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短編小説を久しぶりに書いてみた1

あけましておめでとうございます。

最近は変なメモばっかり投稿していた私ですが、年明けなので何か少しでも手の込んだことができないかと思い...

短編小説(みたいなもの)を書いてみることにしました。

文章構成などはもう色々めちゃくちゃですw

あまり面白くないかもしれないですが。

それではどーぞ。




年明けだが、久しぶりに高校のクラスメイトたち数人と会えることになった。
めっきり誰かと会うこともなくなったし、どう挨拶すればいいのかとか、どんな役割が相場なのかとか、色々と忘れている。
高校ときはノリが良く気を遣えるやつだと思われていたのか、クラスや学年問わず色々な面々から遊びの誘いなど受けたが。
最近ではあまりにも自分が不器用となりすぎて、彼等は驚いたりしないだろうかと不安だ。
...まあ元から浅い付き合いしかできないけど。
こんな俺の素性や本性などが明るみにでも出てしまえば、もう2度と誘われなくなるかもしれないし。
集合場所は、ちょっとした飲み屋街の一角。
その中で、知っている男たちが手を振っている。
「お、来たな。」
ひときわ体が大きな男が嬉しそうにそう言った。
彼は木本。通称モック。
俺は、かつてのテンションや口調を思い出し、適当に挨拶をした。
「な、今日は女子連中も来てるぜ。」
たしかに、モックの視線の先には何人か見覚えのある女性たちが座って談笑している。
「みんなこんなに垢抜けちまってよー。
お前誰狙う?」
相変わらずの冗談口調でモックはおちゃらけている。
酒も入っているからなのか、久しぶりに皆と会えたからか、いつにも増してニコニコとしていた。
席について話に加わると、早速こんな話が持ち上がった。
「そういやさ、お前、この子知ってる?
ほら、1番隅にポツンといる黒髪の...。」
そこには、同世代とは思えない、俺たちより少し子どものような印象を受ける子が座っていた。
誰かと話をすることもなく、出された料理や飲み物に手をつけるわけでもなく、ただポツンと。
高校時代、そんな子は全く見覚えがないため、知らないと答えた。
「あの子もクラスメイトだとよ。
たぶん不登校だった子。」
「あー、黒崎とかいう子だっけ。
真壁が最近仲良くなったらしくて今日連れてきたんだとよ。」
モックを始め数人の男が舐めまわすように彼女を見つめている。
彼女になって考えてみれば不気味だろうし、少し気の毒だ。
「あの子、不思議な雰囲気っていうかさー。
なんかお前みたいだわ。」
モックは俺と彼女の何に共通点を見出したのだろう。
「ほら、なんていうか、子どもっぽい...顔?」
童顔という意味だろうか。
以前から歳に似合わない顔だと言われてきたことはある。
でも、今もそんな子どもっぽい顔をしていると思われていたとは。
「あ、そーそ、童顔。
ちょっと気になるんだよな。いや、変な意味じゃなくて。」
それならば話しかけるように勧めたが、モックは渋っている。
そういえば、普段明るい彼だがいざという時は一歩引いてしまう性格だったな。
「さっき、真壁にきいたらさ、占いとかやってるんだってよ。俺そういう不思議ちゃんとは上手く話せる自信がねえよ。」
きっとこの流れだと、俺が彼女に話しかけることになりそうだ。
そういえば、高校のときもこういうことを頼まれていたんだっけ。
自分の立ち位置をそれとなく思い出してきた。
なんのことはなく俺はモックに話をつけてから立ち上がり、女子陣営にも他愛もない話を持ちかけてみる。
ついでにそれとなく、高校のときの記憶と彼女たちの顔、名前を一致させていった。
モックに話をきいてくるように頼まれた、黒崎さん、という女性に不信感を抱かれないよう、自然な脈絡を作るためだが。
こうやって、コミュニケーションの要領を取り戻していくのも今後のためになるし、悪くない。
そう、今後のためには...。
それから、少しして適度なタイミングで彼女に近づき、声をかけてみた。
すると、彼女は落ち着いた様子で応対してきた。
人と話すのが苦手なわけではなく、あえてそうしないのだろう。
少し億劫そうだし。
というのも、さっきのモックとのやり取りを概ね把握していたからだろう。
あれだけ自分が見られていれば、どれだけ自然を装って話しかけても結局勘のいい人には、どんな魂胆なのか分かってしまう。
早めに切り上げようかと思っていると、
「そういえばさ、藍ちゃんってすごいんだよ!」
と、いかにも彼女の関係者っぽく真壁という女性がどこからかやってきた。
「未来予知ができるの!」
と、信憑性はともかく、話題があがったため、一応興味を示してみる。
彼女も当然というように、大きな反応は示さなかった。
「占いってより、未来予知だって!例えば、私、先週から付き合ったけどそのこと全部言い当てたんだよ。」
真壁さんは声が大きいからか、女子陣営だけでなく、男たちもその話題に食らいつく。
とりあえず皆久しぶりに集まったわけだし、何にでも興味を示し、盛り上げるつもりなんだろう。
基本的には善良な人間の集まりだ。
それから、未来の結婚相手だの、仕事の成否だの、ひとしきり彼女は未来予知というものを披露した。
端的にかつ鋭く答えていく彼女の物言いに、皆夢中なようだ。
そして、予感はしていたが、今度は矛先が自分へと向けられる。
何かみてもらえ、だそうだ。
正直こういうのは苦手だが、雰囲気もあるので断ることは難しそうだ。
俺の意思とは裏腹に、俺の運命の相手だとか、5年10年後の姿などを勝手に予知させようとしている。
だが、ここで彼女が少し疲れたと言って素早く出て行った。
クラスメイトの皆がやけに残念そうにしているのが意外だが、助かった。
内容はともかく、自分がこういう人間だとラベリングされるのは気が重くなる。
彼女の気遣いだったかもしれないし、後で様子を見てこようかな。

