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You Do You!アメリカでドラム修行留学をしたAIU生が語る「好き」への挑戦|ALiveRallyインタビュー #3

こんにちは!今回は、AIU(Akita International University:国際教養大学)が生んだ伝説のドラマーこと、13期卒業生の石原寛人(いしはら・ひろと)さんにお話を伺いました。2018年の1月からAIUの交換留学で、アメリカのアイオワ州に位置するUniversity of Northern Iowaに留学された、寛人さん。
幼少期から続けてきたドラムを極めたいとの思いから、留学先を決めたそう。しかし、現地での経験からそれまで目指してきたプロドラマーの道を歩まないことを決断。その英断の裏にあった心境の変化とは!?

アメリカ留学のアレコレ、留学中の心境の変化などなど、ざっくばらんにお話しいただきました!留学を控えた人、極めたいことがある人、音楽に限らずやりたいことをとことん挑戦したい人に是非読んでいただきたい記事です!

基本情報

名前:石原寛人(いしはら・ひろと)さん
AIU入学時期:13期春入学
活動内容:AIU正規交換留学
活動場所:University of Northern Iowa (アイオワ州、アメリカ)
インタビュー時期:2021年10月

土地柄的特徴

ーーまず初めに、読者の中にもいるであろうアメリカ留学を控えた人たちのための、予備知識となるような情報を少し教えていただけたらと思います。事前アンケートで「寒かった」と回答いただきましたが、気候に関して教えていただけますか?
A. アメリカと言っても広いから一概には言えないけど、アイオワは寒かった。初日(渡航は1月)から雪も降っててマイナス24度(笑)。

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渡航先アイオワ州の様子。
写真の様子から想像する以上に寒いというか「痛い」らしい…。

ーー雪の量で言ったら秋田の方が積もってるけど、寒さはアイオワの方が断然厳しいんですね。
A. そうそう。あっちは雪がなかなか積もらないんだけど、本当に寒い。寒いを越してもはや痛い(笑)。特に内陸の方に位置する大学に(交換留学に)行く人は、イメージよりも寒いってことは知っておいた方がいいかも。ただ、大学とかの施設内は暖かいから寒暖差が激しくて、そこらへんの調整は難しいかな。

ーー事前アンケートで、この寒いというのと一緒に「交通機関がなかなかなくて不便だった」と言うことも記入いただきましたが、その点詳しくお話しいただけますか?
A. 正直、AIUと比較するとあっち(留学先)の方が便利だったのかなとバグってしまう自分がいて…(笑)。というのもあっち(留学先)は1時間に1本バスはあるから。

ーーいま、AIUは徐々にバスの本数減ってしまって、1時間に1本ないんですよね(笑)。
A. だから、AIU生の感覚で言ったら、ましかもしれないけど…。ただ、大都市に行きづらいって言う点では不便かもしれない。アイオワに空港は一応あるんだけど、地方の小さな空港から大都市に行くのはお金がかかる。だから、高速バスで$60くらいでシカゴまで行って、シカゴの空港から目的の大都市に行くってしないとお金がかかるかも。

ーーそうですね。日本と違って、都市間の距離が離れてますもんね。
A. そうそう。アメリカ(留学)行く人は割とそこら辺、考えた方がいいかも。いろんな有名な場所に旅行したいっていう人も頻繁にどこそこ行けるって訳じゃないね。
あとは、電車がないことも不便だった。けど、Eatsじゃない方のUber(ドライバーサービス)があったから、そこは便利だったね。Uberは全然手の届かない価格帯じゃないから、どうしようもないって時は使ってたかな。

ーーやっぱり、国外に出たからこそ、日本の電車社会のすごさというか、電車の便利さに気付けますよね…。(インタビュアー2人、寛人さんともに、地元(山梨・大阪・熊本)の電車事情を語る…笑)

