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『サティシュ先生の 夢みる大学』出版イベントに行ってみたら

こんにちは、akikoです♪

みなさま、サティシュ・クマールという方をご存知でしょうか?

サティシュ・クマール。
思想家、教育者、エコロジスト、平和運動家。

インドで生まれ、9歳でジャイナ教の修行僧になり、その後26歳で、世界の核保有国をめぐる平和巡礼の旅に出ることを決意。師からのアドバイスで”お金を一切持たずに”(!)徒歩で1万3000キロを2年半かけて旅をした。

それだけを聞いても、ものすごい方です。

そのサティシュがイギリスに創設した大学
「シューマッハー・カレッジ」は、

世界で唯一、ホリスティック・サイエンスという
学問分野を大学院レベルで専攻することができ、

サステナビリティを志す人たちにとって憧れの地となっています。

そんな偉業を成し遂げているサティシュですが、ご本人は笑顔に屈託のない、とてもチャーミングな方のようです!

今回、辻信一さん(文化人類学者 / NGO「ナマケモノ倶楽部」代表)と、当時辻さんが教鞭を取られていた大学のゼミ生18名が、シューマッハー・カレッジに2010年に滞在した際の記録として、

『サティシュ先生の 夢みる大学』
(辻信一著 / ゆっくり堂刊)

が2024年5月に出版されました。

本に関して特設ページが設けられていますので、ご興味のある方はこちらをご覧ください😊

出版を記念して、オンライン・リアルの両イベントが企画され、私はリアルで参加してきました。

今回の記事では、その体験を少しでもシェアできればと思います😊

(ちなみに、サティシュのことは誰も先生とは呼ばず、サティシュ、とファーストネームで呼ぶそうです!この記事でも、敬愛の念を込めて、サティシュと書かせていただきます。)


1. 豪華なゲスト陣!

イベント当日は、著書の辻信一さんをナビゲーターに、お二人のゲストがいらっしゃいました。

お一人は、映画監督のオオタヴィンさん。

「夢みる小学校」「夢みる校長先生」などの”夢みるシリーズ”や、オーガニックな食をテーマにした「いただきます1・2」などの映画の監督をされています。


オオタヴィンさんは、辻信一さんとも親交があり、本書のタイトルである”夢みる大学”は、オオタ作品をヒントに辻さんが思いついた、とのエピソードがイベント中にも紹介されていました。

ちなみにオオタヴィン監督の映画は、すべてドキュメンタリーなのですが、実際の場面やインタビュー等を撮影して編集した、というものでは全くなく、それ自体がアートであり、正しさやある価値観を押しつけることなく、映像と音楽の美しさに自然と涙が流れてくる作品ばかりです。


もうお一人は、ヴォイスアーティストの堀田義樹さん。

キールタンという、インドで受け継がれる祈りの歌を、日本に広めた第一人者。その声と言葉は、心に突きささるかのようにまっすぐと届き、圧倒されるほどの魅力と光を放たれている方です。

このお二人に加えて、ゼミ生としてシューマッハーカレッジに滞在された卒業生5名の方も、会場に駆けつけてくれていました。

2. 学校には行く必要があるのか

イベントはまず、辻信一さんのプレゼンテーションから始まり、その後にオオタヴィンさんを迎えて始まったトーク。

サティシュ自身は、実は学校に通っていない。

それなのに、大学を"設立"できるほどになれてしまう、と考えると、果たして学校には行く必要があるのか、という問いが辻信一さんから出されました。

それに対する、オオタヴィンさんのコメント。

”藤井聡太くん(将棋棋士)が中学生の頃、学校の先生から、

「将棋ばかりしていないで、もう少し勉強したほうがいい」

って言われたそうなんですよね。

藤井聡太くんに、ですよ??

今から考えれば、それがどれだけ可笑しいことか、わかりますよね。

でもそういうことって、日常の中でたくさん起きていると思うんですよ。

子どもの得意なことを伸ばすより、苦手なことを克服しよう、って。

学校も、親も、子どもに夢をみさせてくれないんだよね。”

そんな学校であれば、行く必要はないのでは、そんなお話でした。

”○○なんかより、△△をちゃんとやって!”

