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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

『宝石の国』と『ジュエルペットてぃんくる☆』の分岐点


イントロダクション

 心癖論は心についての理論なので、物語やキャラの心情の分析に用いることも可能です。

 で、今回扱っていくのは、月間アフタヌーンに連載されていた市川春子の漫画「宝石の国」と、サンリオとセガトイズによる山本天志監督のアニメ「ジュエルペットてぃんくる」が心癖論から見て、面白い立ち位置にいるっていうお話です。ネタバレとかもあるというか作品を鑑賞済みなことが前提なんで注意してください。

 宝石の国って、仏教的世界観とシリアス展開が注目されやすいんですけど、地味にジュエルペットてぃんくる☆と共通点が多いんですよね。そもそもどっちも題材が宝石だし、月に重要な秘密があるし、未来の世界の話だし、主人公が人間の業を背負うことになるし、って、まぁ似てます。あんまり、似てる似てるというと両作品のファンに怒られてしまいそうですけどね。案外マブラヴと進撃みたいな関係なのかもしれないし、全然そんなことはなくて私の妄想なのかもしれない。

 でも、今回話したいのはそういう世界観とかテーマ的な類似性じゃなくって登場人物の性格と変化の話です。

心癖論からみた主人公の相違点と共通点


 いやいや、あかりちゃんとフォスって全然似てないじゃんって感じる人も多いと思うんですよね。フォスはあかりちゃんみたいに臆病で乙女なわけじゃないし、あかりちゃんはフォスみたいに自信家じゃないという意見は正しいと思います。まぁ、でも、それって心癖論でいうところの体癖の部分なんですよね。

 心癖論を知らない人のために説明すると、心癖論では性格を日常的な振る舞いに関する部分(体癖やエゴグラム的なもの=防衛スタイル)と究極的な欲求に関する部分(エニアグラムや中核的信念的なもの=トラウマ)に分けて考えているんですよね。
 
 まぁ、体癖やエニアグラムについては多くの方が説明してくださってるので多くは語りません。まぁ色々な意見が錯綜していますけども、私はどっちかって言うと心理系寄りの立場から体癖やエニアグラムを考えたいと思ってます。まぁ、身体を診ない時点で心癖論は、体癖本道から言えば間違っているので、体癖やエニアグラムに影響を受けたパーソナリティの理論仮説ぐらいに思ってもらえたららいいのかなぁと思います。

 詳しくは以前、私が書いたエッセイでも読んでください。

 https://ncode.syosetu.com/n4266iz/2/

 で、本題に戻ると、桜あかりちゃんは三種二種、フォスフォフィライトは五種一種かなって私は思ってます。
 物語序盤だと低潮してて二種っぽく臆病な感じに振る舞う傾向のあるあかりちゃんですが、ルビーと出会ってからは少しづつ明るくなって喜怒哀楽もはっきりと出るようになったりしてますね。あと、食べるのも好きな印象ですよね。まさに三種かわいい。
 フォスは自信家な面が強かったり、一人抱え込んだりと五種の側面が強い印象ですね。後半はすべきことを果たそうとする一種のような側面もあったのかなと思いますね。

 で、体癖的な側面では対照的な(ついでに言えば心癖論的に言えば対称的)な両者ですが、エニアグラム的な側面では両者は一致しています。
 あかりちゃんもフォスもエニアグラムタイプは2ということで、究極的な欲求としては全く同一の性格をしています。人の役にたって(つまり愛されて)自分の存在価値を見出そうとする性格ですね。
 あかりちゃんは、物語冒頭から有馬くん(タイプ5)に思いを伝えられるようになることを目標にしているし、はじめはフォスもシンシャ(タイプ5)のために行動をしていました。

あかりちゃんの道とフォスフォフィライトの道

 エニアグラムタイプ、すなわち求めているものとしては同じところに立っていた二人ですが、奇しくも道を違えています。

 この二人の道の違いを生み出したのは、タイプ2と相反する裏の主人公タイプ7との出会いでしょう。

 あかりちゃんにはルビーという三種タイプ7の存在がいました。ルビーとときにぶつかりあい、ときに助け合うことで、あかりちゃんは自分のちっぽけな夢でも大切にして、悲しいこともあるけれど楽しいことがある世の中を生き抜く思いが創造できた訳です。すなわち、統合の道です。

 他方でフォスにはこのような自分と真正面からぶつかり合って、一緒に「楽しい」を追いかけてくれるタイプ7は、人類が浄化された後にしか現れませんでした。結果として、有能感の欲求は挫折し、タイプ8の負の側面のような躁的防衛のために力を追い求めていくことになってしまいました。すなわち、分裂の道です。まぁ、その後、なんやかんやあって、自分の本来の欲求に気付けるわけですけどね。

コンクリュージョン

 宝石の国とジュエルペットてぃんくる☆には欲求的な面で共通点がある。しかし、統合の道か分裂の道か、進む道の違いによって、たどり着くところは変わってしまった!

 これを読んでいる読者さんには、是非とも人生を楽しんでほしいです!!










 余談だけどさ、フォスフォフィライトってギリシア語の【光を運ぶ葉っぱの石】って意味が由来にあるんだけど、桜あかりって名前と偶然にも重なってるんだよね。なんだか面白いよね!!!!

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