しくじり寛人先生 :やらかしエピソード

ーーここからは事前アンケートでお答えいただいた「やらかしエピソード」を深掘りしていきます。本当に「これ大丈夫!?」と思うエピソードが多くあったのですが、まず、「シカゴで駅を探していたら、声をかけられ、案内してあげるからと言われてそのまま拉致されそうになった」(笑)。いや、やばすぎやばすぎ(笑)。
A. 本当にこの説明のまんまで(笑)。Google Maps見ながら駅を探していたんだけど、その人の案内に従って付いて行ってたら、駅までは無事着いたんだよ。でも、その後に「時間あったらうちで飯食って行かない?」って誘われて、拒否しても「いや、良いじゃん」と言われて。そこからが、かなり執拗で反対側の歩道にいた人が「何やってんだ」と声をかける始末。その隙を見て、地下鉄に逃げ込んで難を間逃れたっていう(笑)。

ーーどの時点で、それは「やばい」という認識をしたんですか?私だったら、その人に付いて行ってしまいそうです(笑)
A. 危ない危ない(笑)。ご飯をどこかに食べに行くならまだしも、「うちに来ないか」っていう誘いが怖いなって思ったかな。それに、駅に着くまでの会話で、日本から留学に来たことも言ってしまっていたので、留学に来れるある程度のお金を持った学生だということが知られていたのも危なかったと思う。
そこからNew Yorkに行ったんだけど、そこでは話しかけられないようにずっとイヤホンしてた(笑)。話しかけられるって言えば、マック(マクドナルド)で面白いことがあって…。あっち(アメリカ)はタッチパネルで注文するんだけど、注文をしていたときに後ろから「Excuse me. Excuse me.」って話しかけられて(笑)。「これ、奢ってくれって言うんだろうな」と思って、無視して対応したこともあったね(笑)。

ーー(笑)(笑)(笑)。そんなこと、日本ではまず経験することないですよね(笑)。他にも「Uberの車に携帯(電話)を忘れ、そのままNew Yorkを去った」と事前アンケートにご回答いただきましたが、どういう状況ですか(笑)。
A. 多分、今もその携帯、NYをぐるぐる回ってると思うよ(笑)。

ーーじゃあもう、手元に帰ってくることはなく?
A. そうそう。NYに行った時の最終日に空港まで送ってもらったUberでの出来事で。携帯を忘れたのに気づいたのはその到着先の空港なんだけど、どうしようもないからPC開いてWi-Fi繋いで、Googleアカウントを停止して対応した。一応、搭乗券の番号だったりはPCからメールを辿って解決。あとで新しい携帯買ってお金はかかったけど…。

ーーじゃあ、一応どうにかなったんですね(笑)。
A. どうにかなったというより、どうにかしたよね(笑)。けど、幸いだったのはあっち(アメリカ)はWi-Fiが使える場所がたくさんあったこと。おかげで、なんとかPCだけでもしばらくはやっていくことができた。だから、1つアドバイスとして、携帯で使うアプリはPCにも入れておくと万が一のときに便利かもしれない。

絶対評価 :やりたいことをやって良い、生きたいように生きて良い

ーードラムを極めたいと言うことで留学に行かれたと言うことですが、この「ドラム修行留学」はAIU入学前から決めていたことなんですか?
A. いや、これはAIUに入った後から決めたこと。ドラムは小学生の時からやっていたけど、AIUに入ってから本気になれたかも。と言うのも、AIUにある「他人のスタイルを否定しない」環境が良くて、かつスタジオが学内にあって毎日練習できる環境にも後押しされて、プロを目指したいと思うようになったんだよね。それで、その夢を口にした時も、周りも誰も否定しなかった。だから、ドラムを極めたいというのが渡米留学の1番の要因だったね。そこでなんでアメリカかっていうと、まず自分が1年生の時にアメリカの大学に留学していた先輩がいて…。その先輩はベーシストだったんだけど、留学先でベースの授業をとって、それをAIUのバイオリンの授業に単位変換したって話を聞いて、俺も「それしたい!」て思ったんだよね。あと、AIU入学前に、いろんな将来の道を模索していてプロドラマーの道も視野に入れたときに、NYの音楽学校に行くっていう選択肢もあったんだよね。それを思い出して、アメリカ留学なら「あ、それ(AIU入学前に検討していた音楽学校)行けるじゃん」って。もう1つは、ドラマーになってからの自分を売り込む力が欲しいってことでビジネスに強い学校でマーケティングを学びたくて、この学校(University of Northern Iowa)が見つかったのもアメリカを留学先に決断した理由だね。