は、学校の先生だけでなく、多くの大人(親)が子どもに言ってししまう、常套文句のようになってしまっていると思います。(私自身も反省…)

そうではなく、子どもたちが、こんな風に生きたいな、こんな世の中だといいな、とday dreamのようにぼんやりでも思えるよう、達成目標をかかげるのではなく、夢をみれるよう、

応援したいですね!

そんな温かなメッセージで、この問答は締めくくられました。

オオタヴィン監督の映画が、公立学校の校長先生たちや、市長、さまざまな地域で変革の鍵を握る方々にどんどん広まっている様子もお聞きでき、未来に希望を抱かせていただきました。

3. 人の声が持っているパワー


サティシュは本の中で、

”アーティストとは、特別な人のことではない。
わたしたちみんなが、だれもが特別なアーティストなんだよ。”

というような言葉を、学生たちに授けてくれています。

そうは言っても、自分には特になにもない…

多くの人は(私も、でしたが)そう思いがち。

実は私たちの持っている声こそが、だれ一人として同じではない、神様から与えられたギフトであり、その声を通じて、人とつながったり、社会を変えていくことができるんだ。

そう教えてくれたのが、堀田義樹さんでした。

実は私は、堀田義樹さんが主宰する「声のインテンシブコース」のオンライン受講を終えたばかりで、義樹さんに生でお会いしたい!という気持ちがきっかけとなり、今回イベントへの参加を(遠方からですが)決意したのでした。

その義樹さんの会場での歌声は、圧巻でした。

どうしてもサティシュに会いたくて、しかもサティシュが普段歩いている場所で会いたくて、数年前に実際にシューマッハカレッジまで行ったという義樹さんの、魂の奥底から出る歌声に、会場にいた人すべての魂が揺さぶられていたように感じました。

4. 学びの質は、その人の”あり方”に出る


印象に残ったエピソードはまだたくさんありますが、あと一つだけ。

イベント終了後のこと。

希望する人は、持参した本に辻信一さんから直接サインをいただけるとのことで、すぐに長い列ができました。

私は、他の方ともお話したかったので、列にすぐには加わらず、空いてきたら並ぼう、くらいに思っていました。しかし列はなかなか短くならず…

よく見ると、なんと辻さんは、サインをするだけでなく、その際に一人一人としっかりお話をされているではありませんか!

私が並び始めたのは結局、イベント終了後、40分以上が経過してからだったと思います。

その時点で、もうあと4−5人だからすぐだろう、と思いきや、なかなか前に進まない(笑)

その風景に、これはすごい!と思い直しました。

何十人もの、ほぼ全く面識がない人たちと、相手が話したい内容をつかんで、しっかりと向き合って話をする。

辻さんがサティシュを師として仰ぐ、というのは、こういうことなんだ。

ただ知識としてサティシュのメッセージを伝えるだけでなく、心を開いて、体も使って、目の前にいる相手を大切な一人の人間として迎え入れる、それこそがサティシュの言う

”教育(E)= 4H (頭 Head、心 Heart、手 Hands、家庭 Home)

教育に必要なのは、知識だけではないんだよ。ハートも手も使うんだよ。”

に通じているのだと、強い感銘を受けました。

そしてまわってきた自分の番。

”ずいぶんと、お待たせしました。”

そう言いながら、辻さんは、

しっかりと私の目を見てくださって、

まだ後ろに数名が並んでいる中、申し訳ないなと思いながらも、お話もしたいという私の言葉に耳を傾けてくだり、

必要なアドバイスを、さりげなく、でも的確に、温かく伝えてくださいました。

私がいただいたアドバイスは、

”学ぶことは楽しいんだと、子どもたちや学生たちに、存在やあり方で伝えることができたら、
それで十分だし、一番ですよ。そうできる大人が、あまりにも少ないから。”


時間にすると、お話させていただいたのは1分ほどだったと思いますが、この先もずっと心に残り続けるメッセージを受け取りました。

5. 最後に

今回のイベントに参加して、サティシュ・クマールという一人の人物から広がった学びの輪が、こうして日本で、そして世界中で受け継がれて広がっている様子を垣間見ることができ、とても貴重な体験になりました。

そのサティシュ、2024年11月に来日を予定されているようですよ!なんと88歳で!!

人間の力って、あらためて、すごい!!!

来日イベントも企画されているようですので、
絶対に会いに行こうと思います😊

興味のある方は、それまでに本をぜひお手に取ってみてくださいね。












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