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ALKOTTOの仲間たちと歩く初めての宇治 #2 「源氏物語ミュージアム」編

 こんにちは、京都外国語大学1回生の西川歩奈です。11月初旬のALKOTTOのnoteのメンバーたちと宇治散策に行ってきました。今回は宇治散策の中でも心惹かれた「源氏物語と宇治のつながり」についてお話ししていこうと思います。

 宇治散策では、朝からみんなで宇治駅に集合。茶そばやうどんなど美味しい昼食をいただいたあと、続いてはみんなで源氏物語ミュージアムに向かったのだが、その途中、宇治十帖と書かれた男の人と女の人が寄り添いあった石像が宇治川近くにあるのを見つけた。わたしは最初、この2人は源氏物語一帖「桐壺」で登場する、主人公の光源氏とヒロインの葵上だと思いこんでいたのだが、じつはこの2人は源氏物語の「宇治十帖」に登場する光源氏の孫にあたる匂宮と物語最後のヒロイン浮舟だと知った。よく見ると2人は小舟の上でなにか話をしているように思える。匂宮には中の君と呼ばれる正妻が、浮舟には薫と呼ばれる夫が、それぞれいる。そんななか2人は出会い、最終章である五十四帖「夢浮橋」の場面では、匂宮は浮舟への思いが溢れて愛の誓いをして小舟を漕ぎ出していく。そんな描写がこの石像に表れている。

 源氏物語ミュージアムに入るとまず、観覧券のデザインが目に入った。そこには、女性4人と男性1人が描かれていて月夜の夜に女性陣は月見を楽しんでいるようだ。男性は月を楽しんでいるのか、女性4人のうちだれか意中の女性を垣間見しにきたのか、真実は分からない。この絵には女性と男性の間に簾があり、やはりこの時代は簡単にお互いの姿を見ることは容易いことではなかったのだと感じた。源氏物語ミュージアムを進んでいくと、そこには幻想的な源氏物語の世界に入り込んだかのように錯覚させる、平安時代の暮らしの様子や映像などによって展示されていた。なかでも、わたしがもっとも心惹かれた展示が、平安時代の「垣間見よう」のコーナーだ。この展示ではパネルが用意されておりそのパネルには人型の顔がすっぽり入るように切り込まれていて、中を覗くとその名の通り「垣間見」の体験ができる。実際に中を覗くと1人の雅な女性がいて覗く角度から見え方がとても変わるところがこの展示の魅力的なところだと思った。垣間見を体験することによって、愛する人の姿をひと目でも見ようと努める男性の貴族の切ない気持ちが少し理解できたような気もする。

 そして、もうひとつ私が心惹かれた展示が百人一首の作品のひとつ「我が庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり」である。これは、喜撰法師によって詠まれた百人一首の歌で、俗世間から離れて住む法師の心情について詳しく描かれている。この作品から宇治は昔の人にとって、リラックスするための地域だったのではないかとわたしは思う。記事の最初で登場した浮舟も薫が隠れて住まわせた場所として宇治の場所が登場する。この作品をみてわたしは懐かしいと感じた。じつは高校時代部活で小倉百人一首かるた部に所属していたが、当時は深くまで札の意味について考えたことはなかったので、少しもったいなかったなあと感じた。そして早速、家に帰ってから「わがい」の札を見ながら、歌の意味についてじっくりと考えた。

 宇治散策を通して、充分にALKOTTOのnoteのメンバーたちと宇治の文化や歴史に触れることができたと思う。源氏物語に関しては、自分自身まだまだ知識が浅いこともあり、源氏物語ミュージアムの展示の内容は充分に理解しきれていないと思う。にもかかわらず、源氏物語に登場する人物のそれぞれが切ない思いや葛藤を抱えていることをリアルに感じ取ることができた。源氏物語は、いちどその世界に入れば、不思議と引き込まれる物語であることをあらためて実感した。これから読む人はもちろん、すでに読んだけどわたしのように理解が浅いかもという人にも、源氏物語ミュージアムを訪ねてから、読んでみることをおすすめする。

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