ーーなるほど。AIUに入ってからの環境と入学前の色々調べていたことが合わさって、最終的に、幼少期からやってきたドラムを極めたいという思いが明確化したんですね。その、寛人さんが感じられたAIUの「他人のスタイルを否定しない」というのは具体的にどういうことですか?
A. なんだろう、個人的に日本のライブハウスのスタイルに上手く馴染めなくて。例えば、有名なバンドと共演したことが是とされるような雰囲気が自分にはちょっと合わないなあと感じていた。だけど、AIUの軽音部の人たちは音楽そのものをすごく楽しんでるイメージ。どんなジャンルであろうと、音楽歴の深浅関係なく、音楽を心から楽しもうとする気持ちが根底にある感じ。これは、AIU軽音部の好きなところだし、自分が幹部になったときにも守りたいと思った雰囲気だった。

ーー周りからの評価を軸とする「相対評価」というより、自分がいかに楽しめているかを軸にする「絶対評価」みたいなものがAIU軽音部にはあったということですかね。
A. そうそう。だからこそ、自分がやったことない分野の音楽でも、素直に「これ良いね!」って言える雰囲気があった。それに、さっきも言ったような、自分がプロを目指したいと言ったときにも否定せずに「良いね!」と言ってくれる環境があったからこそ、この留学にも踏み込めたかな。だから、この留学はAIUじゃなかったら実現しなかった留学だと思ってる。

ーーそんな「AIUに来たからこそ実現した留学」の実態を教えていただきたいです。現地ではどんな授業を履修されていたんですか?
A. マーケティング関連の授業だと、Digital Advertising(デジタル広告)って言う授業があったんだけど、自分でブログを開設して、SNSに紐づけてどうやって拡散させていくか、みたいなことをやったね。その時の経験は本当に役に立った。帰国後に一般票で順位を競うドラムコンテストがあって、当時の先生にも相談しながら色々拡散して、結局日本3位、世界で43位くらいの結果を収められた。

ーーおお!すごい!
A. 音楽関連の授業で言うと、週30分の個人レッスンが少し狭めの部屋であったね。この部屋は空いてたら、本当練習し放題!この右の先生(以下写真あり)に指導を受けてたんだけど、本当に優しかった。びっくりしたのが、AIUの先輩もかつてこの先生にドラム教わってたらしい(笑)。

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お話の中にもあった個人レッスン用の練習室

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ドラムの先生との写真。
(モザイクの下は)本当に優しそう…良かった(笑)

ーーへえー!意外なところで繋がりがありますね。そして、先生本当に優しそう!映画「セッション」みたいな先生が出てくるかと思いました(笑)。
A. いやいや、そんな怖い先生だったら、ドラム嫌いになっちゃうよ(笑)。だからまあ、留学先の大学では音楽面に加えて、ビジネス(マーケティング)的な側面からも自分をプロドラマーにするための授業を取ってた。

ーー大学のこんな充実した音楽の授業とは別に、夏休みの間にNYの音楽学校にも通われたと言うことですが、そこでは何をされたんですか?
A. 3週間、9時から17時までのプログラムに参加してた。当時は6ジャンル(ロック、ジャズ、ファンク、etc)の講義がそれぞれ週1回、個人レッスン週1回、他の楽器の人とセッションする時間が週1回、技術的な指導が週1回で各講義は2時間ずつみたいなスケジュールだったかな。

