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MUCA展に行きました!(2024年5月末)

テレビ朝日開局65周年記念
『MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~』
2024.3.15(金)-6.2(日) 森アーツセンターギャラリー

行ってきました!

印象派や表現主義あたりの絵画が好きでよく企画展に良く行くのですが、「現代アート」は興味を持ったのはここ最近。
今回は事前知識を入れずに、作品との対話を楽しんできました。お家に帰ってから気になったところを調べ、興味を持ったことを以下でまとめています。

MUCA (Museum of Urban and Contemporary Art)

「アーバン・アートと現代アートに特化した美術館」
ストリートアートというとNYというイメージがありましたが、MUCAはドイツのミュヘンにある美術館だそうです。

2016年にクリスチャンとステファニー・ウッツによってドイツ初のアーバン・アートと現代アートに特化した美術館として開館。(略)ポップ・アートからニューリアリズムまで、都市環境の中の芸術、抽象絵画、社会・政治問題など、多様なテーマを扱い、25年以上にわたって影響力を拡大し続けている。

MUCA展公式HPより引用

MUCAのHPを覗いてみると、日本人アーティストの名前が…奈良美智さんの作品(Untitled)もコレクションされていました。

アーバン・アートとは、一般的に「公共の場所にアートを描くこと」

アーバン・アートは、現代の都市空間で発達した視覚芸術を指し、 一般的には、壁や建物、道路や橋などの公共の場所にアートを描くことを言う。(略)
これらのアートは、都市の景観を変え、そこで生活する人々の心へ訴えかける。 また、アーバン・アートは時に政治的、社会的なメッセージを伝える。

MUCA展公式HPより引用

今回の展示はアーティスト計10名の「アーバン・アート」が紹介されており、まさに十人十色な作品が楽しめました。
ここでは「カウズ」「インベーダー」「バンクシー」の3人に絞って記録します。


カウズ

まず最初に登場したのは、ユニクロなどの企業コラボやアートフィギュアで有名な、目がバッテンの「コンパニオン」シリーズ。
手袋にズボン、靴がミッキーマウスに似てるなぁという印象。

4フィート・コンパニオン・ ディセクテッド・ブラウン  

カウズさんについて調べてみると、ディズニーの元アニメーターだったみたいです。ディズニーやセサミストリートなどの、既存キャラをモチーフにした作品を多く展開されていました。著作権は大丈夫なのかなと思ったのですが、権利ギリギリのラインを知った上で公表しているみたいです。

広告への悪戯

カウズさんが有名になったきっかけが、
こちらの広告にオリジナルイラストを加えた作品。

広告等にオリジナルのイラストをかき足して意味を変えてしまうこのスタイルを、「Subvertising(サブバータイジング)」と言うそう。

写真×イラストレーションがお洒落なポスターだなぁ…と鑑賞しましたが、「街の広告をゲリラでペイントした作品」だと知ると、また印象が変わってきますね…。

「広告への悪戯」によるパフォーマンス要素の高いイラストレーションから、
今のファインアート性の高いイラストレーションに繋げていく作品背景を踏まえて魅力を感じます。

ちなみに日本だとポスターに落書きをするのは基本的に禁止されていますが、
アメリカは、著作者の許可がなくても、一定の条件を満たせば著作物を再利用できる「フェアユース」という法律があるらしいです。

今回カウズさんについて調べるにあたり、
こちらの動画が参考になったのでリンク貼らせていただきます!



インベーダー

スペース・ワン(シルバー)

ゲーム「スペースインベーダー」をモチーフにした、モザイクタイルアートで有名なアーティスト。2015年のインタビューにて、

アート史を前に進めるためには、新たな領土を侵略し、征服する場所を見つけなければならない……。おそらく次に侵略するのは月になるだろう。何が起こるのかなんて誰にもわからない。

MUCA展キャプションより

各地でモザイクタイルアートを描くことを
「侵略」と表現する世界観にわくわくします。

渋谷の「ドット絵アトム」
日本も侵略されていていて、数年前に渋谷の「ドット絵アトム」が撤去されたことが話題になっていました。「これは落書きなのか、アートなのか……?」こうした論争により、作品の価値を高まっていくのが「現代アート」の醍醐味なんでしょうね。

本展のインベーダーさんの作品の中でも一際惹かれたのが、ルービックキューブを用いてドット絵の人物を描いた作品。

ルービックに捕まったシド・ヴィシャス

題名は後から知ったのですが、「ルービックに捕まったシド・ヴィシャス」。
街中を「侵略」しているドット絵たちと同じ世界線の作品に思えます。なぜ彼はルービックに捕まってしまったのか…意図はわかりません。しかしゲームの世界に囚われるなんて、なんだかロマンを感じます…。


バンクシー

バンクシーは展示最後の目玉として展示されていました。
黒塗りの壁の中で展示されており、他の部屋とは違った雰囲気。
まず目に飛び込んできたのは、歪んだ「アリエル」でした。2015年に期間限定でオープンした「ディズマランド」にて展示されていた作品。

ディズマランドの「アリエル」

バンクシー監修の、ブラックユーモアたっぷりのテーマパーク「ディズマランド」。展示室に作品を飾るのではなく、テーマパークから作りあげてしまうなんて他にない企画ですよね…。

パレスチナ・イスラエルの壁の側につくられた「世界で一番景色の悪いホテル」(ザ・ウォールド・オフ・ホテル)といい、バンクシーの企画力・行動力に尊敬しました。「ブラックユーモア」の効いたアートをただ発表するだけではなく、しっかり社会に貢献しているのが支持される理由なんだなと。

そして本展のサプライズ作品はこちら。
警備員さん2人に見守られながら展示されていました。

風船を持つ少女

2018年にサザビーズ・ロンドンのオークションに出品されシュレッターにかけられた「風船を持つ少女」も生で見ることができました…。かなり分厚い額縁で、シュレッターで切られたペラペラの紙の保管もとっても大変そうに感じます。


おすすめ映画:バンクシー監督のドキュメンタリー

過去に見たバンクシー監督のドキュメンタリー映画
「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」(2010年)もおすすめです。

バンクシーはもちろん、インベーダーさんも登場しています。
こちらバンクシーのドキュメンタリーと思いきや、バンクシーのカメラマンに焦点を当てた作品なんです。
「バンクシー」の影響力、ブランド力を感じる内容なのでぜひ見てみてください!


展示について

土曜日でしたが、比較的空いており1時間半ほどで鑑賞し終わりました。
荷物制限があり、財布・スマホ・カメラ以外持ち込みが禁止でしたので、サブバックを持っていくことをおすすめします。


まとめ

「アーバン・アート」は、そのアートを公開した空気感を含めて作品になるもの。美を追求した作品ではない為、実際に置かれた「その時その空間」に身おいて鑑賞しないと本当の魅力を堪能できない気がしました。
しかし「現代アート」初心者としては、「アーバン・アート」という括りで有名アーティスト10人の作品を一挙に鑑賞でき大満足。
今後も「現代アート」作品に積極的に触れて、記録していきたいです。

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