以上のジェンダー(バイジェンダー、パンジェンダー、ポリジェンダー)を自認する人々、どのジェンダーも自認しない人々(アジェンダー)など、ジェンダー体験の幅広い多様性を内包しうる。ノンバイナリーの人々は、自分自身をトランス、ジェンダークィア、ジェンダーフルイド(時間を経ても性別が固定されない人)と表現することもあるし、そうでないこともある。名詞の隣に使用する。(例:nonbinary youth)

パンセクシャル(Pansexual)

ジェンダーに関係なく、人々に対しエモーショナルに、恋愛的に、及び/または性的に惹かれる受容力を持つ人々を指す用語。パンセクシャルの人々にとって、惹かれる人のジェンダーは関係がない。名詞の隣に使用する。(例:pansexual woman)

+(Plus)

プラス記号は、社会規範に適合しないと見なされる多様な性的指向、性自認、表現、性徴を持っており、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス、クィア以外の用語によって自認する人々を象徴する。このような用語は数多く、文化、言語、統計学的集団によってさまざまに異なる。

クィア(Queer)

歴史的に英語において攻撃的な語だった「クィア」は、多様な性的指向、性自認と表現を持つ人々を包括する用語として、一部の人々により再認識されてきた。クィアは、性的指向、性自認、性表現に基づき特定社会の規範に適合していないと感じる多くの人々によって、ますます使われるようになっている。しかし、この言葉が普遍的に受け入れられているわけではないことに留意すべきである。特に、嫌がらせのために残酷で軽蔑的な方法でこの語を使われた経験のある人は、自分のアイデンティティを定義するためにこれを受け入れないかもしれない。名詞の隣に使用する。(例:queer person)

セックス(Sex)

女性、男性、及び/またはインターセックスの性徴を持つ人という分類。乳幼児が通常、外見上の解剖学的特徴のみに基づいて、出生時に男性または女性のセックスを割り当てられる一方、人のセックスはさまざまな身体的性徴の組み合わせである。人のセックスは、性自認と一致している場合もあれば、そうでない場合もある。身分証明書の性別表示を変更できる国が増えている。

性徴(Sex characteristics)

性的な解剖学的構造、生殖器官、ホルモンパターン及び/または染色体パターン、思春期から現れる二次的身体的特徴(声の深まり、体毛/顔毛の成長、乳房の発達など)を含む、性に関する身体的特徴。

性的指向(Sexual orientation)

同性、異性、あるいは複数のジェンダーの人々に対する恋愛的、エモーショナルな、そして/または身体的な感情や魅力。これは異性愛、同性愛、両性愛、汎性愛、無性愛、その他さまざまな範囲の性的指向の表現を内包する。みなが性的指向を持っている。人の他者に対する感情や魅力を表すとき、「性的嗜好」や「ライフスタイル」という語は一般的に攻撃的だと考えられる。

(いわゆる)転向療法/ (so-called) ”Conversion Therapy”

ジェンダーやセクシュアリティをめぐる社会規範や嗜好に適合するよう、人の性的指向や性自認を変えることを目的とした幅広い介在を表すための包括的な用語。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスやジェンダー不適合者は異常か不健全であるという、医学的に誤った考えや社会的・宗教的信念に依拠しており、精神的・身体的に深く有害な行為となりうる。介入の種類はさまざまで、深刻な苦痛を与え、長期にわたる心理的・生理的ダメージをもたらすなど、きわめて有害な場合もある1。セラピーではなく有害な行為であり、誰も転向させられないという点において、この「転向療法」という語は誤称である。

SOGIESC

性的指向、性自認、性表現、性徴の頭文字をとったもの。全ての人が性的指向、性自認、性表現、性徴を持っているが、全ての人のSOGIESCがその人をスティグマや差別、虐待の対象にさせることはない。

ストレート/ヘテロセクシャル(Straight/Heterosexual)

恋愛的な、エモーショナルな、そして/または身体的な魅力が女性に向いている男性、もしくはその逆。ストレートの人は、シスジェンダーかトランスジェンダーでありうるし、どんな性表現や性徴をも持ちうる。名詞の隣に使用する。(例:straight man, heterosexual woman)

トランスジェンダー/トランス(Transgender/Trans)

出生時に割り当てられたセックスと一致しない性自認を持つ人々を表す。トランスの人々は、男性、女性、トランス男性、トランス女性、トランスジェンダーの人、ノンバイナリーの人、あるいは異なる言語や地域にわたって他の用語の広い範囲の性自認を自認することがある。一部のトランスジェンダーの人々が、身体やジェンダーのありようを自分のアイデンティティと一致させるために、手術やホルモン剤で身体を修正しようと努め、そして/または他の個人的・社会的・法的な措置(移行プロセス)をとる一方、そうしない人々もいる。トランスジェンダーは、どんな性表現、性的指向、性徴をも持ちうる。名詞の隣に使用する。(例:transgender man, trans person)

トランス恐怖症(Transphobia)

彼らの性自認の否定や認知の拒否を含め、トランスジェンダーの人々に対する偏見や敵対的態度のあらゆる形態。トランス恐怖症は、トランスである人やそう思われる人を対象に、排除、スティグマ、ハラスメント、犯罪化、病理化、差別および/または暴力として現れることがある。


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