外に出ると、裏口付近に彼女の姿があった。
「佐伯礼さん...だっけ。」
そうだと頷くと彼女は続けた。
「私はあなたがここに来るってきいたからここに来た。」
そう言って、俺の目を覗くように目線を上げた。
「たしか、私が見かけたときには、眼鏡、かけていなかったっけ。」
それはだいぶ前の話だ。
小さい頃だから、そのときのことも覚えていない。
彼女は俺の表情をうかがったあと、目線を横に逸らして、
「私は精神科で、あなたは内科...だったかな。大きな小児病院へ通っていたでしょ。」
と言った。
「私はそのときから分かっていたの。
高校で一緒のクラスになること、あなたとまたここで会うこと、そして...。」
目の前で俯く彼女がとても小さく見える。
彼女は一度躊躇ったのだろうが、やがて、
また目を合わせた。
「あなたが、もう長くないって...。」
ああ、やっぱりか。
そんな気はしてた。
...なんて、疑わないのもおかしい気がする。
「だから忠告しにきたの。
あなたが自分で決めること。それがだめとは言わない。でも、あなたには友だちがいるでしょう?あなたの決断が彼の人生も狂わす。それは確実だから。もう一度考えてほしい。」
「...君は俺が何を考えているか分かるの?」
「分からない。ただ、あなたの目を通して見ればあなたがどうなるか見えるだけ。」
「それなら仕方ないね。」
...友だちか。
彼等がそう思ってくれていればいいけどな。
「俺は、今生きていることが嫌だとは思っていないよ。君の言う通り、彼等は良い人たちばかりだし、いつも楽しく生きているよ。」
「...だとしたら、私はあなたが苦労しているところしか見えないのかもしれない。」
そんなことを言われると、思わず苦笑してしまった。
「側から見てしまえば俺の半生ってそんなもんかもしれないけど、悪いことばかりじゃないよ。俺は今が幸せだと思う。」
本心かなんてどっちでもいい。
彼女に変なことで気を患わせるのは、可哀想だ。
そう思っただけ。
「あれは事故だったんだ。仕方なかった。」
「...。」
「って、未来の俺なら言うかもね。」
「まさか...本当に事故なの?」
「うん。たぶん原因は俺だけどね。
...そういえば、薬切れてたんだよね。あれがないとなかなか普通に過ごすのって厳しいから。
また今度でいいやと思ってたけど、早めに出してもらわないとだめかな。」
彼女は何か考え込んでしまったようだから、そろそろ挨拶をして踵を返そうとすると、
「...一度だけ。」
そう呼び止められた。
「一度だけ、未来を変えることができるとしたら、あなたは生きたい?」
「一度だけなら、君の未来を変えるために使った方がいいかもしれないよ。」
正直、そこまで最期が怖く感じない。
ただ、少し気掛かりなことはある。
「でも、もしかしたら、迷惑をかけるかな。
それだけは申し訳ないから、なんとかしないと。」
最期までみっともないのは嫌だからな。
漠然とそう思ってはいるけれど。
「ねえ、佐伯くん。
私と...。」
彼女は俺にある提案をした。

つづく(かもしれない)

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