東郷青児:作「ナース像」(昭和49年:1974、日本赤十字社所蔵)第23回秘蔵の名品アートコレクション展作品鑑賞レポート

《所蔵先は明らかになっているものの、社会貢献活動としてではなく、東郷青児個人が日本赤十字社に寄付した作品であること、また、日本赤十字社のHPを見る限り作品等を自発的に集めているわけではなく、各々の芸術家が寄贈している点を考慮し、作品画像およびそのリンク先は標示しない。興味ある場合は各個確認願いたい》

明らかに東郷青児の作品か、と言われると一瞬戸惑ってしまう。東郷青児が描いたこのナース像は、ここまで色白だったっけと目を奪われてしまった。

しかし、地元に戻り東郷青児の作品を比較して見ると、首が長く、色白面長の肖像画は確かに彼の描き方として違っていない。

戦地に赴く看護兵をイメージしているのだろうが、何かの記念画と感じてもおかしくない。女性像なら華やかさのイメージが先行してしまうが、彼女は職務に対する責任を全うしようとしているのか。目の描き方は他の作品と大きく変わることなく、彼の美人画の特徴を捉えている。この「ナース像」は背景が灰色、衣服も灰色の軍服。美しさよりも彼女の芯の強さや責任の強さを捉えた作品ではないだろうか。

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