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NYの音楽学校内の練習室

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NYの音楽学校内のロビーで練習をする学生たち

ーー大学の夏休みにまでそんなハードスケジュールで濃密な音楽漬けの毎日を経験されたのに、プロの道を断念するにはどのような経緯があったのでしょうか?
A. そのNYの音楽学校には日本から修行に来ていた学生もいて、「日本でプロになる」ってどういうことか彼らと話をしたんだけど。そこで思ったのは、自分を自分から売り込みに行ける人じゃないと厳しいということ。自分から友人を遊びに誘ったりできない(比較的内向的な)自分がそんなことできるのかって思ったんだよね。それに、アメリカでいろんなジャンルの先生から音楽を教わる中で、1人1人言うことが違くて、芸術って正解がないなって思ったんだよね。そこで、「良いドラム」の定義がわからなくなった。だから、プロになって「良いドラム」が求められた時に、何をすれば良いのかわからなくなりそうだと思った。そして、なによりそんな風に悩みながらドラムやってると、ドラムが楽しくなくなりそうだなっていう危惧もあって。まあ、プロにならなくてもドラムは続けられるし。やり込んだからこその自分の適性認知というか、ポジティブな進路選択ができた。と言うのも、いまはメーカーで働いているんだけど、自分は自分で価値を生み出して働けているっていう点で、(プロドラマーとは)種類が違うだけでやっていることは同じっていう認識ができるようになった。だから、今振り返ると、(プロドラマーにならないという)ポジティブな進路選択ができたのかなって。

ーー冷静に自分の進路選択ができて素晴らしいと思います。
A. いやーでも、プロの道を辞めた当初はすごい未練あったよ(笑)。その決断をした当時は、正直まだプロの道を諦められない自分もいたけど、でもどうしようもできないみたいな(笑)。冷静になって自分をこう客観視できるようになったのは本当に時間を経てからだと思うな。だから、留学後半はまだ就活モードになれなくて、ボスキャリ(*)には行かなかったんだよね。でも、ボスキャリの翌週に旅行でボストンに行くというね(笑)。

*ボスキャリ=ボストンキャリアフォーラムの略称。毎年アメリカ、ボストンで開催される日英バイリンガルの留学生を対象とする就職イベント。

最後に寛人さんから読者の皆さんへ

自分が1年生の時に4年生だった先輩がアメリカの大学で留学をして音楽を習ってきたって話を聞いたことがこの渡米留学の大きな要因だった。だからこそ、自分もこれから留学行く人の役に立ちたいと思って今回のインタビューを受けさせてもらった。最近、AIUの後輩の話を聞いていて、「どういう学校なら単位変換うまくいきますか」とか言う話が比較的多く出てきて、なんだか怖くなってきて…。せっかくの1年間。普段はやりたいことを抑えることが美徳になっている人もいるかもしれないけど、本当にやりたいことを存分にできる1年間だと思うから、やりたいことを本当にとことん挑戦してみていいかなと思う!

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編集後記

多くのAIU生が持つ「絶対評価>相対評価」の価値観のおかげで、渡米留学が「AIUに来たからこそ出来た」特別な留学になったと語った寛人さん。だが、その留学を実現させたのは紛れもなく寛人さんご自身。そして、その「絶対評価」を礎に、留学先大学の濃密な授業に加えてNYの音楽学校での武者修行まで経験され、自分のやりたいことに愚直にチャレンジする寛人さんの姿。きっと読者の皆さんにも力を与えたのではないだろうか。結果として、現在はプロドラマーの道を歩まないという進路選択した寛人さん。周りからは、それだけの実力と熱意があって勿体ないとの声もありそうだが、それもとことんやりたいことに打ち込めた末のポジティブな決断と語る寛人さん。そんな点からも自分の軸を持って物事を考える「絶対評価」の実践が垣間見える。「周りの目を気にしてはいないか?」「自分のやりたいことに素直に打ち込めているか?」そんな熱いメッセージがズンズンと読者の皆さんの胸にも刺さったのではないだろうか。
尚、#アメリカ留学 や #ドラム修行 などに関して寛人さんに質問がある場合は私たちALiveRallyにご連絡ください!では、次回の記事でまたお会いしましょう!

Interviewer: Kyoko Fukuyama/ Taisei Homma
Writer: Taisei Homma

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